シンガポールとマレーシアの外相は14日、同国南部ジョホール州の港の境界線を巡る領海紛争について協議した。対象海域への政府船舶の派遣など境界線の拡張につながる活動を停止することで合意した。2018年10月以来、くすぶり続けていた両国の火種は解消に向けて前進した。
会談後の共同会見で、シンガポールのバラクリシュナン外相は今回の合意を「肯定的、建設的かつ具体的な前進だ」と強調。マレーシアのサイフディン外相も「合意内容を着実に履行していきたい」と歩調を合わせた。
両国の領海問題は18年10月に、マレーシアがジョホール州の港の境界線拡張を発表したことで勃発した。マレーシアは同時期に政府の船舶をシンガポールが自国の領海内と主張する海域に派遣。反発したシンガポールも港の境界線の拡張方針を決め、対立が鮮明になっていた。
14日の合意では両国の主張が対立する海域では双方が商業活動や政府船舶の停泊を停止することとした。港の境界線も一時的に元の状態に戻し、両国は境界線の画定を巡って今後本格的な交渉に入る。仮に交渉で合意できない場合は国際調停機関に判断を委ねることを検討する。
両国は14日の合意内容を1カ月以内に履行する方針。マレーシアは最近も政府の船をシンガポールの領海内に派遣し続けていたと報じられており、両国が速やかに合意内容を実行するか注目される。両国は履行を担保するための実務者レベルの委員会をつくることでも合意した。
両国は経済的に深い相互依存関係にある。ナショナリズムが高まって関係が悪化すれば双方のビジネス環境の悪化につながるだけに、両国の企業関係者からは領海紛争の行方について懸念する声も出ていた。
・Singapore, Malaysia agree to jointly suspend overlapping port claims
https://www.straitstimes.com/singapore/spore-malaysia-agree-to-jointly-suspend-overlapping-port-claims
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2019/3/14 18:38 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42465900U9A310C1FF1000/