「景気減速」と言われつつ6〜7%前後の高成長を続けている中国経済。しかしその裏では政府・民間の債務が急激に膨張しており、これが将来のアジア経済にとって大きなリスクになるのではないかと見られている。
銀行が過剰な融資を続ける
中国経済は株・不動産ともに「バブルではないか」と頻繁に言われてきた。実際ここ10年程度で株や不動産価格が急騰し、その後下がったことが何度かある。
株価については2006年後半から2007年秋にかけて最初のバブルが発生。上海総合指数は6,000を超えて史上最高水準まで高騰した。しかし秋にはバブルが弾けてその後は急降下。1年後の2008年秋には上海総合指数が1,700とピーク時の3分の1以下になった。
2008年秋は世界的に見るとリーマンショックが起こった時期で、中国経済は内部の株バブル崩壊と外部のリーマンショックというダブルパンチに見舞われた。しかしその後日本のバブル崩壊後のように長期低迷には陥らず、比較的高い成長を続ける。
また2014年後半から15年前半にかけて21世紀2度目の株バブルが起こり、この時も上海総合指数は5,000を突破。そして夏には弾けて株価が急落したものの、政府のなりふり構わない株価維持政策もあって落ち方は2008年の時より緩やかだった。
不動産についても、2010年前後にそれまで急上昇してきた不動産価格が中国全土で下落。ただしこの時も中国経済全体への影響はそれほど大きくなかった。
2008年以降も中国経済が高い成長率を維持してきた裏に、政府・企業への過剰な融資があると言われる。中国は各省やさらに下の自治体が高い成長率を維持することに必死になっている。自分の地区で高い成長率を維持することで、将来の出世が決まるからだ。
そのためにとにかく道路や住宅などを造りまくることで成長率を維持するという手法を取っている地方が多い。そしてその財源は、銀行からの過剰な融資にある。中国の銀行は返済を度外視で政府機関や企業に融資しており、そのために政府・企業の債務は膨らみ、銀行にとっては不良債権が膨らんでいる。
実際債務の対GDP比は、2007〜08年頃から膨らみ続けている。2007年は中国債務の対GDP比率は130%程度だった。それが2008年以降だんだんと増え、2017年には250%を超えている。この数字が2008年以降中国国内で過剰な融資が行なわれていることを示している。
この膨らみ続ける中国の債務が、アジア経済にとって将来的なリスクになると見る者が多い。過剰な融資と言えば日本のバブル時代もそうだった。銀行は不動産取引をする企業・個人に無節操に融資を行ない、バブルが弾けたらその多くが不良債権として残った。
中国で同じような問題が将来起こるのか、あるいは起こらないのかは今の時点では誰にもわからない。しかし潜在的にはアジアに金融危機を起こす可能性のある時限爆弾のようなものだと見られている。
鳥羽賢
慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。
https://www.iforex.jpn.com/news/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%82%B5%E5%8B%99%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AF%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E6%99%82%E9%99%90%E7%88%86%E5%BC%BE%E3%81%8B%EF%BC%9F-8077
銀行が過剰な融資を続ける
中国経済は株・不動産ともに「バブルではないか」と頻繁に言われてきた。実際ここ10年程度で株や不動産価格が急騰し、その後下がったことが何度かある。
株価については2006年後半から2007年秋にかけて最初のバブルが発生。上海総合指数は6,000を超えて史上最高水準まで高騰した。しかし秋にはバブルが弾けてその後は急降下。1年後の2008年秋には上海総合指数が1,700とピーク時の3分の1以下になった。
2008年秋は世界的に見るとリーマンショックが起こった時期で、中国経済は内部の株バブル崩壊と外部のリーマンショックというダブルパンチに見舞われた。しかしその後日本のバブル崩壊後のように長期低迷には陥らず、比較的高い成長を続ける。
また2014年後半から15年前半にかけて21世紀2度目の株バブルが起こり、この時も上海総合指数は5,000を突破。そして夏には弾けて株価が急落したものの、政府のなりふり構わない株価維持政策もあって落ち方は2008年の時より緩やかだった。
不動産についても、2010年前後にそれまで急上昇してきた不動産価格が中国全土で下落。ただしこの時も中国経済全体への影響はそれほど大きくなかった。
2008年以降も中国経済が高い成長率を維持してきた裏に、政府・企業への過剰な融資があると言われる。中国は各省やさらに下の自治体が高い成長率を維持することに必死になっている。自分の地区で高い成長率を維持することで、将来の出世が決まるからだ。
そのためにとにかく道路や住宅などを造りまくることで成長率を維持するという手法を取っている地方が多い。そしてその財源は、銀行からの過剰な融資にある。中国の銀行は返済を度外視で政府機関や企業に融資しており、そのために政府・企業の債務は膨らみ、銀行にとっては不良債権が膨らんでいる。
実際債務の対GDP比は、2007〜08年頃から膨らみ続けている。2007年は中国債務の対GDP比率は130%程度だった。それが2008年以降だんだんと増え、2017年には250%を超えている。この数字が2008年以降中国国内で過剰な融資が行なわれていることを示している。
この膨らみ続ける中国の債務が、アジア経済にとって将来的なリスクになると見る者が多い。過剰な融資と言えば日本のバブル時代もそうだった。銀行は不動産取引をする企業・個人に無節操に融資を行ない、バブルが弾けたらその多くが不良債権として残った。
中国で同じような問題が将来起こるのか、あるいは起こらないのかは今の時点では誰にもわからない。しかし潜在的にはアジアに金融危機を起こす可能性のある時限爆弾のようなものだと見られている。
鳥羽賢
慶應義塾大学経済学部卒業。輸入業務に従事後、ライターとして2003年より主に経済分野を中心に執筆活動を行う。企業トップへインタビューした上での、ビジネス記事執筆経験多数。
https://www.iforex.jpn.com/news/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%82%B5%E5%8B%99%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AF%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE%E6%99%82%E9%99%90%E7%88%86%E5%BC%BE%E3%81%8B%EF%BC%9F-8077