・深刻なハイチの教育事情 コロナ禍で家計逼迫、退学増える
[ポルトープランス 20日 ロイター] - ハイチの子供たちは今年、学校に通うことができない日々が続いていた。最初は何カ月にも及ぶ反政府デモの騒乱で、次は新型コロナウイルス感染症のためだった。
今、ようやく学校は再開しつつあるが、親たちの多くがもはや学費を払えなくなっている。同国が苦労して得てきた教育の機会が失われてしまう恐れが強まっている。
「支払いを待ってもらえる期限は、今度の月曜日なんです。払えなければ授業に出られなくなります」と語るニケルラ・エティエンヌさん(16)の頰には涙が伝う。授業料の全額が払えず、首都・ポルトープランスの私立校から自宅に送り返されてきたのだ。
新型コロナのパンデミックは世界中の教育を中断させているが、ハイチの状況はとりわけ深刻だ。ハイチでは成人の約3分の1が、読み書きができないとされる。
国連児童基金(ユニセフ)ハイチ事務所のベアトリス・マールブランシュ氏は「今回ほどの危機は見たことがない」と語る。
ハイチのほとんどの子供たちにとって、オンラインなどの仮想授業はあり得ない。国民の半分以上は1日の生計費が3ドルを下回る暮らしで、インターネットやテレビへのアクセスもほとんどないからだ。
ハイチは何年も続く反政府デモや国家運営の失敗で経済が疲弊している上、2016年の大地震からの復旧に、今なお苦労している。そうした政府の事情もあって、同国にある学校は5校に4校が私立校だ。
学費は普通は安いが、既に荒廃していた経済を新型コロナがさらに悪化させたため、多くの家庭で学費支払いの余裕がなくなっている。
競争率の高い公立校になんとか入れた子供の家庭でさえ、文房具やまともな靴を買うことも、ままならなくなっている。
学校に行けない子供たちは、行政の管理保護がない非公式な仕事に就いたり、もっと悪い場合はギャング団に引きずり込まれたりするリスクがある。
同国の教育省は問題に対処する財源がほとんどなく、教育予算は国家予算全体の16%から11%に削減された。世界的な教育費の占める割合は平均20%だ。
教育省のミローディ・ビンセント報道官は、ロイターの取材に対し、最もぜい弱な状態に置かれた家庭の少なくとも5万人向けに財政支援をすると述べた。だが、人口約1100万人のハイチでは、焼け石に水だ。
同氏によると、ハイチでは過去10年間で小学校に通う児童の比率が76%から84%に大きく上がっていただけに、今の状況はまるで挫折とも言えるという。
<教師の給料も払えず>
ハイチの新型コロナ流行は今のところ比較的大きくならずに済んでいるが、教育省は学校関係者や児童・生徒にマスク着用、手洗いを義務付けた。たとえ学校に、せいぜいバケツ1杯ぐらいしか水がなかったとしてもだ。
政府はさらに、最も密集度の高い学校に対し、対人距離を取れるように学級を分け、週2─3日ずつ順番に交代で授業をするよう指示した。そのため子供1人当たりが受けられる授業内容が、少なくなる懸念も高まっている。
・Haiti's schools re-open but many parents now can't afford them
https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-haiti-education/haitis-schools-re-open-but-many-parents-now-cant-afford-them-idUSKBN25G11Q
・Schools Reopen In This Caribbean Nation But Many Parents Now Can’t Afford Them
https://www.newsamericasnow.com/caribbean-news-haiti-reopens-schools/
2020年8月23日 /Reuters
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-haiti-education-idJPKBN25H0Y2
[ポルトープランス 20日 ロイター] - ハイチの子供たちは今年、学校に通うことができない日々が続いていた。最初は何カ月にも及ぶ反政府デモの騒乱で、次は新型コロナウイルス感染症のためだった。
今、ようやく学校は再開しつつあるが、親たちの多くがもはや学費を払えなくなっている。同国が苦労して得てきた教育の機会が失われてしまう恐れが強まっている。
「支払いを待ってもらえる期限は、今度の月曜日なんです。払えなければ授業に出られなくなります」と語るニケルラ・エティエンヌさん(16)の頰には涙が伝う。授業料の全額が払えず、首都・ポルトープランスの私立校から自宅に送り返されてきたのだ。
新型コロナのパンデミックは世界中の教育を中断させているが、ハイチの状況はとりわけ深刻だ。ハイチでは成人の約3分の1が、読み書きができないとされる。
国連児童基金(ユニセフ)ハイチ事務所のベアトリス・マールブランシュ氏は「今回ほどの危機は見たことがない」と語る。
ハイチのほとんどの子供たちにとって、オンラインなどの仮想授業はあり得ない。国民の半分以上は1日の生計費が3ドルを下回る暮らしで、インターネットやテレビへのアクセスもほとんどないからだ。
ハイチは何年も続く反政府デモや国家運営の失敗で経済が疲弊している上、2016年の大地震からの復旧に、今なお苦労している。そうした政府の事情もあって、同国にある学校は5校に4校が私立校だ。
学費は普通は安いが、既に荒廃していた経済を新型コロナがさらに悪化させたため、多くの家庭で学費支払いの余裕がなくなっている。
競争率の高い公立校になんとか入れた子供の家庭でさえ、文房具やまともな靴を買うことも、ままならなくなっている。
学校に行けない子供たちは、行政の管理保護がない非公式な仕事に就いたり、もっと悪い場合はギャング団に引きずり込まれたりするリスクがある。
同国の教育省は問題に対処する財源がほとんどなく、教育予算は国家予算全体の16%から11%に削減された。世界的な教育費の占める割合は平均20%だ。
教育省のミローディ・ビンセント報道官は、ロイターの取材に対し、最もぜい弱な状態に置かれた家庭の少なくとも5万人向けに財政支援をすると述べた。だが、人口約1100万人のハイチでは、焼け石に水だ。
同氏によると、ハイチでは過去10年間で小学校に通う児童の比率が76%から84%に大きく上がっていただけに、今の状況はまるで挫折とも言えるという。
<教師の給料も払えず>
ハイチの新型コロナ流行は今のところ比較的大きくならずに済んでいるが、教育省は学校関係者や児童・生徒にマスク着用、手洗いを義務付けた。たとえ学校に、せいぜいバケツ1杯ぐらいしか水がなかったとしてもだ。
政府はさらに、最も密集度の高い学校に対し、対人距離を取れるように学級を分け、週2─3日ずつ順番に交代で授業をするよう指示した。そのため子供1人当たりが受けられる授業内容が、少なくなる懸念も高まっている。
・Haiti's schools re-open but many parents now can't afford them
https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-haiti-education/haitis-schools-re-open-but-many-parents-now-cant-afford-them-idUSKBN25G11Q
・Schools Reopen In This Caribbean Nation But Many Parents Now Can’t Afford Them
https://www.newsamericasnow.com/caribbean-news-haiti-reopens-schools/
2020年8月23日 /Reuters
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-haiti-education-idJPKBN25H0Y2