男「ククク……ついに……ついに偽札が完成したぜ!」
男「どう見ても本物そっくり! 機械だって騙せる!」
男「だが、とっととここを引き払った方がよさそうだ。サツに乗り込まれたら全てパーになる」
マフィア「その偽札……全部よこしな」
男「な……誰だ!? サツか!?」
マフィア「俺は……マフィアだ」
男「マフィア!?」
マフィア「さぁ、よこしな」
男「ふざけるな! お前なんかに渡してたまるか! こんなのもう二度と作れない!」
マフィア「命を失うことになってもか?」チャッ
男「じゅ、銃……!」
マフィア「お前を死体にしてから、ゆっくり持って行ってもいいんだ」
男「わ、分かった……渡すよ」
マフィア「素直なのはいいことだ。あばよ」
男「くそう……!」
マフィア「……」
マフィア「やった、やった、やったーっ!」
マフィア(実は俺は偽マフィア。正体はただのヤク中)
マフィア(奴が偽札を作ってるのは知ってたから、完成したのを見計らって奪いに来たのさ!)
マフィア(もちろん、この銃も偽物。ただのモデルガン。奴がもっと粘ったら危なかった)
マフィア「さて、こんだけの金があれば……たっぷりヤクを買えるぜ!」
マフィア「売人のところにGo!」
マフィア「よう……」
売人「おお、お前か」
マフィア「この金で買えるだけ……ヤクを売ってくれ」
売人「おいおい、こんな大金どうしたんだよ」
マフィア「金の出所を聞くのは野暮……そうだろ?」
売人「まぁな。綺麗な金だろうが汚い金だろうが、金さえもらえりゃ売ってやるよ。ほれ」ドサッ
マフィア「うおおおおお! こんなにたくさん! 毎日トリップしまくるぜええええ!!!」
売人「……」
売人「うひょ〜! あいつ、どこでこんな金手に入れてきたんだか。大儲けだぜぇ!」
売人(俺は売人なんかじゃない。偽の売人さ)
売人(奴に売ってるヤクも、ただの小麦粉。あいつ、あんなんでいつもどうやってトリップしてんだか。安上がりすぎる)
売人(それはさておき……)
売人「こんな大金手に入れたんだ! あの子のところに行くぜぇ!」
こういうの書いてる奴っていい歳してお人形遊びしてるのと同じだよね
気持ち悪い通り越して怖いわ
売人「や、やぁ」
美女「あら、どうしたの?」
売人「君……お金が必要だっていってたよね?」
美女「うん、そうだけど……」
売人「はい、これ!」サッ
美女「!」
売人「このお金全部あげるから……俺と付き合って下さい!」
美女「嬉しい……ありがとう!」
売人「俺こそ、君の笑顔が見られて嬉しいよ……!」
美女「さっそくこのお金は使わせてもらうわね! そしたらあなたのところに行くから!」
真保裕一の奪取っていうハイクオリティな同系統作品あるから何やっても無駄
美女「……」
美女「なーんてな」
美女(俺は偽美女……実はブサイクなのかって? そうじゃない、“男”なんだ)
美女(もちろん、あんな冴えない野郎と付き合うつもりはない。この金はもらい逃げよ)
美女(これだけありゃ、ようやく夢を叶えることができる!)
美女(“性転換”という夢を!)
美女「あの……お金を集めてきました!」
医者「おお……」
美女「あなたなら、私を女そのものに性転換できるんですよね?」
医者「その通りです、身も心も完璧に女性にして差し上げます」
美女「赤ちゃんも産めるんですよね!?」
医者「もちろんです」
医者「それではさっそく、手術の日程を……」
医者「……」
医者(性転換手術か……)
医者(んなもんできるわけねーだろ、バ〜カ!)
医者(それどころか、俺は医師免許すら持ってねえ。れっきとした偽医者なんだよォ!)
医者(腕の悪いブラックジャックといや分かりやすいか!)
