どぶ川をネットで覆う悪臭対策がインドネシアで始まった。8月18日にジャカルタなどで開幕するアジア大会で、各国の選手団を迎える準備の一環だ。
インドネシアにとってアジア大会は、街の発展ぶりを世界に見せる絶好の機会。
街中では急ピッチで歩道の整備やバス停などのペンキ塗り直しが行われ、一夜にして見慣れた景色が変わるほどだ。
そして、悪臭対策もしなければ、ということのようだ。
アジア大会の期間中、日本を含む各国から参加する1万人以上の選手団がジャカルタ市内に新築された選手村に滞在する。
高層建物10棟からなる選手村があるのは、ジャカルタ北部クマヨラン。
家屋が肩を寄せ合うように密集し、家族を乗せたバイクがひっきりなしに行き交う「下町」に隣接する。
問題になっているのが、下町と選手村の間を流れるセンティオン川の悪臭だ。
川幅およそ10メートル、周辺の家庭排水をのみ込みながらジャカルタ湾に流れ込む。
真っ黒な水に阻まれて、深さは推し量ることもできない。この川から強烈なヘドロ臭が巻き上がっている。
地元自治体が悪臭対策として導入したのが、目の細かい真っ黒なネットだ。
選手村のある区間で川面を覆い、直射日光を遮ることで水温の上昇を防ぐ。そうすれば悪臭の発生を抑える効果が期待できるという。
■果たして川の臭いにふたはできるのだろうか
7月23日午後、ネットが張られたセンティオン川を訪れてみた。
川面から数メートル上となる道路脇の手すりにネットが取り付けられていた。巨大な日傘のようだ。
うっすらとヘドロ臭はするが、耐えられないほどではない。効果が出ているのか川のそばで雑貨店を営むロディアさん(45)に聞いてみた。
「正直に言うと、臭いに慣れすぎて違いが分からない。よそから来た人が大丈夫だと言うなら、そうなんでしょう」と素っ気ない。
「こんなネットで臭いがなくなるなら大歓迎だけどね」
選手村から離れて上流に向かって歩くと、ネットが途切れた。臭いがとたんにきつくなった。風向きによっては顔をそむけたくなるほどだ。
両方を比較すると、やはりネットの効果はあるのかもしれない。川では清掃員が流れ着いた菓子袋やペットボトルなどのゴミを網ですくっていた。
アジア大会とは関係なく日ごろから行っているらしい。川岸にはこの日に集めた分だというゴミが積まれていた。
近くではモーターが稼働し、大量の白い泡が出ていた。ナノバブルを発生させる装置と川底にたまったヘドロをかき混ぜる装置だという。
ヘドロを分解して水質を改善するため、ナノバブルを水中で発生させて微生物の成長を促す仕組みだ。
こちらはアジア大会に向けて2週間前に導入された。
現場で水質改善を監督するランガ・レイナロさんは「2週間前は真っ黒だった水が透明に近くなってきている。
ここでナノバブルの効果が証明されれば、他の河川でも導入されることになる」と胸を張る。
続きはソースで
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180725/mog/00m/030/008000c