【台北=中村裕】米国のアンドリュー・ウィーラー環境保護局(EPA)長官が12月に台湾を訪問する見通しとなった。19日の米紙の報道を台湾当局が認めた。米高官の訪台は8月のアザー厚生長官、9月のクラック米国務次官に続き3人目。異例の頻度となる。中国の反発は必至だ。
日程は12月5日ごろから3日間を予定するという。ウィーラー氏は石炭業界のロビイスト出身。昨年、トランプ米大統領が指名し、長官に就いた。
報道について、台湾の外交部(外務省)は20日、「台湾と米国は環境保護をテーマに30年近くパートナーシップを結んできた。昨年末に台湾側から米国に対し、同氏の訪台を提案した」とコメントした。訪問中は環境保護などを中心に広く意見交換をする見通し。
米高官の台湾訪問が、活発化している。8月にはアザー長官が1979年の断交後、最高位の高官として訪問した。9月にもクラック米国務次官が訪台し、李登輝・元総統の告別式に参列した。
米国は79年に台湾と断交して以降、「一つの中国」を唱える中国に配慮し、台湾との間で高官の相互往来を自粛してきた。だが、トランプ政権が流れを変えた。
2018年3月に米台の高官の相互訪問を促す「台湾旅行法」にトランプ大統領が署名、成立させた。そのため断交中でも、米台で高官の相互往来が積極的にできるようになった。
ただ、中国の反発は激しい。相次ぐ米高官の訪台を受け、最近では、中国は軍用機を使って台湾の防空識別圏に度々侵入するなど、連日の威嚇行為を常態化させている。
日本経済新聞 2020年11月20日 13:38
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66462220Q0A121C2FF8000
アンドリュー・ウィーラー環境保護局(EPA)長官が、12月に台湾を訪問することが明らかになった=ロイター