ジェフ・セッションズ米司法長官は23日、司法省幹部は政治圧力に屈したりしないと強調し、ドナルド・トランプ米大統領の非難に反論した。セッションズ長官は司法省を統括できていないというトランプ氏の批判に対するものと思われる。
2016年米大統領選をめぐるロシア疑惑とトランプ陣営の結託に関する司法省捜査の進展に強い不満を抱くトランプ氏は同日、保守系フォックス・ニュースの単独インタビューで、セッションズ氏が捜査指揮から身を引いたことをあらためて批判した。これに対してセッションズ長官は、「自分が司法長官でいる間、司法省の行動は政治的配慮によって不適切に影響されたりしない」と声明を発表した。
不法移民取り締まり強化など保守派としての政治姿勢からトランプ氏と同調し、大統領選の早い段階からトランプ氏を支持していたセッションズ氏は、選挙中にロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使(当時)と会っていたことが判明し、昨年3月の時点でロシア疑惑捜査から身を引いた。ロシア疑惑捜査を「魔女狩り」と呼び続けるトランプ氏は、セッションズ長官のこの判断を非難し続けてきた。
セッションズ氏の代わりにロッド・ローゼンスタイン副司法長官がロシア疑惑捜査の責任者となり、昨年5月にロバート・ムラー特別検察官を任命。ムラー検察官の捜査によって、トランプ氏の元顧問弁護士が、トランプ氏と不倫関係にあったというポルノ・モデルやポルノ女優に口止め料を払い選挙資金法に違反したことを認めるほか、ロシア疑惑捜査に協力する姿勢を見せている。さらにムラー検察官の捜査で起訴されたトランプ氏の元選対本部長が、ロシア疑惑とは別件の脱税罪などで有罪評決を受けている。
ムラー検察官は、トランプ氏による司法妨害があったかも捜査しているとみられる。トランプ氏は5月、ロシア疑惑を捜査していた連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官(当時)を電撃解任している。ローゼンスタイン副司法長官はこの後、ムラー氏を任命した。
こうした状況でトランプ氏はツイッターや支持者集会などで、一連の捜査を罵倒する発言を繰り返し、ロシア当局と陣営の結託を否定し、司法妨害などしていないと強調している。
BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/45292832