北朝鮮に核を放棄させるのは今や不可能であるとする、「実利的立場」(スーザン・ライス元米国連大使)に基づく北朝鮮の核保有容認の主張が一部で台頭していることも、こうした議論に拍車をかけている。
キッシンジャー氏「一気に活発化する」
「北朝鮮の核の脅威が深刻化すれば、ベトナムや韓国、日本で、自前の核兵器で自国を守ろうとする動きが一気に活発化する」
キッシンジャー元国務長官は米紙ウォールストリート・ジャーナル(8月12日付)への寄稿で、北朝鮮の核保有の既成事実化が東アジアでの「核保有ドミノ」につながる恐れが高いと強く警告した。
オバマ前政権下の2010年に策定された核政策の指針「核戦略体制の見直し」(NPR)は、東西冷戦の終結に伴い撤去された、アジア・太平洋地域に米軍が前進配備していた戦術核戦力について、「東アジアの危機に際し、必要な場合は再配備できる態勢を維持する」と明記した。
こうした方針は、北朝鮮の核の脅威をにらんで初めて言及され、トランプ政権が今秋にも発表する新たなNPRでも踏襲される見通しだ。その含意は、実施の可能性は別として、北朝鮮の核の脅威に対して「拡大抑止」を最大限まで提供する用意を示すことで、日本や韓国の独自核武装の機運を封じるというものだ。
「北の核戦力に上限」が本音?
しかし、北朝鮮がこのまま核兵力を実戦配備するようであれば、米国の「核の傘」の威信は大きく損なわれることになる。
こうした中、オバマ前政権下で大統領補佐官(国家安全保障担当)と国連大使を務めたライス氏はニューヨーク・タイムズ紙(8月10日付)への寄稿で「北朝鮮が体制の生存に不可欠と見なす核兵器を放棄する可能性は極めて低い」と指摘し、「伝統的な(核)抑止」によって北朝鮮と対峙(たいじ)すべきだと主張した。
クラッパー国家情報長官(当時)も昨年10月、同様の立場から「望み得るのは(北朝鮮の)核戦力に上限を設けることだ」とし、非核化政策の転換を訴えた。
オバマ陣営の政権移行に携わった情報機関の元幹部は09年当時、「米国は北朝鮮の核保有を前提に政策を進めるべきだ」と打ち明けており、一連の発言は前政権関係者の間で長らく存在していた「本音」を反映した可能性もある。
これに対しマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は「ライス氏の発言は正しくない。北朝鮮に伝統的な抑止理論をどうやって適用できるのか」と反論し、北朝鮮の核放棄を追求する立場を強調した。
日本の核武装に「賛成論」も
一方、政策研究機関「ブルッキングス研究所」のトーマス・ライト上級研究員は、北朝鮮が核放棄する見通しがないからこそ、場合によっては日韓の核武装も容認し、局地的な軍事衝突も辞さない構えで今後数十年にわたって北朝鮮の「封じ込め」を図るべきだと主張する。
軍事専門家のアンダース・コー氏は「日本が自前の核兵器を持てば、全ての民主国家は安全になる。強い日本は中国の膨張を阻止するし、米軍が各地に駐屯しなくて済むようになる」と述べるなど、一部では日本の核武装への積極的な「賛成論」も浮上しつつある。
http://www.sankei.com/world/news/170902/wor1709020024-n1.html
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北朝鮮の労働新聞が30日掲載した、弾道ミサイル「火星12」の発射訓練の写真(コリアメディア提供・共同)