「安保3文書」閣議決定の意味
「核心目標は北朝鮮への攻撃ではなく中国けん制」
「日米同盟は、朝鮮半島と台湾海峡という2つの脅威に同時に向き合わなければならない。韓国が要請しない限り、日本がわざわざ北朝鮮攻撃作戦に参加する可能性は高くない」
日本の知韓派安保専門家である政策研究大学院大学(GRIPS)の道下徳成教授(56)は、16日に閣議決定された「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」を骨子とする国家安全保障戦略などの安保関連3文書の改正の意味を「日本が台湾海峡の平和と安定に本格的に寄与するという意思を明らかにしたもの」だと説明した。日本国内でも、戦後70年あまり維持されてきた「専守防衛原則(日本の武力は防衛のためだけに使用されるという原則)」からの「大きな変化」がなされたと評されているこの決定の核心目標は、「北朝鮮に対する攻撃」ではなく「中国けん制」だとの見解を明らかにしたのだ。その一方で、コミュニケーションの重要性が高まったとしつつ、「可能なら日韓、日米韓の外相と国防相が参加する『2+2会議』を開始するのも良い」と強調した。最近の安保状況の変化に対する日本の主流社会の見解をよく示すこのインタビューは、13日に道下教授の研究室で行われた。
-敵基地攻撃能力の保有、防衛費の倍増など、約70年ぶりに日本の安保政策の枠組みが大きく変わった。この改正は何を意味するのか。
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-日本の安保政策の転換は東アジアにどのような影響を与えるか。
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-日本は敵基地攻撃を米軍と共同で運用する予定だ。日米が判断すれば、日本は直に北朝鮮を攻撃しうる。韓国にとっては大きな負担だ。
「だからこそ日韓、日米韓の緊密な対話が是非とも必要だ。可能なら外相と国防相が参加する2+2会議を開始するのも良い考えだ。朝鮮半島と台湾海峡の安保はつながっている。日米同盟は、朝鮮半島と台湾海峡という2つの脅威に同時に向き合わなければならない。そのうえ戦力が北と南に分散しているため、対応は容易ではない。
特に中国は、台湾海峡で軍事的優位を占めるために朝鮮半島危機を作り出しうる。かつて中国は北朝鮮の核・ミサイル開発を快く思っていなかったが、最近は米中対立が激しくなっているうえ、台湾問題があるため、状況は異なる。多少のリスクはあるだろうが、北朝鮮を強くした方が有利だと判断しうる。最も懸念されるのは、中国が軍事支援を行うこと。朝鮮半島の危機が高まれば、中国はその時を台湾侵攻のチャンスだと考える可能性もある。朝鮮半島で紛争が発生すれば、北朝鮮に対応するのは主に米韓で、日米は中国が台湾を攻撃しないよう南西に戦力を展開することになるだろう。韓国が要請しない限り、日本がわざわざ北朝鮮攻撃作戦に参加する可能性は高くない」
-相次ぐミサイル発射、7回目の核実験の可能性など、北朝鮮の状況は穏やかではない。
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-大々的な軍備拡充は「抑制力」のためだと日本は言っているが、かつて侵略と植民地支配を受けた韓国では懸念する視線がある。
「今の日韓を比べると、韓国の方がはるかに攻撃兵器を多く持っている。国防予算も大きな差はなく、日本が国内総生産の1%水準なら、韓国は2.8%を占める。この10年間で韓国は国防予算が43%も増えた。日本の増加は18%だ」
-中国に対する外交努力は必要ではないか。
「米国をはじめ国際社会は長い間、中国に対する外交的努力を行ってきた。中国が責任を持って国際社会の一員になることを期待したが、中国はその間に軍事力を途方もなく強化した。外交的努力は必要だが、軍事力によって担保されない外交は影響力がない。中国にとっては、自分たちが強ければ協力する理由はない」
東京/キム・ソヨン特派員
ハンギョレ 2022-12-20 04:26 修正:2022-12-20 08:50
https://japan.hani.co.kr/arti/international/45440.html