辛い料理と赤ワインは最悪の組み合わせ、というのが世界のワイン業界の常識だ。しかし、唐辛子と焼酎に慣れ親しんでいる韓国人は、西洋の人たちが嫌がるこの組み合わせを楽しむ、独特な民族だという主張が提起された。
最近、国際的な学術誌「Beverages」に掲載されたワインコラムニスト、キム・サンミさんの論文によると「韓国人はテナガダコ炒めなど辛いメニューと赤ワインをペアリングすることで、口の中が燃えるような感じを楽しんでいる」という。
この論文は、キムさんが4年前に英国のオックスフォード・ブルックス大学で書いた修士論文「韓国料理とワインのペアリング基準開発のための研究」だ。
ワインの中でも特に赤ワインはタンニンが多く含まれている。タンニンの苦味、渋味は辛味をよりいっそう強調する。西洋の人たちはこの感じを「口の中が火事になったようだ」として嫌がる。
韓国料理には辛い味だけでなく、キムチ、みそ、唐辛子みそ、魚醤、塩辛などさまざまな発酵食品のほか、スープや鍋といった熱い汁を味わう料理が多い。どれもワインをきちんと味わうのは難しいメニューばかりだ。一部の西洋人が韓国料理のことを「ワインキラー(wine killer)」と呼ぶのはこうした理由からだ。
キムさんはある程度ワインの知識を持っており、一定量のワインを飲み続けている韓国人の男女138人を対象にアンケート調査を実施した。キムさんは甘味、酸味、塩味、苦味、辛味のある韓国料理を提示し、これらのメニューに合うワインを勧めるようにさせた。
調査の結果、甘味、酸味、塩味、苦味の場合は西洋の人たちと特に変わりがなかったが、辛味については全く異なる現象が見られた。
西洋では、辛い料理には白ワインやスパークリングワインなどタンニンが相対的に少なく、冷やして飲むワインで辛味を緩和させようとする。
しかし、韓国人回答者たちは豚肉ピリ辛炒めに赤ワインを合わせるという回答が97人(70.3%)で、このうち87人はタンニンの含有量が中間より上の赤ワインを選択した。テナガダコ炒めに赤ワインを合わせるという回答は58人(42.0%)、トッポッキ(餅の唐辛子みそ炒め)めに赤ワインを合わせるという回答は42人(30.4%)だった。
キムさんはこうした調査結果について「韓国人だけに見られる特殊なペアリングだ」と語った。ほかの国に比べ、辛い料理に赤ワインを合わせる比率が著しく高かったという。
キムさんは「韓国人は辛味をワインのペアリングにおける深刻な障害とは考えていない。辛い料理と赤ワインを一緒に味わうとき、口の中が燃えるような感じを楽しむ韓国人消費者たちが存在することを立証している」と分析している。
韓国人はなぜ、口の中が燃えるような感じを好むのだろうか。キムさんは「刺激的な料理(つまみ)を食べながら焼酎を飲むのに慣れている韓国人は、ワインを飲むときも焼酎のように強い感じを期待する」とみている。
キムさんはまた「アジアの人たちは、タンニンが大量に含まれており、苦味があるお茶類をよく飲んでいるほか、ほろ苦い野菜をたくさん食べているため、西洋の人たちに比べタンニンに強いのかもしれない」と語った。
キム・ソンユン記者
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