【北京=多部田俊輔】中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は17日、広東省深圳市に半導体の新工場を建設すると発表した。総投資額は23億5000万j(約2600億円)を見込む。米国が半導体などハイテク分野で対中包囲網の構築を進めていることを受け、中国は生産力増強で自給率の引き上げをめざす。
新工場はSMICと深圳市政府が共同出資する企業が建設して運営する。2022年の生産開始を見込む。出資比率はSMICが約55%で、深圳市側は23%を超えないとしている。生産能力は直径12インチのシリコンウエハーで月間4万枚としている。
新工場は回路線幅が28ナノ(ナノは10億分の1)メートル以上の製品という。中国メディアは米商務省からSMICが受けた禁輸措置は回路線幅が10ナノメートル以下の最先端の生産設備であるため、新工場の製造設備の輸入では大きな支障はないとの見方を示す。
ただ、米国は半導体を中国の「弱点」として制裁し、対中包囲網の構築を進めている。このため、外資系半導体設備メーカー幹部は「これから米国側の姿勢がさらに厳しくなれば、最新鋭でなくても製造設備の輸入が遅れる恐れは否定できない」と指摘する。
中国政府は21年からの5カ年計画で半導体を戦略的な重点科学分野に位置づけ、外国からの制裁に影響されない独自サプライチェーン(供給網)の構築をめざす。20年12月期には売上高が前の期比で25%増え、純利益を約3倍に伸ばしたSMICは中国の半導体業界をけん引する企業だ。
ただ、米国の制裁を受けて、SMICは21年12月期の投資額を前期比で25%減の43億ドルに減らす投資計画を立てている。製造設備の調達に不確実性が生じていることが一因で、SMICは最先端の分野から普及分野の半導体の生産拡大に動いている。
日本経済新聞 2021年3月18日 0:32
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