フィリピン当局は5日、外国人観光客4人を誘拐して身代金を要求した疑いで、マニラ首都圏で勤務していた警察官4人を逮捕したことを明らかにした。被害者のうち3人は中国人だった。中国メディアの観察者網などが報じた。
これまでの報道によると、事件発生は6月1日または2日の週末だった。まず、警官2人が電動バイクに乗って中国人3人とマレーシア人1人の観光客を乗せた自動車を止めた。次に、銃を持った警察官の別の仲間が観光客全員に手錠をかけ、別の自動車に押し込んだ。警察が入手した防犯カメラの映像によれば、誘拐グループは周囲で大勢の人が見る中で犯行を実行した。フィリピン警察によると、中国人のうち2人が脱出に成功して当局に通報した。
フィリピンのアバロス内相は脱出できなかった観光客の状況について、誘拐グループに殴打され、身代金250万ペソ(約670万円)を支払って解放されたと説明した。その後、警察は解放された観光客からの情報や監視カメラの映像を元に、事件に関わった警察官4人を逮捕した。うち1人は、日本の警察制度では警部補や巡査長に相当する、部下を指導する立場の階級だったという。
アバロス内相は5日の記者会見で、「警察官が関与していたことにショックを受けた。国民の信頼および警察の中核的な価値観に大きく反する事件だ」と述べた。記者会見では、事件に関与したとされる警察官4人が、オレンジ色の拘束服を着せられ手錠をかけられて、記者らの前に引き出された。
フィリピン警察によると、警察官ではないが誘拐事件に関係した少なくとも10人の他の容疑者を探している。これまでにも、逮捕された容疑者を誘拐、車の略奪、強盗などの罪で刑事訴追したことがあるという。
AP通信は、フィリピンの警察システムには長期にわたり深刻な問題があると指摘した。フィリピンのドゥテルテ前大統領は、フィリピン全土に23万人以上いる国家警察官の中で、数多くの者が「腐敗の極み」の状態と形容したことがある。(翻訳・編集/如月隼人)
Record ASEAN 2024年6月9日(日) 18時0分
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