ー9795人。
これは、今年6月30日までに、9.11関連と考えられる癌に罹患していると診断された人々の数だ。世界貿易センターヘルスプログラムが調査した数字で、ニューヨーク・ポスト紙が報じた。
同プログラムは同時多発テロのファースト・レスポンダー(災害や事故で負傷した人々に最初に対応する救助隊・救急隊・消防隊・警察など)やサバイバーたちの健康状態をモニタリングしており、登録者数は89000人を超えている。つまり、登録者の約11%が9.11関連と考えられる癌と診断されたことになる。
すでに癌で亡くなった人々の数は約420人。ファースト・レスポンダーやダウンタウンに勤務していた人々、居住者など1700人以上の人々が、9.11に関連する要因でこれまでに亡くなったが、うち、25%近くの人々が癌で亡くなったことになる。
約1万人という、9.11関連の癌に罹患した人々の数を考えると、今後、同時多発テロ以降に癌で亡くなる人々の数が、9.11当日の犠牲者数(約3000人)を凌ぐのは必至かもしれない。
アメリカ同時多発テロから17年。今も、9.11は終わっていない。
・最大30%も高い癌罹患率
癌の原因と考えられているのは、ビル崩壊により生じた有毒ダストだ。ダストは粉砕したコンクリートや燃えたジェット燃料、焼けたコンピューターなどの機器類に由来しており、アスベストやベンゼン、PCB、様々な化学物質(400種を超えると言われている)などが混入した、実体の知れない“化学物質のカクテル”のようなものだという。約9万人の人々が、有毒ダストを吸引したと言われている。
特に、癌に罹患しているのは、現在、平均年齢が約55歳となったファースト・レスポンダーたち。当時、米国環境保護庁は、グラウンド・ゼロの空気は安全だと発表していた。ファースト・レスポンダーたちもそれを信じて働き続けたわけだが、後に、空気は有毒なものであることがわかった。
世界貿易センターヘルスプログラムのマイケル・クレイン医師によると、ファースト・レスポンダーたちは、一般の人々と比べると、癌に罹患する率が最大で30%も高くなっているという。特に、甲状腺癌や皮膚癌に罹患する率が高く、膀胱癌になるリスクも高い。
また、サバイバーたちも、非常に高い率で、乳癌や非ホジキンリンパ腫に罹患している。
・消防士の多くが癌に
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ファースト・レスポンダーの中でも、消防士の多くは有毒ダストに起因する癌で亡くなった可能性が高い。テロ以降亡くなった182人のニューヨーク市消防局(FDNY)の消防士のうち、100人以上が癌で亡くなっている。
6月には、消防士のチーフとしてヒーローとなったロナルド・スパダフォーラ氏が亡くなった。享年63歳。2015年12月に、急性骨髄性白血病という宣告を受けていた。スパダフォーラ氏は亡くなる前、こう書いている。
「近年、火事により放出される有毒物質が増えているため、この20年は、癌で亡くなる消防士の数が激増している。自分は無敵だと思っていたが、間違っていた。消火活動をしたり、世界貿易センタービルで救援復旧活動をしたりしたために命が失われることになった」
また、FBI調査員の場合、9.11当日に亡くなった調査員は1名だったが、その後の現地調査に携わった調査員で、有毒ダストに起因すると考えられる癌で亡くなった者は15人(今年8月時点)もいるという。
9/11(火) 14:39 Y!ニュース 飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20180911-00096410/