大統領記録物法は2007年に制定・施行されて今年で10年となった。この法律の最初の提案者は当時ハンナラ党だった鄭文憲(チョン・ムンホン)議員だ。鄭文憲議員は2005年、「芸文春秋館法」という名称で大統領記録物法のもととなる法案を代表発議した。その後、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で修正・補完され、07年に与野党の合意で国会を通過した。
この法律の制定前は大統領記録物がほとんどなかった。元大統領のほとんどが退任に合わせて在任中の記録を廃棄したり、私邸に持ち去ったりしていた。このように国家記録として保存されていない大統領記録物は現在、さまざまなインターネットサイトなどを通じて売買されることもある。
全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時代の国家保衛非常対策委員会議事録や6月民主抗争の6・29宣言、金泳三(キム・ヨンサム)政権のコメ開放対国民謝罪文など、数多くの大統領記録が探そうにもなかなか探せないのが実情だ。
法そのものは非常に革新的であり、絶対に必要だった。しかし、この10年間、大統領記録物法をめぐって多くの議論がなされてきた。盧武鉉元大統領が退任後、在任中の大統領記録が入っているハードディスクの複写1部を私邸(慶尚南道金海市ポンハ村)に持ち出したという話が代表的な例だ。
李明博(イ・ミョンバク)元大統領は後任政権が参考にする必要がある秘密記録の複写を1件も作らず、本人だけが閲覧できるように大統領指定記録物にした。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が突然弾劾されたことで残された大統領府記録の数々をどう見るべきなのかをめぐっても、さまざまな議論が巻き起こっている。
このような議論を整理するには、いくつかの争点に対する共通認識が必要だ。まず、大統領記録物の範囲を明確にしなければならない。大統領記録物法では、「大統領(大統領権限代行、次期大統領を含む)と大統領の補佐・諮問機関および警護業務を行う機関、大統領職引き継ぎ委員会で作成した記録」を「大統領記録」と定義している。
つまり、大統領府で職務に関連して作成した記録のほとんどが大統領記録だと言える。各部処(省庁)が作成して大統領が決裁した記録はここから除外される。大統領記録物のほとんどが非公開だと考えるのは誤解だ。大統領記録物法によると、「国政運営の透明性や責任性を高めるため、国家記録院長がこの記録を十分に公開・活用できるようにすべきだ」としている。
大統領記録物法のうち、最も議論の的となる条項は、大統領指定記録物制度だ。この制度は米国の大統領記録物法を参考にした。米国では外交・秘密の記録や、大統領と補佐官の間でやり取りした秘密通信記録など6項目について最大12年間、公開を制限している。韓国の大統領記録物法も、米国と同様に政務職公務員人事に関する記録など6事項について15年から30年まで非公開を原則としている。
野党の自由韓国党などは「文在寅(ムン・ジェイン)政権が今年5月の執権後、大統領府のキャビネットで発見した朴槿恵政権の文書は大統領指定記録物だ」と主張している。しかし、大統領指定記録物はリストも公開されておらず、外部からは大統領指定記録物なのかどうか分からない。
原則として、大統領指定記録物は厳格に管理しなければならず、複写製作が禁止されているので、現行法上、キャビネットの文書を大統領指定記録物と見なすのは難しい。これと共に、大統領有故状況(有故=弾劾・死去などの非常事態が起こるという意味)で、第三者が大統領指定記録物を指定できるかどうかが議論になった。
法では、大統領記録物の範囲に大統領権限代行が含まれている。朴槿恵前大統領が弾劾された状態で、黄教安(ファン・ギョアン)権限代行が作成した記録は大統領記録に含まれるということだ。だが、弾劾された大統領が作成した大統領記録に対する指定権限が誰にあるのかは明文化された規定が存在しない。
国家記録院は、大統領記録物の範囲条項を根拠に、黄教安権限代行に大統領指定記録物の指定権限があると類推解釈した。その後、黄教安権限代行は20万4000件を大統領指定記録物に指定し、大統領記録館に移管した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/27/2017102701792.html
(>>2以降に続く)
この法律の制定前は大統領記録物がほとんどなかった。元大統領のほとんどが退任に合わせて在任中の記録を廃棄したり、私邸に持ち去ったりしていた。このように国家記録として保存されていない大統領記録物は現在、さまざまなインターネットサイトなどを通じて売買されることもある。
全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時代の国家保衛非常対策委員会議事録や6月民主抗争の6・29宣言、金泳三(キム・ヨンサム)政権のコメ開放対国民謝罪文など、数多くの大統領記録が探そうにもなかなか探せないのが実情だ。
法そのものは非常に革新的であり、絶対に必要だった。しかし、この10年間、大統領記録物法をめぐって多くの議論がなされてきた。盧武鉉元大統領が退任後、在任中の大統領記録が入っているハードディスクの複写1部を私邸(慶尚南道金海市ポンハ村)に持ち出したという話が代表的な例だ。
李明博(イ・ミョンバク)元大統領は後任政権が参考にする必要がある秘密記録の複写を1件も作らず、本人だけが閲覧できるように大統領指定記録物にした。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が突然弾劾されたことで残された大統領府記録の数々をどう見るべきなのかをめぐっても、さまざまな議論が巻き起こっている。
このような議論を整理するには、いくつかの争点に対する共通認識が必要だ。まず、大統領記録物の範囲を明確にしなければならない。大統領記録物法では、「大統領(大統領権限代行、次期大統領を含む)と大統領の補佐・諮問機関および警護業務を行う機関、大統領職引き継ぎ委員会で作成した記録」を「大統領記録」と定義している。
つまり、大統領府で職務に関連して作成した記録のほとんどが大統領記録だと言える。各部処(省庁)が作成して大統領が決裁した記録はここから除外される。大統領記録物のほとんどが非公開だと考えるのは誤解だ。大統領記録物法によると、「国政運営の透明性や責任性を高めるため、国家記録院長がこの記録を十分に公開・活用できるようにすべきだ」としている。
大統領記録物法のうち、最も議論の的となる条項は、大統領指定記録物制度だ。この制度は米国の大統領記録物法を参考にした。米国では外交・秘密の記録や、大統領と補佐官の間でやり取りした秘密通信記録など6項目について最大12年間、公開を制限している。韓国の大統領記録物法も、米国と同様に政務職公務員人事に関する記録など6事項について15年から30年まで非公開を原則としている。
野党の自由韓国党などは「文在寅(ムン・ジェイン)政権が今年5月の執権後、大統領府のキャビネットで発見した朴槿恵政権の文書は大統領指定記録物だ」と主張している。しかし、大統領指定記録物はリストも公開されておらず、外部からは大統領指定記録物なのかどうか分からない。
原則として、大統領指定記録物は厳格に管理しなければならず、複写製作が禁止されているので、現行法上、キャビネットの文書を大統領指定記録物と見なすのは難しい。これと共に、大統領有故状況(有故=弾劾・死去などの非常事態が起こるという意味)で、第三者が大統領指定記録物を指定できるかどうかが議論になった。
法では、大統領記録物の範囲に大統領権限代行が含まれている。朴槿恵前大統領が弾劾された状態で、黄教安(ファン・ギョアン)権限代行が作成した記録は大統領記録に含まれるということだ。だが、弾劾された大統領が作成した大統領記録に対する指定権限が誰にあるのかは明文化された規定が存在しない。
国家記録院は、大統領記録物の範囲条項を根拠に、黄教安権限代行に大統領指定記録物の指定権限があると類推解釈した。その後、黄教安権限代行は20万4000件を大統領指定記録物に指定し、大統領記録館に移管した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/27/2017102701792.html
(>>2以降に続く)