(台北中央社)日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表(大使に相当)が先日、中央社のインタビューに応じた。泉氏は台湾を「互いを家族のように思いやる真の友」と形容。「台湾が大好き」と語る一方で、日台関係のありかたについては独自の思いも吐露した。
前駐バングラデシュ大使。台湾には、沼田幹夫前代表の後任として昨年11月に着任した。在上海日本国総領事館総領事など、中国での勤務が延べ15年間に及び、書や絵画、演劇などの中国文化に造詣が深い。
▽駐台代表としての抱負
任地の人たちに日本を好きになってもらうのが外交官の使命だが、日台間にはお互いを思いやる「厚い友情」の土台がすでにある。この土台を大切にしながらより相手が必要としていることに思いを致し、痛みも分かち合える関係づくりを目指すことが最大の目標だ。
日台関係で重点を置くのは、台湾の若い世代に日本をより理解してもらうための文化交流、そして経済の相互発展。経済は日台関係をつないできた重要な基礎だ。この基礎の上に、第三国市場における日台協力というアイディアを推進したい。例えば前任地のバングラデシュは、大きな経済発展のチャンスに恵まれている。台湾も、東南アジアや南アジア諸国との関係強化を目指す「新南向政策」を推進していると承知している。
▽台湾の国際機関参加に関して
・環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP):日本は一貫して台湾のCPTPP参加の意向を歓迎している。台湾は世界的にも重要なエコノミーで、そのような台湾が国際的な経済的枠組みのメンバーとして存在することは世界経済にとっても重要だ。
・世界保健機関(WHO):国際保健課題への対応に地理的空白を生じさせないためにもWHO総会に台湾が何らかの形で参加することが望ましいと考えている。今回の新型コロナウイルスの事態でもこれ以上の感染拡大を防止する観点から、引き続き、あらゆる機会に我が国の立場を主張していく。
・気候変動や海洋プラスチックゴミ、航空安全、テロ対策など地球規模の課題解決についても、台湾が地域の重要なアクターとして貢献することが欠かせないと考える。
▽福島など5県産食品に対する台湾の禁輸措置
多くの国や地域で日本産食品の安全性が理解され、科学的根拠に基づき輸入規制の撤廃・緩和が実施されている中、台湾で禁輸措置が続いているのは大変残念だ。台湾が食品の輸入を禁止している福島、群馬、栃木、茨城、千葉の食品は、安全であるだけでなく、生産者の方々が世界に誇る自慢の「作品」。フルーツ天国の台湾に負けない福島のモモや栃木のイチゴなどをぜひ台湾の方に味わっていただくため、台湾の人々に本当に「安心感」を持ってもらえるよう努力していくことが私の責務。
▽日中関係の改善がもたらす日台関係への影響
日中関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つで、安定した日中関係は地域及び国際社会の課題の対応においても重要だ。一方、日本にとって台湾は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値観を共有し、唇と歯の関係にも例えられる大切な友人。日中関係の改善によって日台関係の発展が阻害されるべきでないと思う。
日台間には、災害時にはお互い真っ先に助け合ってきた心と心の絆がある。自分の使命は日台関係をさらなる高みに引き上げることだ。2011年の東日本大震災から3月11日で9年。まるで家族のように手を差し伸べてくれた台湾の人たちの温かさと思いは日本人の心に刻み込まれている。10周年となる来年は、改めて震災支援への感謝を伝えて友情を確認し合う節目の一年にしたい。
続く
(塚越西穂)
http://japan.cna.com.tw/news/apol/202003100002.aspx
中央社フォーカス台湾 2020/03/10 13:49
日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表
前駐バングラデシュ大使。台湾には、沼田幹夫前代表の後任として昨年11月に着任した。在上海日本国総領事館総領事など、中国での勤務が延べ15年間に及び、書や絵画、演劇などの中国文化に造詣が深い。
▽駐台代表としての抱負
任地の人たちに日本を好きになってもらうのが外交官の使命だが、日台間にはお互いを思いやる「厚い友情」の土台がすでにある。この土台を大切にしながらより相手が必要としていることに思いを致し、痛みも分かち合える関係づくりを目指すことが最大の目標だ。
日台関係で重点を置くのは、台湾の若い世代に日本をより理解してもらうための文化交流、そして経済の相互発展。経済は日台関係をつないできた重要な基礎だ。この基礎の上に、第三国市場における日台協力というアイディアを推進したい。例えば前任地のバングラデシュは、大きな経済発展のチャンスに恵まれている。台湾も、東南アジアや南アジア諸国との関係強化を目指す「新南向政策」を推進していると承知している。
▽台湾の国際機関参加に関して
・環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP):日本は一貫して台湾のCPTPP参加の意向を歓迎している。台湾は世界的にも重要なエコノミーで、そのような台湾が国際的な経済的枠組みのメンバーとして存在することは世界経済にとっても重要だ。
・世界保健機関(WHO):国際保健課題への対応に地理的空白を生じさせないためにもWHO総会に台湾が何らかの形で参加することが望ましいと考えている。今回の新型コロナウイルスの事態でもこれ以上の感染拡大を防止する観点から、引き続き、あらゆる機会に我が国の立場を主張していく。
・気候変動や海洋プラスチックゴミ、航空安全、テロ対策など地球規模の課題解決についても、台湾が地域の重要なアクターとして貢献することが欠かせないと考える。
▽福島など5県産食品に対する台湾の禁輸措置
多くの国や地域で日本産食品の安全性が理解され、科学的根拠に基づき輸入規制の撤廃・緩和が実施されている中、台湾で禁輸措置が続いているのは大変残念だ。台湾が食品の輸入を禁止している福島、群馬、栃木、茨城、千葉の食品は、安全であるだけでなく、生産者の方々が世界に誇る自慢の「作品」。フルーツ天国の台湾に負けない福島のモモや栃木のイチゴなどをぜひ台湾の方に味わっていただくため、台湾の人々に本当に「安心感」を持ってもらえるよう努力していくことが私の責務。
▽日中関係の改善がもたらす日台関係への影響
日中関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つで、安定した日中関係は地域及び国際社会の課題の対応においても重要だ。一方、日本にとって台湾は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値観を共有し、唇と歯の関係にも例えられる大切な友人。日中関係の改善によって日台関係の発展が阻害されるべきでないと思う。
日台間には、災害時にはお互い真っ先に助け合ってきた心と心の絆がある。自分の使命は日台関係をさらなる高みに引き上げることだ。2011年の東日本大震災から3月11日で9年。まるで家族のように手を差し伸べてくれた台湾の人たちの温かさと思いは日本人の心に刻み込まれている。10周年となる来年は、改めて震災支援への感謝を伝えて友情を確認し合う節目の一年にしたい。
続く
(塚越西穂)
http://japan.cna.com.tw/news/apol/202003100002.aspx
中央社フォーカス台湾 2020/03/10 13:49
日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表