投資ならばトランプは喜ぶだろう。
もっと喜ぶのは習近平だということに気が付いているだろうか?
もし日本製鉄がUSスチールを買収して経営権を握れば、世界の粗鉄生産量ランキング3位の中国の鞍山鋼鉄集団が4位に落ち、
日本製鉄が3位にのし上がっていく可能性があった。
しかし投資ならば、日本製鉄の生産量はUSスチールに吸収されるだけで鞍山鋼鉄集団の地位は安泰となる。
中国が喜ばないでいられるだろうか。
あまり知られていないと思われる、鞍山鋼鉄集団と日本製鉄のランキング攻防戦秘話をご披露する。
◆中国の鞍山鉄鋼集団と日本製鉄の世界ランキングは僅差
ー中略ー
図表1:世界の粗鋼生産量ランキング(1位~25位)
![石破首相のUSスチール投資案は「米中に有利」なだけで、日本から絶好のチャンスを奪う愚策! [2/11] [仮面ウニダー★]](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/endohomare/02095974/image-1739186886132.jpeg)
図表1から明らかなように、3位の鞍山鉄鋼集団と4位の日本製鉄の生産量の差は、それほど大きくはない。
だから中国は昨年、万一にも日本製鉄のUSスチール買収が成功したら、きっと日本製鉄が大きく成長して、3位の鞍山鉄鋼を抜くかも
しれないとヒヤヒヤしていた。ところがバイデン(前大統領)が買収禁止令を出したので、ホッとしていたところだった。
◆鞍山鉄鋼と日本製鉄の世界ランキング攻防戦
なぜヒヤヒヤしていたかと言うと、実は日本製鉄の生産量は2017年から2019年までは世界ランキング第3位を保っていたからだ。
ー中略ー
◆鞍山鉄鋼を巡る日中攻防は「満州国時代」から
なお、鞍山鋼鉄集団の前身は、日本の「満州国時代」の「昭和製鋼所」にまで遡り、本渓鋼鉄集団は、日本人の大倉喜八郎が設立した
「満州国時代」の「本渓湖煤鉄」が出発点となっている。
いずれも実質的には「満州鉄道(満鉄。正確には南満州鉄道)」あるいは「満州国政府」の管轄下にあったもので、
筆者が長春時代に住んでいた「興安大路」の家の裏側には、「満鉄」の宿舎があった。
1947年晩秋から1948年10月まで中国共産党軍によって食糧封鎖された期間、唯一1948年の春に芽生えた雑草を摘んで命を繋いだ場所が
「満鉄」の宿舎の跡地だった。
それを思うと、日本製鉄のUSスチール買収問題は他人事(ひとごと)と思えず、時間軸を遡った複雑な気持ちと、
非常にグローバルな視点から見たときの日中攻防に着目してしまうのである。
◆中国の真相を見抜く力がない日本
拙著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で詳述したように、毛沢東は東北一帯にある「満州国」が残した鉄鋼を中心とした
鉄鋼業に重点を置き、新中国建設を急いだ。自分の後継者と決めていた高崗(ガオ・ガーン)に、その東北一帯を治めさせていたのだが、
それを妬んだ鄧小平の陰謀によって、高崗は自殺に追いやられた。
高崗とともに延安の革命根拠地を建設していった(習近平の父)習仲勲は毛沢東に可愛がられ周恩来の後継者と位置付けられていたが、
高崗を自殺に追いやったあと、鄧小平は習仲勲をも妬み、陰謀をめぐらして習仲勲を陥れ、16年間に及ぶ冤罪で牢獄生活や軟禁生活を
送らせた。
そのような鄧小平の陰険な野望を直視せず、「鄧小平神話」を信じ「鄧小平を孤立させてはらなない」として1989年6月4日の
天安門事件の後の西側諸国による対中経済封鎖を真っ先に解除したのは日本だ。
日本のこの愚かな選択により、日本の無残なほどの衰退が始まった。
今回も同じことだ。
ー後略ー
遠藤誉 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
全文はソースから
2/10(月) 20:48
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0a1db7262b32e6dcb74f8be49828a0e41462349e