医者(さて……この金はどうするか)
医者「そうだ!」
医者「父さん! 母さん!」
父「おお、お前か」
母「どうしたの?」
医者「このお金……二人にあげるよ!」
父「こんな大金を……!」
母「いったいどうやって稼いだの?」
医者「ま、いいからいいから。二人で温泉旅行にでも行ってきなよ!」
父「……」
母「……」
父「嬉しいなぁ」
母「ええ、ホントに。立派に育ってくれたわ」
父「我々が実の親ではない偽両親とも知らずにな……」
母「ええ……」
父「子宝に恵まれなかった我々はまだ幼いあいつを誘拐し、そのまま育てた」
母「そんなあの子が、これほどの親孝行をしてくれるとはねえ……」
父「せっかくこんな大金もらったんだ」
父「二人で高級温泉旅館に行こうじゃないか。セレブしか泊まれないようなところに!」
母「そうね!」
父「よーし、さっそく予約だ!」
主人「いらっしゃいませ」
父「予約していた夫婦です」
主人「お待ちしておりました。さあ、どうぞ」
母「ここの温泉はすごいんですってね?」
主人「ええ、体の汚れはもちろん、病気も、罪さえも洗い流します」
父「それはすごい!」
母「私たちにうってつけね!」
主人「それではごゆっくり……」
主人「……」
主人(あの夫婦、こんな大金を払ってくれるとはいったいどこの大富豪なんだか)
主人(ちなみに、ウチの旅館の湯は偽温泉さ。水道水に入浴剤入れただけの代物)
主人(汚れ? それなりに落ちるだろうよ。病気? 特に効果ねーよ。罪? んなもん洗い流せるか)
主人(ま、こんなもんに有り難がって入りに来るバカは後を絶たんのだがね)
主人「さて、このお金は当然……」
勇者が魔王倒して魔王がドラゴン倒してドラゴンが…ってやつも面白かった
主人(ウチの旅館の近くにある洞窟には、“神”がいらっしゃる)
主人(私が近づくと……)
神『お供え物は……持ってきたか?』
主人(声が聞こえるのだ! なんという神々しい御声! これは間違いなく神!)
主人「はい、持ってきました!」
神『なんだ?』
主人「今日は現金でございます」
神『ほう……』
主人「このように、札束の山でございます」
神『うむ、よくやった』
神『おぬしには必ずや幸運が訪れるであろう』
主人「ははーっ!」
主人「では失礼いたします」
神『今後もよく神に仕えるのだぞ』
主人「ははーっ! もちろんでございます!」
神「……」
神「ったく、あの主人、勝手に洞窟に住みついてた俺を神だとか崇めやがって、バカじゃねーの?」
神「思い込みが激しいというか、なんというか……」
神「ようするに、俺は偽物の神ってわけだ」
神「ま、せっかくこんな大金くれたんだ」
神「町に出て豪遊しなきゃバチが当たるってもんだぜ!」
神「久々の町だぁ!」
神(うまいもん食って、うまい酒飲んで、いい女抱いて、ギャンブルもやったりして)
神「笑いが止まらねえ〜!」
警官「待ちなさい、君」
神「は、はい?」
神(ゲッ、警察官……!?)
警官「そのカバンはなんだね?」
神「いや、あの、これは……」
警官「開けなさい」
神「え、それはちょっと……」
警官「開けないと射殺するぞ」チャッ
神「ひっ!」
神「わ、分かりました……開けます開けます!」
神「ど、どうぞ」
警官「なんだこの大金は……どうやって手に入れた?」
神「えぇと……競馬で……」
警官「ウソをつけ! どうせ強盗でもしたんだろう!」
神「ひいっ!」
警官「射殺されるか、素直にこの金を渡すか、選べ!」
神「わ、渡します渡します! あなたにあげます! やっぱり町はこりごりだぁ〜!」タタタッ
警官「……」
警官「テキトーに職質かけたら、こんな大金ゲットできるなんて。俺はツイてる! ヒャッホーッ!」
警官「え、俺?」
警官「もちろん、本物の警官だよ」ニヤッ
END
でも偽札じゃんって思ったけど機械も騙せるなら大丈夫か
巡りめぐって最初の男に帰ってくるかと思ってた
おつおつ