連日のようにミサイルを発射する北朝鮮。各国から厳しい経済制裁を受ける中、その費用はどこから捻出しているのか。
北朝鮮の「外貨獲得」の手段の一つとされるのが、サイバー攻撃だ。「ラザルス」と呼ばれるハッカー集団が、日本を含む世界中の暗号資産を盗み続けているという。
一体何者なのか。その正体に迫る。
(サイバー取材班)
政府が異例の名指し
先月、国家公安委員長が記者会見で行った「ある発言」、関係者の間に衝撃が走った。
「北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスが(日本の)暗号資産関連の事業者などを標的としたサイバー攻撃を行ったと判断するにいたった」
政府がサイバー攻撃の実行者とその背後の国家機関を特定して公表することを「パブリック・アトリビューション」と呼ぶが、これまで日本政府は、ほとんど行っておらず、極めて異例のことだった。
警察庁と金融庁、それに内閣サイバーセキュリティセンターは、この日、連名で、暗号資産の事業者などに向けて注意喚起の文書を出した。
政府が、異例の宣言を行った、ハッカー集団「ラザルス」とは、何者なのか。
映画会社、そして中央銀行も
ラザルスの名前が広く知られるようになったのはいまから8年前。
アメリカの「ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント」へのサイバー攻撃だ。
北朝鮮の最高指導者の暗殺をテーマにしたコメディー映画を製作していて、それに対する報復が目的と見られた。
劇場未公開の新作を含む、社内の機密情報が漏えいするなどの被害が出た。
アメリカ政府などが、ラザルスによる犯行だとしている。
さらに世界を驚かせたのは、国の中央銀行に対するハッキングだった。
2016年、バングラデシュの中央銀行のコンピューターシステムに侵入し、8100万ドルを不正送金したとされる。
アメリカ司法省は、送金には世界各国の銀行が国境を越えて送金する際に使うシステム「SWIFT(スウィフト)」=「国際銀行間通信協会」のネットワークが悪用されていたとしている。
ほかにも、アメリカ司法省は、ラザルスが17年に世界中で猛威を振るった身代金要求型のコンピューターウイルス「WannaCry=ワナクライ」にも関与していると指摘している。
※続きは元ソースで
NHK NEWS WEB 2022年11月14日 19時29分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221114/k10013890411000.html