中国の国営メディアは今週になって、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会を大きく取り上げている。しかし大会が進むにつれ、お祭り騒ぎから取り残されているという不満が、中国で高まっている。
中国の人々がいら立っているのは、自国の代表チームが予選を通過できなかったこともあるが、カタールで人々がマスクを着けずに歓喜したり、集まって騒いだりしている様子が伝わってくることも要因にある。自分たちは、集まってテレビ観戦することもだめだと言われているからだ。
W杯に乗じて、中国の「ゼロコロナ」戦略への不満をオンラインでこぼす人も多い。中国政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、1人でも感染者が見つかれば地域全体をロックダウンする政策を取り続けている。
現在は過去最悪の感染流行に見舞われている。ロックダウンを実施する地域がここ数週間で急増。感染者は1日あたり3万人を超え、すべての省と直轄市、自治区で確認されている。
サッカーは中国でとても人気が高い。習近平国家主席はサッカー好きで知られており、W杯で中国が優勝するのが夢だと話したこともある。
そのため、W杯の試合は国営放送局CCTVが中継。他の国営メディアも、W杯での中国の「存在感」を強調している。英字紙の環球時報(グローバル・タイムズ)は、「バスから(ルサイル)スタジアム、エアコン設備に至るまで」、中国製品が「この大会でかなり目立っている」と伝えた。
CCTVなど主要メディアはさらに、開会式に中国人の旗手がいたことや、中国からカタールに到着したジャイアントパンダ2頭がW杯観戦者らを「出迎えている」ことを宣伝している。
しかし、お祭りムードに新型ウイルスが水を差しているのは明らかだ。大都市では感染流行により、生活に必要な事業所以外は再び営業中止とされ、市民らに移動の制限が指示されている。
環球時報は、バーに行くこともできないサッカーファンたちが、「自宅で家族と観戦することを選んでいる」と伝えている。キャンプ場に行く人もいるという。
カタールと中国を結ぶ航空便も、現地で観戦しようとする人の利用は依然、厳しく制限されている。
多くの人は、今年のW杯を見ながら深い孤立感を覚えている。
中国のメッセージアプリ、微信(ウィーチャット)では22日、ゼロコロナ政策の継続を疑問視し、中国はカタールと「同じ惑星にいる」のかと問う公開書簡が瞬く間に拡散され、のちに検閲された。
ツイッターに似た中国のソーシャルメディア、微博(ウェイボー)には、試合を見ていると、世界の国々との分断を感じるとする投稿があふれている。
一部からは、何十万人もがマスクを着けず、検査証明の提示も求められずに集まっている光景が「異様」に見えるという声も上がっている。「社会的距離を保てるよう離した座席はないし、ピッチ横には白と青の(医療)服を着た人がいない。この惑星は本当に分断されてしまった」。
「一方にはW杯というカーニバルがあり、もう一方には公共の場所に5日間行ってはいけないという規則がある」と言う人もいる。
W杯開催地の光景が、自分たちの国の様子となぜこんなに違うのか、子どもに説明するのが難しいという声も出ている。
他方、世界保健機関(WHO)がなおも「世界的な緊急事態」だとする中、外国からの人々を受け入れている国々を批判する人は、中国には多い。
しかし、中国の現行の新型ウイルス対策に終わりは見えない。国家衛生健康委員会の報道官は今週、「疫病の予防と制御に手を抜かないよう警告」するとともに、感染を抑えるためとして、「より断固かつ強力な措置」を強く求めた。
大都市の当局は、集団検査や移動制限を再導入し、ついには市民に自宅から出ないよう呼びかけている。
だが、そうした措置はもう3年間続けられており、人々は不満を募らせている。広州市と鄭州市では先月、それが抗議デモとなって噴出した。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63754434
中国の人々がいら立っているのは、自国の代表チームが予選を通過できなかったこともあるが、カタールで人々がマスクを着けずに歓喜したり、集まって騒いだりしている様子が伝わってくることも要因にある。自分たちは、集まってテレビ観戦することもだめだと言われているからだ。
W杯に乗じて、中国の「ゼロコロナ」戦略への不満をオンラインでこぼす人も多い。中国政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、1人でも感染者が見つかれば地域全体をロックダウンする政策を取り続けている。
現在は過去最悪の感染流行に見舞われている。ロックダウンを実施する地域がここ数週間で急増。感染者は1日あたり3万人を超え、すべての省と直轄市、自治区で確認されている。
サッカーは中国でとても人気が高い。習近平国家主席はサッカー好きで知られており、W杯で中国が優勝するのが夢だと話したこともある。
そのため、W杯の試合は国営放送局CCTVが中継。他の国営メディアも、W杯での中国の「存在感」を強調している。英字紙の環球時報(グローバル・タイムズ)は、「バスから(ルサイル)スタジアム、エアコン設備に至るまで」、中国製品が「この大会でかなり目立っている」と伝えた。
CCTVなど主要メディアはさらに、開会式に中国人の旗手がいたことや、中国からカタールに到着したジャイアントパンダ2頭がW杯観戦者らを「出迎えている」ことを宣伝している。
しかし、お祭りムードに新型ウイルスが水を差しているのは明らかだ。大都市では感染流行により、生活に必要な事業所以外は再び営業中止とされ、市民らに移動の制限が指示されている。
環球時報は、バーに行くこともできないサッカーファンたちが、「自宅で家族と観戦することを選んでいる」と伝えている。キャンプ場に行く人もいるという。
カタールと中国を結ぶ航空便も、現地で観戦しようとする人の利用は依然、厳しく制限されている。
多くの人は、今年のW杯を見ながら深い孤立感を覚えている。
中国のメッセージアプリ、微信(ウィーチャット)では22日、ゼロコロナ政策の継続を疑問視し、中国はカタールと「同じ惑星にいる」のかと問う公開書簡が瞬く間に拡散され、のちに検閲された。
ツイッターに似た中国のソーシャルメディア、微博(ウェイボー)には、試合を見ていると、世界の国々との分断を感じるとする投稿があふれている。
一部からは、何十万人もがマスクを着けず、検査証明の提示も求められずに集まっている光景が「異様」に見えるという声も上がっている。「社会的距離を保てるよう離した座席はないし、ピッチ横には白と青の(医療)服を着た人がいない。この惑星は本当に分断されてしまった」。
「一方にはW杯というカーニバルがあり、もう一方には公共の場所に5日間行ってはいけないという規則がある」と言う人もいる。
W杯開催地の光景が、自分たちの国の様子となぜこんなに違うのか、子どもに説明するのが難しいという声も出ている。
他方、世界保健機関(WHO)がなおも「世界的な緊急事態」だとする中、外国からの人々を受け入れている国々を批判する人は、中国には多い。
しかし、中国の現行の新型ウイルス対策に終わりは見えない。国家衛生健康委員会の報道官は今週、「疫病の予防と制御に手を抜かないよう警告」するとともに、感染を抑えるためとして、「より断固かつ強力な措置」を強く求めた。
大都市の当局は、集団検査や移動制限を再導入し、ついには市民に自宅から出ないよう呼びかけている。
だが、そうした措置はもう3年間続けられており、人々は不満を募らせている。広州市と鄭州市では先月、それが抗議デモとなって噴出した。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63754434