しかし、それでは、教育現場は、あまりに子どもたちのリアルな生活とかけ離れてしまうのではないだろうか? 子どもたちは、ネット上のAV動画に無料で24時間アクセスでき、風俗店の宣伝など、商品化された性が溢れる社会に生きている。疑問を持たないないはずがない。
学校で「性とは何か」の説明を受けるチャンスを与えてあげなければ、子どもたちはネットで情報を探すことになる。有象無象の間違った情報を鵜呑みにして、大人になっていくかもしれない。
筆者の暮らすフランスの性教育は、日本とは大きく異なる。子どもたちの実生活に寄り添い、「性とは何か」や「性に関する自分の権利」を伝える性教育の現場をレポートする。
■エイズ撲滅のポスターが街中に
フランスの街中では、巨大なエイズ撲滅運動のポスターをよく目にする。
最近、パリ市で掲出されたポスターは「パリ市を、エイズを心配しないでセックスできる街にしよう」というものだ。
1980年代後半、エイズ感染者数が増加したこともあるだろう。フランスではエイズは他人事ではない。
7月23日版のル・モンド紙は、「今日開催されたアムステルダム市での国際エイズ予防会議で、資金不足ゆえ、エイズ感染が急速に増大する恐れがある」と報道した。
■幼稚園児から高校生まで「性と愛情表現」を学ぶ
パリ市
フランスでは1980年代後半にエイズ患者が拡大した「エイズ・パニック」の結果、1995年から性教育が中学生の義務教育に組み込まれ、学校でコンドームの着用を教えるようになった。
実際には、資金や時間、校長の方針などによって全ての学校で守られているわけではないが、2003年からは、幼稚園児から高校生を対象に「性と愛情生活に関する授業」という名称で教えられ、性だけではなく愛情表現にも言及する授業になった。
講師を勤めるのは、多くの場合、医師、看護師、そして「プランニング・ファミリアル」と呼ばれる家庭計画センターの職員だ。
どんな授業が行われているのだろうか。1950年代後半に中絶とピルの合法化を求める運動を担い、性教育の普及や性暴力対策、性病予防のための知識を普及する団体「ONG」の副会長、キャロリン・レビーさんに聞いた。
――どのように授業するのですか?
基本的に私たちは、子供達が疑問に思っていることに答えると言う姿勢です。だから、まず、疑問に思っていることをなんでも質問してもらう。タブーはありません。
字が書ける年頃からは、質問を匿名で書かせて箱に入れて、そこから講師が任意に選んだ質問に答え、生徒に話し合わさせる方法をとります。
――どういう質問が多いですか?
幼稚園から小学校低学年の場合は、圧倒的に「赤ちゃんどうやってできるの? どこから出てくるの?」です。小学校高学年になると、「友達と恋人の違いって何?」、それから「男性の仕事、女性の仕事ってあるの?」という「らしさ」についての質問が多い。
中学生になると、性暴力、ポルノ映画に関する質問が多いかな。「セックスは絶対20分しなきゃいけないんですか?」とかね。要するに、彼らは何が普通なのか、何が良くて何が悪いかを知りたがる。
高校生になると、もうポルノ映画はフィクションだということがわかっている生徒が多い。だからセクハラ、性的同意、男女平等、性的権利について話します。
続きはソースで
https://www.huffingtonpost.jp/2018/08/23/sex-education-france_a_23507603/?ncid=tweetlnkjphpmg00000001