ありがとう!海上保安庁から「だいち」へラストメッセージ
2011.11.30
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)は、2006年1月24日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、設計上の寿命3年、目標の寿命5年を超えた2011年5月まで運用されてきたよ。
「だいち」は地球全体を観測し、5年間でおよそ650万ものシーンを撮影。そして、これらの観測データは、日本のみならず世界のいろいろな国や機関に提供され、活用されたんだ。
陸域観測技術衛星「だいち」
この「だいち」の観測データを活用していた機関のひとつである海上保安庁から送られたラストメッセージを、「だいち」が受け取ったんだよ。
海上保安庁の下里水路観測所で、これまでの「だいち」の活やくに対する感謝を込めたレーザー光線が発射されると、レーザー光線を反射した「だいち」の信号を受信!
海上保安庁からの、“ありがとう”の気持ちが込められたレーザー光線(ラストメッセ―ジ)を、「だいち」が宇宙でキャッチしたんだね!!
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でも、海上保安庁と「だいち」の組み合わせって、フシギだよね。海と宇宙でどんな繋がりがあるのかな?実はとーっても大きな関係があるよ。
ぼくたちの住んでいる日本は、周りを海に囲まれていて、船が外国から人や物を運んだり、ぼくたちが食べるお魚を捕ったりしているよね。海は、ぼくたちの生活にとても大切。海上保安庁は、この大切な海を毎日休まずに守っているんだ。
海上保安庁のお仕事は、大きく3つあるよ。海で起きた事故から船や人を助けたり、海での犯罪を防いだりする「海の安全を守る」お仕事。
また、海を調べたり、船が安全に航海できるように海図(海の地図)を作る「海の情報を提供する」お仕事。そして、灯台を管理したり、海の交通安全を見守る「海を交通整理する」お仕事。どれも、みんなの生活を守るための大切なお仕事だね。
うみまる(提供:海上保安庁)
こうした海上保安庁のお仕事に、実は「だいち」の観測データが貢献してきたんだ。海氷がある海でも船が安全に行き来できるように、「だいち」がとらえた海氷の衛星画像を提供していたよ。
また、より正確な海図を作るために、日本の上空を通る「だいち」や他の人工衛星とレーザー光線を利用したレーザー測距観測を行なっていたんだ。このように、海と宇宙とが協力することで、ぼくたちの生活にも貢献してきたよ。
今回のレーザー光線(ラストメッセージ)が発射されたのは、和歌山県にある下里水路観測所で、海図を作るためのレーザー測距観測を行なっている施設なんだ。
運用を停止した「だいち」とレーザー測距が成功する確率はとても低いものと思われたけれど、下里水路観測所から発射されたラストメッセージは無事に「だいち」へ届き、「だいち」は下里水路観測所へ送り返したんだね。
海と宇宙との協力は、これからも続けられるよ。みんなのためにいろいろな貢献ができるよう、これからも一緒に応援してね!
― もっと詳しく! ―
>> 海上保安庁から「だいち」(ALOS)へラストメッセージとして
レーザー光線が伝達されました
http://www.sapc.jaxa.jp/topics/2011/news1020.html (衛星利用推進サイト)
>> 人工衛星にラストメーセージ!
海上保安庁第一管区海上保安本部サイト
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/koho/01_111020.pdf (海上保安庁の広報資料)