尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題や中国の人権問題などをめぐり、「断絶状態」にあった日本共産党と中国共産党が2023年5月、和解へ向けた第一歩を踏み出した。背景には、岸田文雄政権が中国を軍事的に抑止する「大軍拡路線」が日本世論の支持を得ていることへの危機感がある。軍拡が両者の背中を押したのだ。
■「中国の立場と共通」と評価
日本共産党の志位和夫委員長は2023年5月4日、在日中国大使館を訪問し呉江浩駐日大使と会談、悪化する日中関係の打開に向けた両国政府への「3項目提言」を手渡した。呉大使は提言に賛意を示し、「中国の対日政策の参考にする」と答えた。
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると、志位は「両国政府に受け入れ可能な提言にするとともに、(日中関係を)前向きに打開するうえで実効性のある提言にした」と呉に説明。さらに両党関係について、「さまざまな見解の違いがあり、その立場に変わりはないが提言の中にはすべて入れなかった」と述べた。
これに対し呉は、同党が日中関係の悪化を憂慮している姿勢を高く評価すると回答。「提言は全体として中国政府の立場と共通する方向性が多い」と評価した。
志位が中国大使館を訪れ大使と会談するのは2012年9月以来。会談は日本でも短く報じられたが、両党が2016年以来対立して断絶状態にあった事情を知る人は少ないはずだ。
提言内容は、①日中双方が「互いに脅威とならない」とした2008年の「日中共同声明」に反する行動をとらず合意を誠実に履行、②尖閣問題については2014年の日中両政府の「4項目合意」を踏まえ、「対話と協議」を通じて問題解決を図る、③東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱した「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」を共通目標として、東アジア平和の地域協力の推進、の3項目。
志位は大使館訪問の約1カ月前となる3月30日、岸田首相と会談して同じ提言を申し入れている。岸田は、①「互いに脅威とならない」との合意は大事な原則であり、日本政府も維持、②AOIPは日本政府も支持、と賛意を示した。共産党は、同日までに提言を中国側に届けたという。
両党の事情に詳しい関係筋によると、日本共産党は2023年2月から提言内容について関係筋とすり合わせ作業を開始したようだ。3項目の①は、胡錦涛前総書記が2008年に来日した際、福田康夫・元首相とサインした「戦略的互恵関係」に関するコミュニケでうたわれた。
安倍晋三元首相も2018年10月の訪中で、習近平国家主席に対し①競争から協調へ、②互いに脅威とはならない、③自由で公正な貿易体制を発展の「新三原則」を提起し、習も①と②について同意した経緯がある。
一方、岸田政権は2022年12月に閣議決定した安保関連3文書で、中国を軍事的に抑止する敵基地攻撃能力(反撃能力)保有と、5年間で防衛予算を国内総生産(GDP)比2%に倍増させる大軍拡路線を決めた。
■党関係改善へ「4項目合理」盛る ※省略
■断絶と修復の歴史 ※省略
■軍拡批判と中国対立の不整合
日共側の事情をまとめれば、①岸田政権の大軍拡の前提は中国脅威論にあり、大軍拡を批判するうえで中国批判は整合性がとれない、②機関紙読者の減少、各種選挙での退潮は止まらず、中国批判によって党勢は回復しない、③党内外から対中政策見直しを求める突き上げ、などが挙げられる。
中国側は関係断絶を決定した志位自身が和解の申し入れに来たことを奇貨とし、和解を受け入れたのは間違いない。中国共産党は、日共を含め、反軍拡を掲げる市民団体との連携を強めており、幅広い統一戦線工作の構築に乗り出した。
今回は和解に向けた第一歩にすぎない。ただこれまでの中国批判は、次第に影を潜めていくはずだ。当面は両党とも様子を見ながら、今後の展開を見定める方針のようだ。(一部、敬称略)
全文はソース先で
5/24(水) 7:32 東洋経済オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/31e544c96e639da069d74f49977b711f03d77ea8
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