・蜜月も束の間、中国とフィリピンに緊張高まる:末永 恵
「火種の島」で知られる南シナ海の南沙諸島(英語名はスプラトリー)。
フィリピンが実効支配しているパグアサ島(フィリピン名、英語名はティトゥ)はここに位置している。
この島を巡り、フィリピンと中国の間にいま緊張が高まっている。
ワシントンポストなど米メディアなどによると、パグアサ島近海で今年1月から3月末までの間、中国船が数百隻航行しているのが確認されという。
3月29日、フィリピン政府が外交ルートを通じ中国政府に抗議を行ったことも明らかになった。
フィリピン軍幹部によれば、中国の船舶やボート、計275隻がパグアサ島付近で航行するのを確認しているという。
同幹部は「こうした中国船は、同海域への侵入と離脱を頻繁に続けており、実態はつかめていない」とし、実際には、「(この数より)はるかに多い船舶の航行があるのではないか」と警戒を強めている。
一方、上陸や災害対処の訓練を行うフィリピン軍と米軍、豪州軍による定期合同軍事演習「バリカタン」が1日から12日まで、フィリピン各地で展開されている。
今回、初めて投入されている米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35B」は、長崎・佐世保基地に配備中の強襲揚陸艦ワスプに搭載されたもので、同軍事演習中、南シナ海上空を飛行している。
主に、ルソン島西部のサンバレス州沖から内陸のタルラック州を目指すが、フィリピンと中国が領有権を争うスカボロー礁(中国名・黄岩島)は、そのサンバレス州にある。
同海域の航行を拡大している中国海軍を牽制する目的だ。
パグアサ島の緊張した事態を受け、フィリピン政府関係者は筆者の取材に応じ、中国政府に対して以下のような抗議文書を送り、「(4月2日時点で)中国政府からの回答を待っている状況」であることを明らかにした。
(1)フィリピン政府が確認した上記のような事実を中国政府が把握しているのか。
(2)フィリピンが実効支配するパグアサ島付近に中国政府はなぜ頻繁に船舶を侵入させているのか。その具体的な理由は何か。
(3)今後、中国政府がこのような行為を行わないことを求める。
南沙諸島は、南シナ海の中央に位置し、100以上の島や環礁、暗礁からなる。パグアサ島周辺は豊かな漁場に恵まれ、石油や天然ガスの埋蔵も期待されている。
米国が南沙諸島を「国際的空域かつ海水領域」と主張する中、フィリピン、中国、マレーシア、ベトナム、台湾、ブルネイの6か国・地域の領有権主張が複雑に交錯し、常々、軍事衝突の懸念がささやかれてきた。
こうした中、中国政府は同諸島にある環礁に人工島を造成し、2016年頃から港、滑走路や軍事的建造物の建設を急ピッチで進め、「力による現状変更」を画策・実行してきた。
南沙諸島が「火種の島」と呼ばれるゆえんでもある。
パグアサ島は、フィリピン西部のパラワン島の北西約450キロに位置し、町の職員や漁師などが暮らしている。
100人の島民のうち、約40人が小さな子供たちという。昨今の中国の軍事的脅威で、フィリピン政府軍に警察、沿岸警備隊も常駐しているが、安全保障上、その実働部隊の詳細は明らかにされていない。
※全文はリンク先へ(全5ページ)
(南シナ海の南沙諸島に位置する、フィリピン実効支配のパグアサ島は、フィリピン、マレーシア、ベトナム、台湾、ブルネイ、中国の6か国・地域の領有権争いの最前線で、「火種の島」と称され、軍事衝突の危機と常に隣り合わせだ)
2019.4.4(木) Japan Business Press
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55993
「火種の島」で知られる南シナ海の南沙諸島(英語名はスプラトリー)。
フィリピンが実効支配しているパグアサ島(フィリピン名、英語名はティトゥ)はここに位置している。
この島を巡り、フィリピンと中国の間にいま緊張が高まっている。
ワシントンポストなど米メディアなどによると、パグアサ島近海で今年1月から3月末までの間、中国船が数百隻航行しているのが確認されという。
3月29日、フィリピン政府が外交ルートを通じ中国政府に抗議を行ったことも明らかになった。
フィリピン軍幹部によれば、中国の船舶やボート、計275隻がパグアサ島付近で航行するのを確認しているという。
同幹部は「こうした中国船は、同海域への侵入と離脱を頻繁に続けており、実態はつかめていない」とし、実際には、「(この数より)はるかに多い船舶の航行があるのではないか」と警戒を強めている。
一方、上陸や災害対処の訓練を行うフィリピン軍と米軍、豪州軍による定期合同軍事演習「バリカタン」が1日から12日まで、フィリピン各地で展開されている。
今回、初めて投入されている米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35B」は、長崎・佐世保基地に配備中の強襲揚陸艦ワスプに搭載されたもので、同軍事演習中、南シナ海上空を飛行している。
主に、ルソン島西部のサンバレス州沖から内陸のタルラック州を目指すが、フィリピンと中国が領有権を争うスカボロー礁(中国名・黄岩島)は、そのサンバレス州にある。
同海域の航行を拡大している中国海軍を牽制する目的だ。
パグアサ島の緊張した事態を受け、フィリピン政府関係者は筆者の取材に応じ、中国政府に対して以下のような抗議文書を送り、「(4月2日時点で)中国政府からの回答を待っている状況」であることを明らかにした。
(1)フィリピン政府が確認した上記のような事実を中国政府が把握しているのか。
(2)フィリピンが実効支配するパグアサ島付近に中国政府はなぜ頻繁に船舶を侵入させているのか。その具体的な理由は何か。
(3)今後、中国政府がこのような行為を行わないことを求める。
南沙諸島は、南シナ海の中央に位置し、100以上の島や環礁、暗礁からなる。パグアサ島周辺は豊かな漁場に恵まれ、石油や天然ガスの埋蔵も期待されている。
米国が南沙諸島を「国際的空域かつ海水領域」と主張する中、フィリピン、中国、マレーシア、ベトナム、台湾、ブルネイの6か国・地域の領有権主張が複雑に交錯し、常々、軍事衝突の懸念がささやかれてきた。
こうした中、中国政府は同諸島にある環礁に人工島を造成し、2016年頃から港、滑走路や軍事的建造物の建設を急ピッチで進め、「力による現状変更」を画策・実行してきた。
南沙諸島が「火種の島」と呼ばれるゆえんでもある。
パグアサ島は、フィリピン西部のパラワン島の北西約450キロに位置し、町の職員や漁師などが暮らしている。
100人の島民のうち、約40人が小さな子供たちという。昨今の中国の軍事的脅威で、フィリピン政府軍に警察、沿岸警備隊も常駐しているが、安全保障上、その実働部隊の詳細は明らかにされていない。
※全文はリンク先へ(全5ページ)
(南シナ海の南沙諸島に位置する、フィリピン実効支配のパグアサ島は、フィリピン、マレーシア、ベトナム、台湾、ブルネイ、中国の6か国・地域の領有権争いの最前線で、「火種の島」と称され、軍事衝突の危機と常に隣り合わせだ)
2019.4.4(木) Japan Business Press
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55993