国連教育科学文化機関(ユネスコ)は18日、パリで開いた執行委員会で、「世界の記憶」(記憶遺産)の登録制度の改善方針を決定した。
日本政府の主張を踏まえ、歴史的、政治的な問題をはらむ案件の登録審査では関係国の意見を聴取する手続きを新たに導入する。今後、詳細な作業指針などを定めるが、新制度の適用は2019年の審査からになる。外務省が明らかにした。
記憶遺産をめぐっては、事実関係に疑いのある中国の「南京大虐殺文書」が15年に遺産登録された。このため、日本政府はユネスコの政治利用と強く反発。制度の乱用阻止に向け、ユネスコに審査の公正性や透明性担保などの制度改革を求めてきた。
新制度が19年の審査から適用されることになり、今期に中韓の民間団体などが登録申請した慰安婦問題の資料は遺産登録される可能性が高い。
執行委は今回の決定に当たって「加盟国の相互理解の原則に従い、さらなる政治的緊張を避けるよう求める」とするユネスコ事務局長らに向けた決議も採択したが、日中韓の新たな対立を招かないよう配慮を求めたとみられる。
http://www.sankei.com/politics/news/171019/plt1710190015-n1.html
ユネスコ本部=4日、パリ(ロイター)