・トルコ大統領、トランプ氏の手紙を「ごみ箱へ」
トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領が、同国によるシリア北部進攻の停止を求めるドナルド・トランプ米大統領からの手紙を、その場で「ごみ箱に」捨てていたことが、BBCの取材で明らかになった。
トランプ大統領が6日にシリア北東部からの米軍撤退を発表すると、トルコは9日、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が支配するシリア北部への進攻を開始した。
進攻を開始した9日付の書簡で、トランプ氏はエルドアン氏に対し、「タフガイの真似はするな。馬鹿な真似はするな!」と書き、即時停戦を求めた。しかしエルドアン大統領は「停戦宣言などしない」と述べ、この働きかけに応じない姿勢を示した。
これについてエルドアン氏に近い関係者はBBCに対し、「エルドアン大統領は書簡を受け取り、要請内容を徹底的に拒絶し、ごみ箱に捨てた」と明かした。
書簡の内容
トランプ大統領は書簡で、エルドアン大統領に対し、「いい取り引きをしようじゃないか! あなたは数千人の虐殺の責任を負いたくはないだろうし、こちらもトルコ経済の破壊の責任は負いたくない。でもそうする」と書いた。
「あなたが正しく人道的なやり方でこの状況を解決すれば、歴史に良い評価をしてもらえる。いい結果にならなければ、歴史は永遠にあなたを悪魔とみなすだろう。タフガイの真似はするな。馬鹿な真似はするな!」
「一時停止」で合意も
マイク・ペンス米副大統領は、即時停戦を直接交渉するため、トルコの首都アンカラで17日、エルドアン氏と会談。軍事作戦を5日間「一時停止」することで合意した。
しかし、トルコ側は、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が同地域から完全に撤退するまでは「停戦」しないとしている。
共和党も軍撤退に反対
トランプ大統領は、米軍撤退はトルコによるクルド人攻撃の「青信号」に等しいとして、激しい批判にさらされている。そうした批判の大半は、身内の共和党から上がっている。
米下院は16日、シリア北東部からの米軍撤退に反対する決議案を、354対60の賛成多数で可決した。野党・民主党のほか、共和党からも129人が賛成に回った。この決議案は、エルドアン大統領に対し即時停戦も求めている。
決議可決後、議会指導部はシリア進攻についてホワイトハウスで大統領と会談した。このとき、トランプ氏と民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長の激しい舌戦が繰り広げられたとみられる。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務によると、トランプ氏がペロシ氏を「三流政治家」呼ばわりしたため、民主党議員が退室する事態となったという。
共和党指導者は、会議中のペロシ氏の言動は「不相応」なものだったと指摘。議長が「激怒して部屋を飛び出した」と批判した。
ペロシ下院議長はその後、記者団に対し、会談でトランプ氏が「逆上していた」と明かした。
これに対し、トランプ氏も同様の批判をペロシ氏にぶつけた。会談中に立ち上がって話すペロシ氏の写真と共に、「神経質なナンシーが逆上した!」とツイッターに投稿した。
@realDonaldTrump:
トランプ氏が投稿した写真には、民主党議員から、ペロシ氏の「最高の瞬間」を示す「象徴的」な写真だと称賛する声が上がった。ペロシ氏は、自分のツイッター・アカウントのトップ画像をこの写真に変更した。
トランプ氏の主張
トランプ氏は16日、「トルコとシリアは国境で問題を抱えている。我々の国境ではない。我々がそのせいで命を失うべきではない」と述べ、米国はトルコのシリア進攻へ介入すべきではないと主張した。
「米兵はあの地域から撤退した。米兵は絶対に安全だ。(トルコとシリアが)問題を解決しなくてはならない。戦わないでも解決できるかもしれない。我々は状況を注視し、交渉し、トルコに正しいことをさせようとしている。我々はとにかく戦争を止めさせたいから」
トランプ氏はさらに、過激派勢力「イスラム国」(IS)掃討で重要な役割を果たし、米国に協力していたクルド人は「天使」ではないとも述べた。
「(クルド人は)我々と一緒に戦った。一緒に戦うためたくさんの金をクルド人に提供した。それは構わない。クルド人は我々と一緒に戦った時はよくやった。我々抜きの戦いでは、それほどでもなかった」
Turkey's Erdogan 'threw Trump's Syria letter in bin'
https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50080737
※全文はリンク先へ
2019年10月18日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/50092919
トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領が、同国によるシリア北部進攻の停止を求めるドナルド・トランプ米大統領からの手紙を、その場で「ごみ箱に」捨てていたことが、BBCの取材で明らかになった。
トランプ大統領が6日にシリア北東部からの米軍撤退を発表すると、トルコは9日、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が支配するシリア北部への進攻を開始した。
進攻を開始した9日付の書簡で、トランプ氏はエルドアン氏に対し、「タフガイの真似はするな。馬鹿な真似はするな!」と書き、即時停戦を求めた。しかしエルドアン大統領は「停戦宣言などしない」と述べ、この働きかけに応じない姿勢を示した。
これについてエルドアン氏に近い関係者はBBCに対し、「エルドアン大統領は書簡を受け取り、要請内容を徹底的に拒絶し、ごみ箱に捨てた」と明かした。
書簡の内容
トランプ大統領は書簡で、エルドアン大統領に対し、「いい取り引きをしようじゃないか! あなたは数千人の虐殺の責任を負いたくはないだろうし、こちらもトルコ経済の破壊の責任は負いたくない。でもそうする」と書いた。
「あなたが正しく人道的なやり方でこの状況を解決すれば、歴史に良い評価をしてもらえる。いい結果にならなければ、歴史は永遠にあなたを悪魔とみなすだろう。タフガイの真似はするな。馬鹿な真似はするな!」
「一時停止」で合意も
マイク・ペンス米副大統領は、即時停戦を直接交渉するため、トルコの首都アンカラで17日、エルドアン氏と会談。軍事作戦を5日間「一時停止」することで合意した。
しかし、トルコ側は、クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」が同地域から完全に撤退するまでは「停戦」しないとしている。
共和党も軍撤退に反対
トランプ大統領は、米軍撤退はトルコによるクルド人攻撃の「青信号」に等しいとして、激しい批判にさらされている。そうした批判の大半は、身内の共和党から上がっている。
米下院は16日、シリア北東部からの米軍撤退に反対する決議案を、354対60の賛成多数で可決した。野党・民主党のほか、共和党からも129人が賛成に回った。この決議案は、エルドアン大統領に対し即時停戦も求めている。
決議可決後、議会指導部はシリア進攻についてホワイトハウスで大統領と会談した。このとき、トランプ氏と民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長の激しい舌戦が繰り広げられたとみられる。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務によると、トランプ氏がペロシ氏を「三流政治家」呼ばわりしたため、民主党議員が退室する事態となったという。
共和党指導者は、会議中のペロシ氏の言動は「不相応」なものだったと指摘。議長が「激怒して部屋を飛び出した」と批判した。
ペロシ下院議長はその後、記者団に対し、会談でトランプ氏が「逆上していた」と明かした。
これに対し、トランプ氏も同様の批判をペロシ氏にぶつけた。会談中に立ち上がって話すペロシ氏の写真と共に、「神経質なナンシーが逆上した!」とツイッターに投稿した。
@realDonaldTrump:
トランプ氏が投稿した写真には、民主党議員から、ペロシ氏の「最高の瞬間」を示す「象徴的」な写真だと称賛する声が上がった。ペロシ氏は、自分のツイッター・アカウントのトップ画像をこの写真に変更した。
トランプ氏の主張
トランプ氏は16日、「トルコとシリアは国境で問題を抱えている。我々の国境ではない。我々がそのせいで命を失うべきではない」と述べ、米国はトルコのシリア進攻へ介入すべきではないと主張した。
「米兵はあの地域から撤退した。米兵は絶対に安全だ。(トルコとシリアが)問題を解決しなくてはならない。戦わないでも解決できるかもしれない。我々は状況を注視し、交渉し、トルコに正しいことをさせようとしている。我々はとにかく戦争を止めさせたいから」
トランプ氏はさらに、過激派勢力「イスラム国」(IS)掃討で重要な役割を果たし、米国に協力していたクルド人は「天使」ではないとも述べた。
「(クルド人は)我々と一緒に戦った。一緒に戦うためたくさんの金をクルド人に提供した。それは構わない。クルド人は我々と一緒に戦った時はよくやった。我々抜きの戦いでは、それほどでもなかった」
Turkey's Erdogan 'threw Trump's Syria letter in bin'
https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50080737
※全文はリンク先へ
2019年10月18日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/50092919