シリアで起こった化学兵器を使ったとみられる空爆で多数の犠牲者が出たことを受け、トランプ大統領によるアメリカ政府は2017年4月6日、攻撃の責任はシリアのアサド軍事政権にあるとして同政権の支配下にある空軍基地などを攻撃する報復措置を実行しました。
攻撃では、地中海東部に展開するアメリカ海軍の2隻の駆逐艦「ポーター」と「ロス」から59発の巡航ミサイル「トマホーク」が発射されています。
アメリカ軍が用いたトマホークは、1983年に配備が始まった巡航ミサイルです。
円筒型の本体には翼と小型のターボファンエンジンが内蔵されており、現在では人工衛星から送られるGPS信号と地表カメラによるデジタル映像を解析しながら目標物をめがけて正確に飛行して爆撃を行うことが可能なミサイルシステムです。
巡洋艦「ロス」から真っ暗闇の中でトマホークミサイルを発射する様子を収めたムービーが公開されています。
艦橋の発射筒に収められたトマホークはまず底部の個体ロケットブースターで空中に射出され、次にターボファンエンジンに点火して上昇し、目標地点をめがけて一気に飛んで行きます。
動画:
現在使用されているのは、トマホークの中でも最新の「ブロックIV」に属するシステムです。
トマホークは1983年に初めて実戦配備が行われており、実際に作戦において使用されたのは1991年の湾岸戦争の時。この時には「ブロックII」世代のトマホークが用いられており、合計で288発が発射されて命中率は85%。
この数字を高いと見るか、低いと見るかは意見が分かれているところでもあるとのこと。
それ以来、歴代アメリカ政府はトマホークの使用を続けており、アメリカのみならず世界でも最も成功した兵器の1つに挙げられています。
クリントン政権時代に軍司令官の役職にあり、現在はテレビ局MSNBCの防衛アナリストを務めるバリー・マキャフリー氏は、シリア攻撃の際にコメントで「みんなトマホークが大好きだ」と語っています。
また、トマホークは飛行距離1000マイル(約1600km)以上におよぶ射程を持ち、前述のように高度な誘導能力を備えることで正確な攻撃能力を持っています。
これにより、従来は爆撃機などで行っていた攻撃が無人のミサイルで行われるようになり、攻撃の際に兵士の命を危険にさらすリスクを軽減するに至っています。
しかし、そんなトマホークでも欠点がないわけではないとのこと。
1発あたり約159万ドル(約1億8000万円)というミサイルの費用が妥当と見るかどうかについては賛否が存在しているほか、移動する標的に対する追随能力はあまり高くないといわれています。
また、上空に展開された航空機を併用した誘導爆撃に比べると精度が落ちるのも事実で、標的の種類によってはトマホークが不向きなケースも存在しているとのことです。
トマホークは1970年代にその基礎となる研究が開始され、70年台後半には巡航ミサイルの大まかな形が策定されてきました。
その後、1980年に初めての量産型ミサイルの発射に成功し、数々の性能評価を経て1983年3月に「プロックI」が実戦配備されるに至りました。
過去には、熱核弾頭を搭載可能な「TLAM-N」や、対艦ミサイルとして開発された「TASM」などのバリエーションが存在しましたが、2017年3月時点では地上の目標物を標的とする対地ミサイルとして「TLAM-E (ブロックIV)」が展開されています。
いくつかの欠点はあるものの、トマホークには高い命中精度と無人攻撃による「安全性」が備わっています。
最新の技術では無人航空機「ドローン」を使った攻撃も研究されていますが、まだ巡航ミサイルほどの規模とスピードで大きな爆弾を飛ばすことには至っていないとのことです。
http://gigazine.net/news/20170410-tomahawk-brief-history/
攻撃では、地中海東部に展開するアメリカ海軍の2隻の駆逐艦「ポーター」と「ロス」から59発の巡航ミサイル「トマホーク」が発射されています。
アメリカ軍が用いたトマホークは、1983年に配備が始まった巡航ミサイルです。
円筒型の本体には翼と小型のターボファンエンジンが内蔵されており、現在では人工衛星から送られるGPS信号と地表カメラによるデジタル映像を解析しながら目標物をめがけて正確に飛行して爆撃を行うことが可能なミサイルシステムです。
巡洋艦「ロス」から真っ暗闇の中でトマホークミサイルを発射する様子を収めたムービーが公開されています。
艦橋の発射筒に収められたトマホークはまず底部の個体ロケットブースターで空中に射出され、次にターボファンエンジンに点火して上昇し、目標地点をめがけて一気に飛んで行きます。
動画:
現在使用されているのは、トマホークの中でも最新の「ブロックIV」に属するシステムです。
トマホークは1983年に初めて実戦配備が行われており、実際に作戦において使用されたのは1991年の湾岸戦争の時。この時には「ブロックII」世代のトマホークが用いられており、合計で288発が発射されて命中率は85%。
この数字を高いと見るか、低いと見るかは意見が分かれているところでもあるとのこと。
それ以来、歴代アメリカ政府はトマホークの使用を続けており、アメリカのみならず世界でも最も成功した兵器の1つに挙げられています。
クリントン政権時代に軍司令官の役職にあり、現在はテレビ局MSNBCの防衛アナリストを務めるバリー・マキャフリー氏は、シリア攻撃の際にコメントで「みんなトマホークが大好きだ」と語っています。
また、トマホークは飛行距離1000マイル(約1600km)以上におよぶ射程を持ち、前述のように高度な誘導能力を備えることで正確な攻撃能力を持っています。
これにより、従来は爆撃機などで行っていた攻撃が無人のミサイルで行われるようになり、攻撃の際に兵士の命を危険にさらすリスクを軽減するに至っています。
しかし、そんなトマホークでも欠点がないわけではないとのこと。
1発あたり約159万ドル(約1億8000万円)というミサイルの費用が妥当と見るかどうかについては賛否が存在しているほか、移動する標的に対する追随能力はあまり高くないといわれています。
また、上空に展開された航空機を併用した誘導爆撃に比べると精度が落ちるのも事実で、標的の種類によってはトマホークが不向きなケースも存在しているとのことです。
トマホークは1970年代にその基礎となる研究が開始され、70年台後半には巡航ミサイルの大まかな形が策定されてきました。
その後、1980年に初めての量産型ミサイルの発射に成功し、数々の性能評価を経て1983年3月に「プロックI」が実戦配備されるに至りました。
過去には、熱核弾頭を搭載可能な「TLAM-N」や、対艦ミサイルとして開発された「TASM」などのバリエーションが存在しましたが、2017年3月時点では地上の目標物を標的とする対地ミサイルとして「TLAM-E (ブロックIV)」が展開されています。
いくつかの欠点はあるものの、トマホークには高い命中精度と無人攻撃による「安全性」が備わっています。
最新の技術では無人航空機「ドローン」を使った攻撃も研究されていますが、まだ巡航ミサイルほどの規模とスピードで大きな爆弾を飛ばすことには至っていないとのことです。
http://gigazine.net/news/20170410-tomahawk-brief-history/