多くの米軍、自衛隊が駐屯する沖縄は台湾統一を目指す中国にとっては目の上のたんこぶだ。しかし、彼らはすでに沖縄が抱える致命的弱点を見つけている。
中国軍が密かに進める恐怖の作戦とは―。
ー中略ー
・台湾の海底ケーブル切断は「対岸の火事」ではない
「うっかり海底ケーブルを切断したと主張している漁民の正体は、中国海警局の訓練を受けた民間工作員の可能性が高い。
3月13日に閉幕した全人代では習近平が国家主席として3期目に入り、中央集権体制が強化されました。特筆すべきは指導部内で、『福建閥』の台頭があったこと。
台湾海峡に面する福建省の人材を重用する人事は、台湾侵攻を見据えたものです。
さらに、福建省の省都である福州市の公安局が中国共産党の情報機関『統一戦線工作部』に吸収合併されたそうです。
これにより、福建省の漁民が諜報組織とともに高度な工作活動に従事できるようになった。
『切断事故』は今後より巧妙に、そしてより頻繁に行われるようになるでしょう」(情報安全保障研究所首席研究員の山崎文明氏)
海底ケーブルを切断する中国の目的がただの嫌がらせでないことは明白だ。英オックスフォード大学の研究員、エリザベス・ブラウ氏は一連の事件について、
「台湾統一を見据えた情報封鎖の予行演習であるとも考えられる」と警鐘と鳴らす。
この台湾の海底ケーブル切断は、日本にとっても他人事ではない。'25年までに起こると予測される台湾有事。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が行った机上演習によれば、台湾防衛は「自衛隊の関与」「沖縄米軍基地の使用」が前提とされている。沖縄は台湾防衛の最重要拠点なのだ。
・偶然の事故とは思えない「徳之島の切断」
逆に中国からしてみたら、統一作戦を遂行するにあたり、沖縄から日米戦力を排除すれば、圧倒的優位に台湾を制圧することが可能だ。
それを現実にする手段―それが海底ケーブル切断による「沖縄封鎖作戦」である。
中国軍はすでに動き始めている。実は1月24日、海底ケーブルが断線したことにより、徳之島(鹿児島県)でネット接続、電子決済ができなくなるなど、大規模なインターネット障害が起きた。
海底ケーブルを所有するNTT西日本に原因を問い合わせたところ、広報部がこう答えた。
「断線原因は現在も調査中です。テロ対策上の観点から回答が難しいものもございます」
中国軍による工作活動であったかどうかは不明だ。しかし、断線が起きた現場に着目すると、単なる偶然の事故とは言い難い事実が判明した。
そこは近年、中国漁船が侵入を何度も繰り返してきたトカラ列島沖だったのだ。もし、これが馬祖列島と同様に情報封鎖の予行演習だったならば、事態は我々が考えているより、かなり切迫している。
「週刊現代」2023年3月25日号より
3/25(土) 12:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a394eb64a67f67c159eeb115e4f7dbdc7c0449d