【ニューヨーク=高橋そら】2012年に中国の広東省でカナダ人や米国人、中国人など11人が覚醒剤を製造・密売したとして罪に問われている裁判で、中国の裁判所が30日、このうちカナダ人と中国人の被告2人に死刑判決を言い渡した。カナダメディアが報じた。
カナダ紙グローブ・アンド・メールの報道によると、11人は12年に広東省内に拠点を設け覚醒剤約63キログラムなどを製造・密売した罪に問われた。裁判所は死刑判決を下したカナダ人男性について「多国間での非常に深刻な麻薬製造および密売」に主導的な役割を果たしたと断じた。
カナダのフリーランド外相は30日、記者団に対して「(死刑は)いかなる国でも使用されるべきではない残酷で非人道的な罰だ」と非難した。「カナダ人に死刑が適用されることを強く懸念している」と述べた。
中国の裁判所は1月にも、麻薬密輸罪に問われたカナダ人男性被告への差し戻し審で被告に死刑判決を言い渡した。カナダ当局は18年12月に中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を米国側からの要請で拘束し、米への身柄引き渡し審理の準備を進めている。カナダ人被告らへの死刑判決は中国側の報復措置だとの見方も出ており、カナダ側は「中国は恣意的に死刑判決を出している」(トルドー首相)と激しく批判している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44379360R00C19A5000000/
日本経済新聞 2019/5/1 8:40
カナダのフリーランド外相は中国によるカナダ人被告への死刑判決を非難=ロイター