【ソウル=水野祥】金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長の実妹・金与正キムヨジョン氏が12日夕、10日に死去した金大中キムデジュン元韓国大統領夫人の李姫鎬イヒホ氏の弔問のため南北軍事境界線上の板門店パンムンジョムを訪問した。
与正氏は板門店の北朝鮮側施設「統一閣」に正恩氏名義の弔意文と弔花を持参した。韓国側は、大統領府の鄭義溶チョンウィヨン国家安保室長らが応対した。鄭氏はその後、文在寅ムンジェイン大統領から正恩氏に宛てた親書やメッセージはあったかとの記者の質問に「なかった。故人の追悼に集中した」と述べた。
面談時間は約15分だったという。文氏が12日、訪問先のノルウェーのオスロでの演説で「トランプ米大統領が6月末に訪韓するが、可能ならそれ以前に(私が)金委員長に会うのが望ましい」と述べており、韓国側は、与正氏との面談の際にも、トランプ氏訪韓前の南北首脳会談の開催を呼び掛けた可能性がある。
12日はシンガポールでの初の米朝首脳会談から1年の節目となった。北朝鮮は物別れに終わった2月のハノイでの米朝会談以降、仲介役を務めた韓国に失望感を示しており、今回の与正氏との接触が南北対話の再開につながるかは不透明だ。
李姫鎬氏は、正恩氏と与正氏の父、金正日キムジョンイル総書記が2011年12月に死去した際に弔問で訪朝し、正恩氏と面会していた。
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讀賣新聞 2019年6月12日(水)