(CNN) 旅行者や留学生が希望する行き先として、米国の人気は明らかに下がっている。
結果として米国の経済も打撃を受ける可能性がある。
国連世界観光機関(UNWTO)は毎年、旅行者に人気のある国のランキングを発表している。
米国はこれまで、トップのフランスに次ぐ2位だった。
2018年版の正確な数字が発表されるのは春以降だが、昨年まで3位だったスペインが2位の座を奪い、
米国は3位に落ちることが確実となっている。
米商務省が年末に発表した統計によると、
昨年上半期に米国を訪れた外国人旅行者の数は前年より約4%減少した。
旅行ガイド大手として知られたフロマーズの創設者、アーサー・フロマーズ氏は、
この落ち込みについて「いわゆるトランプ・スランプだ」と述べ、
トランプ政権による政策の影響を指摘。旅行分野で名の通った文献がその見解を否定した例は見たことがないと主張する。
旅行者が減って打撃を受けるのは、観光地のコンドミニアムやレストランにとどまらない。
米国の観光資源は製造業のように外国へ流出することがない、重要な収入源だ。
トランプ氏の排他的な態度が遠ざけているのは、観光客だけではない。
米紙ニューヨーク・タイムズが今月伝えた米国際教育研究所(IIE)の調査結果によると、
昨年秋に米国の大学へ留学した外国人学生は、前年より平均7%減少した。
調査対象の大学500校のうち、半数近くで減少傾向がみられたという。
外国人留学生は学費の減免を受けずに全額支払うケースが圧倒的に多く、
これは各大学の大きな収入源になっている。
トランプ政権はイスラム教徒が多数を占める国を入国制限の対象にしているが、
こうした国からの留学生も多い。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の経済学者、
ディック・スターツ氏によると、インドネシア、トルコ、イラン、クウェート、
パキスタンは約4万5000人、サウジアラビアは一国だけで約6万人の留学生を米国へ送り出している。
メーカーの生産拠点が外国へ流出したり、経済危機のあおりを受けたりして一度はさびれた町でも、
大学のある町は失業率が比較的低く、立ち直りも早かったといわれる。
米国人の40人に1人は大学で働いているとの統計もある。
トランプ政権が掲げるように対外赤字を削減して雇用を守るためには、
外国からの旅行者や留学生を遠ざける政策から、歓迎する政策に転じるのが近道かもしれない。
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CNNニュース
https://www.cnn.co.jp/business/35113680.html