・英政府による「有害コンテンツ」への規制は、インターネットに多大な影響を及ぼすことになる
英政府によるインターネット上の有害コンテンツへの規制案が、波紋を呼んでいる。虚偽情報やテロにつながる情報の拡散、ヘイトスピーチ、児童ポルノの配信などの規制が目的だが、プライヴァシーや表現の自由、企業の権限が強まることへの懸念の声も挙がる。「有害」の定義が明確でないまま法制化が進むことへの批判もあるなか、果たして実効性のある現実解は導き出せるのか。
このほど英政府が発表したインターネット上の有害コンテンツに対する規制案が、世界に衝撃を与えている。政府が違法あるいは「有害」とみなしたコンテンツを削除するよう企業に義務づけ、しかも違反したサイトを閉鎖する権利も政府がもつ──といった内容だ。
この規制案は102ページからなる白書として公表された。虚偽情報の拡散やヘイトスピーチ、過激な言動や表現、そして児童ポルノの配信などの規制を視野に入れている。
規制が導入されることになれば、民主主義国家としては最も厳しくかつ広範囲に及ぶインターネット上の規制のひとつになる。今回の規制方針は有害なコンテンツを抑制する狙いがあるとはいえ、表現の自由とのバランスに欠くとの批判の声も上がっている。
プラットフォーム企業が摘発される?
現在の英国の法律では、ソーシャルメディアのプラットフォームやそのほかのオンライン企業は、ユーザーが投稿するコンテンツが違法である可能性があったとしても、その存在を認識するまで法的責任を負わないことになっている。今回の規制方針は、その前提を覆すものだ。
新たな法案によって、フェイスブックやグーグルのような企業は“違法”であるとして摘発される可能性が出てくる。これらの企業は成長を最大化するために、有害なコンテンツの拡散に目をつぶってきたと英当局が考えているからだ。企業は今後、自社プラットフォーム上のコンテンツに対してより大きな責任を求められるようになる。
ユーザーによるコンテンツの投稿や共有を許可する企業は今後、児童の性的搾取や虐待、非合法な物品の販売、テロ活動など、英政府が違法とみなすコンテンツを積極的に取り締まるよう求められる。虚偽情報の拡散や暴力を促すような行為、ハラスメント、過激なヘイトコンテンツなど、違法でなくても政府が有害に分類した情報も対象となる。
経営幹部が罪に問われる可能性も
規則の実施にあたって、どの機関がどのように手がけていくことになるのか、具体的なことは決まっていない。ただ、従来のように罰金を科すだけでは終わらず、対象となるサイトへの英国からのアクセスをブロックすることもあり得る。それだけでなく、アプリストアやソーシャルメディアサイト、検索エンジンなどの企業に、違反した企業との取引を停止するよう求める可能性もある。
また規制当局は、違反について経営幹部に罰金を科したり、刑事責任を追及したりすることも考えられる。規制当局には、テロに関するコンテンツを削除するまでの適切な期間や、テロ活動や関連コンテンツを表示するような検索を阻止する手順の設定が期待されている。
憎悪犯罪(ヘイトクライム)への対処についても、同じようなルールがつくられるはずだ。これらの規制は、企業がユーザーの持続的なエンゲージメントを求めるあまり、コンテンツの表示アルゴリズムが過激なものや信頼性が低い情報に偏ることがないよう求めることになるだろう。
※全文はリンク先へ
2019.04.24 WED 07:00 WIRED
https://wired.jp/2019/04/24/uk-tech-backlash-could-change-internet/
英政府によるインターネット上の有害コンテンツへの規制案が、波紋を呼んでいる。虚偽情報やテロにつながる情報の拡散、ヘイトスピーチ、児童ポルノの配信などの規制が目的だが、プライヴァシーや表現の自由、企業の権限が強まることへの懸念の声も挙がる。「有害」の定義が明確でないまま法制化が進むことへの批判もあるなか、果たして実効性のある現実解は導き出せるのか。
このほど英政府が発表したインターネット上の有害コンテンツに対する規制案が、世界に衝撃を与えている。政府が違法あるいは「有害」とみなしたコンテンツを削除するよう企業に義務づけ、しかも違反したサイトを閉鎖する権利も政府がもつ──といった内容だ。
この規制案は102ページからなる白書として公表された。虚偽情報の拡散やヘイトスピーチ、過激な言動や表現、そして児童ポルノの配信などの規制を視野に入れている。
規制が導入されることになれば、民主主義国家としては最も厳しくかつ広範囲に及ぶインターネット上の規制のひとつになる。今回の規制方針は有害なコンテンツを抑制する狙いがあるとはいえ、表現の自由とのバランスに欠くとの批判の声も上がっている。
プラットフォーム企業が摘発される?
現在の英国の法律では、ソーシャルメディアのプラットフォームやそのほかのオンライン企業は、ユーザーが投稿するコンテンツが違法である可能性があったとしても、その存在を認識するまで法的責任を負わないことになっている。今回の規制方針は、その前提を覆すものだ。
新たな法案によって、フェイスブックやグーグルのような企業は“違法”であるとして摘発される可能性が出てくる。これらの企業は成長を最大化するために、有害なコンテンツの拡散に目をつぶってきたと英当局が考えているからだ。企業は今後、自社プラットフォーム上のコンテンツに対してより大きな責任を求められるようになる。
ユーザーによるコンテンツの投稿や共有を許可する企業は今後、児童の性的搾取や虐待、非合法な物品の販売、テロ活動など、英政府が違法とみなすコンテンツを積極的に取り締まるよう求められる。虚偽情報の拡散や暴力を促すような行為、ハラスメント、過激なヘイトコンテンツなど、違法でなくても政府が有害に分類した情報も対象となる。
経営幹部が罪に問われる可能性も
規則の実施にあたって、どの機関がどのように手がけていくことになるのか、具体的なことは決まっていない。ただ、従来のように罰金を科すだけでは終わらず、対象となるサイトへの英国からのアクセスをブロックすることもあり得る。それだけでなく、アプリストアやソーシャルメディアサイト、検索エンジンなどの企業に、違反した企業との取引を停止するよう求める可能性もある。
また規制当局は、違反について経営幹部に罰金を科したり、刑事責任を追及したりすることも考えられる。規制当局には、テロに関するコンテンツを削除するまでの適切な期間や、テロ活動や関連コンテンツを表示するような検索を阻止する手順の設定が期待されている。
憎悪犯罪(ヘイトクライム)への対処についても、同じようなルールがつくられるはずだ。これらの規制は、企業がユーザーの持続的なエンゲージメントを求めるあまり、コンテンツの表示アルゴリズムが過激なものや信頼性が低い情報に偏ることがないよう求めることになるだろう。
※全文はリンク先へ
2019.04.24 WED 07:00 WIRED
https://wired.jp/2019/04/24/uk-tech-backlash-could-change-internet/