初代アメリカ大統領のジョージ・ワシントンは数多くの剣を所有していたことで知られています。このコレクションは必ずしもワシントンが自分の好みで集めたものではなく、贈り物や記念品として受け取ったものもあります。ワシントンがなぜ剣にこだわったのか、剣にはどのような意味があったのかを「The Swords of George Washington」の著者であるErik Goldstein氏が語っています。
Washington's Swords: An Interview with Erik Goldstein · George Washington's Mount Vernon
https://www.mountvernon.org/preservation/collections-holdings/washingtons-swords/washingtons-swords-an-interview-with-erik-goldstein
ワシントンは基本的に剣が「男らしさ」のための必需品だと考えており、「田舎で乗馬」「外国の高官のもてなし」といった状況に合わせて毎日剣を選んでいたそうです。これはちょうど、現代の人が状況に合わせて靴や時計を選ぶようなものだったとのこと。現代人がビジネスミーティングに汚れたスニーカーを履いていかないのと同様に、議会と対峙するときのワシントンは時代遅れのさびれた剣を腰につけていきませんでした。
時代と共に剣のデザインは変わっていくため、流行を追ったワシントンの剣のコレクションにはさまざまなデザインがあります。
1750年から1790年の間には英国式の剣が流行しました。これらの剣は全て同じデザインに見えますが、丸ひだや飾りびょう、金属のすかし細工など、さまざまな違いがあります。ワシントンは1770年代後半にライオンの頭がついたカトラスを腰から下げていたそうですが、これはイギリスの国章でライオンが使われていることが関係しているとみられています。ワシントンが初代大統領になった後は、この剣は使用されなくなったそうです。
独立戦争の終盤には、ワシントンは別の剣も身につけていました。
フレンチ・インディアン戦争やアメリカ独立戦争において、そしてアメリカ合衆国の指揮官として立つ際に、ワシントンが必ず剣を携えていたことには疑いがありません。しかし、ワシントンが山賊のように剣を振り回していたという考えは誤解です。5人の甥たちに対しても、自分の身、あるいは国や権利を守るため以外は、剣をさやの中に納めておくように伝えていたといいます。ただし、フレンチ・インディアン戦争において待ち伏せ攻撃にあった時は剣を抜き、「10人を殺した」といわれています。
ワシントンの死後、1840年まで、剣は全て家族の手元にありましたが、1843年、ワシントンのおいであるサミュエル・ワシントンの息子は、父から譲り受けた剣を議会へと手渡しました。これが、アメリカ市民にワシントンの剣が渡った最初の瞬間とのこと。その後、南北戦争が始まると、家族内で大切にされていた剣が「成功をもたらす」として注目され、所有者ごと誘拐する形で窃盗などの被害にあうようになります。そして南北戦争によってワシントンの家系も金銭的に困難を抱えるようになり、剣が売られることもあったそうです。
そして盗難や売買を経て、2018年現在では、ニューヨーク州立図書館といった公共施設のほか、ニューヨークにあるティファニーのショールームでも見ることができるとのことです。
2018年10月26日 08時00分 GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181026-george-washington-swords/
Washington's Swords: An Interview with Erik Goldstein · George Washington's Mount Vernon
https://www.mountvernon.org/preservation/collections-holdings/washingtons-swords/washingtons-swords-an-interview-with-erik-goldstein
ワシントンは基本的に剣が「男らしさ」のための必需品だと考えており、「田舎で乗馬」「外国の高官のもてなし」といった状況に合わせて毎日剣を選んでいたそうです。これはちょうど、現代の人が状況に合わせて靴や時計を選ぶようなものだったとのこと。現代人がビジネスミーティングに汚れたスニーカーを履いていかないのと同様に、議会と対峙するときのワシントンは時代遅れのさびれた剣を腰につけていきませんでした。
時代と共に剣のデザインは変わっていくため、流行を追ったワシントンの剣のコレクションにはさまざまなデザインがあります。
1750年から1790年の間には英国式の剣が流行しました。これらの剣は全て同じデザインに見えますが、丸ひだや飾りびょう、金属のすかし細工など、さまざまな違いがあります。ワシントンは1770年代後半にライオンの頭がついたカトラスを腰から下げていたそうですが、これはイギリスの国章でライオンが使われていることが関係しているとみられています。ワシントンが初代大統領になった後は、この剣は使用されなくなったそうです。
独立戦争の終盤には、ワシントンは別の剣も身につけていました。
フレンチ・インディアン戦争やアメリカ独立戦争において、そしてアメリカ合衆国の指揮官として立つ際に、ワシントンが必ず剣を携えていたことには疑いがありません。しかし、ワシントンが山賊のように剣を振り回していたという考えは誤解です。5人の甥たちに対しても、自分の身、あるいは国や権利を守るため以外は、剣をさやの中に納めておくように伝えていたといいます。ただし、フレンチ・インディアン戦争において待ち伏せ攻撃にあった時は剣を抜き、「10人を殺した」といわれています。
ワシントンの死後、1840年まで、剣は全て家族の手元にありましたが、1843年、ワシントンのおいであるサミュエル・ワシントンの息子は、父から譲り受けた剣を議会へと手渡しました。これが、アメリカ市民にワシントンの剣が渡った最初の瞬間とのこと。その後、南北戦争が始まると、家族内で大切にされていた剣が「成功をもたらす」として注目され、所有者ごと誘拐する形で窃盗などの被害にあうようになります。そして南北戦争によってワシントンの家系も金銭的に困難を抱えるようになり、剣が売られることもあったそうです。
そして盗難や売買を経て、2018年現在では、ニューヨーク州立図書館といった公共施設のほか、ニューヨークにあるティファニーのショールームでも見ることができるとのことです。
2018年10月26日 08時00分 GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181026-george-washington-swords/