イソップの寓話『欲張り犬』は、肉をくわえた犬が水面に映った自分の姿を見て「あの肉も取り上げてやろう」と欲をかき、吠えた拍子に川に落としてしまう。民進党の“遺産”をめぐる争奪戦は、そんな寓話を思わせる。
政党助成金を積み立てて148億円の資金を貯め込んでいた民進党は、希望の党、立憲民主党、無所属に分かれて出馬した“元所属議員”や“元公認候補”たちに、「1人1500万円」を支給したとされる。
それでも、党の金庫にはまだ120億円近いカネが残っている。この「民進党の遺産」を希望、立憲民主、無所属議員が奪い合うことになるのは間違いない。政治ジャーナリスト・角谷浩一氏が語る。
「民進党は候補者を立てていないだけで、解党はしていません。今も前原誠司氏が代表で、46人の参院議員も残っている。資金の配分は選挙後に話し合うことになるでしょうが、希望合流組と排除された立憲民主党組には感情的対立がある。
前原氏や希望合流組は“議席数に応じた分配”を主張する可能性が高く、立憲民主党組がそれを認めるとは考えにくい。また、代表経験者である野田佳彦氏や岡田克也氏ら無所属出馬組は当選後に民進党に戻るつもりだといわれています。彼ら旧執行部組は“民進党の資金だから他の党には1円も渡さない”というでしょう」
とても円満解決は望めそうにない。民進党の有田芳生・参院議員もこう言う。
「もはや前原代表の一存で勝手に決められる状況ではない。民進党の繰越金が希望の党に流れるなんて、まったく筋の通らない話です」
ここで“前例”になるのが党分裂と内紛の末に2014年の総選挙前に解党したみんなの党のケースだ。残余金約8億2600万円を国庫に返したのである。
「資金分捕り合戦が始まれば自民党などから、『民進党は事実上消滅に等しいのだから政党交付金を国庫に返納せよ』といった議論が噴出、世論も“税金を返せ”と同調し、返納せざるを得なくなるという展開もあり得る」(角谷氏)
欲張り政治家が吠え合い続ければ、最後は全てを失うことになる。
※週刊ポスト2017年10月27日号
https://www.news-postseven.com/archives/20171019_621564.html
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