北朝鮮による弾道ミサイルの試験発射が繰り返し行われ、日本を飛び越える軌道でグアムに4発を打ち込むなどと挑発が続いている。米国のトランプ大統領も強い口調でこれに応え、ほとんど宣戦布告の最終段階かという様相だ。
ではもし米朝が開戦し、東京にも北朝鮮のミサイルが飛んできたら、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣は、どこへ避難するのだろう?
東京・市ヶ谷に建つ防衛省庁舎だろうか。あるいは首都直下地震などの巨大災害時に政府が移転する先として有名な、立川だろうか。もちろん、それらの可能性はあるが、実は自衛隊には少なくともあと1ヵ所、世間では知られていない「秘密基地」が存在するという。
今回は「国益を損なわない範囲で」という条件付きで、この秘密基地について情報を提供してくれた、防衛省・自衛隊取材を長年続けてきた軍事ジャーナリストの話を元に、その秘密基地の様子をお伝えしよう。
地下にあっても機能は低下する
防衛省の地下3階には、通称「地下指揮所」と呼ばれる施設がある。24時間体制で日本周辺を監視しており、迎撃ミサイルの発射の決定を下す大変重要な施設だ。
防衛省中央指揮所内の防衛会議室(1986年度防衛白書より)
そのため地下指揮所には、一般の自衛官ですら立ち入りが禁止され、特別に許可された隊員のみが入室できる。
だが実は、この地下指揮所に降りる専用エレベーターは、カモフラージュのために一般用と混じって設置されている。ようするに、平時は通常のエレベーターとして使用されているのだ。
そのため、当該のエレベーターを選んで使用すれば、とりあえず地下3階には降りられるというのである。これはなかなかの驚きだ。
ただし、許可のない者が乗ったままで扉が開くと、ピストルをぶら下げた隊員がすぐ飛び込んできて、「一般の入場はお断りします!」と、ものすごい剣幕で追い返されるのだとか。やはり、機会があっても試してみるのはオススメできない。
さて、北朝鮮もお人よしではないので、日本での核ミサイルの標的リストには、在日米軍施設以外に、防衛省も入っているはずだ。地下指揮所がいくら堅牢であっても、地上部で核ミサイルの直撃を受ければ、その機能が低下することは明白である。
すると、ここで疑問が湧いてくる。こんな風に世間にも広く知られた指揮所に、本当に内閣総理大臣や防衛大臣がこもって、自衛隊の指揮を執るのだろうか?
物置部屋の木戸の中には…
「実は、私自身は、防衛省の地下指揮所はダミーではないかと思っている」と軍事ジャーナリスト氏は話す。それは十数年前、日本が北朝鮮による、初期のテポドン発射事件に直面していた頃に彼が取材を許された、ある「秘密基地」への潜入経験があるからだという。
そのビルは、東京23区外のある場所に建っている。
この施設に入る際には、カメラ、携帯電話、ノート、カバン類を持つことは禁止されていたという。
1階正面のエントランスには、踊り場から先が左右に分かれる上り階段があった。その階段の左手裏に回ると、掃除道具用の物置部屋の木戸があるという。木戸を引くと現れたのは、銀色に輝く1枚の鉄の扉。隠し扉だった。
右端に磁気カードを差し込み、パスワードを入力すると、鉄の扉がスライドする。扉の内側は、薄暗く狭い、四方をコンクリートに囲まれた狭い下り階段だった。
案内してくれた自衛隊幹部によると、地下28mまでコンクリート打ちされているとのこと。28mという数字は、広島型原爆にも対応できるものとして算出されたと説明を受けた。米軍のシェルターの設計基準でも、コンクリート28mになっているという。
地中に埋まったコンクリートの巨大な塊をくり抜いて、階段を通していたのだった。湿気があり、さすがにヒンヤリとしていたそうだ。
「ワシントンに電話する気か!」と怒られた
階段を下り切ると、また1枚の鉄扉があった。上の扉と同じ要領で開錠すると、左右に部屋が広がる。100坪ほどの、シェルターというには豪華な指揮所が現れた。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52604
(>>2以降に続く)
ではもし米朝が開戦し、東京にも北朝鮮のミサイルが飛んできたら、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣は、どこへ避難するのだろう?
東京・市ヶ谷に建つ防衛省庁舎だろうか。あるいは首都直下地震などの巨大災害時に政府が移転する先として有名な、立川だろうか。もちろん、それらの可能性はあるが、実は自衛隊には少なくともあと1ヵ所、世間では知られていない「秘密基地」が存在するという。
今回は「国益を損なわない範囲で」という条件付きで、この秘密基地について情報を提供してくれた、防衛省・自衛隊取材を長年続けてきた軍事ジャーナリストの話を元に、その秘密基地の様子をお伝えしよう。
地下にあっても機能は低下する
防衛省の地下3階には、通称「地下指揮所」と呼ばれる施設がある。24時間体制で日本周辺を監視しており、迎撃ミサイルの発射の決定を下す大変重要な施設だ。
防衛省中央指揮所内の防衛会議室(1986年度防衛白書より)
そのため地下指揮所には、一般の自衛官ですら立ち入りが禁止され、特別に許可された隊員のみが入室できる。
だが実は、この地下指揮所に降りる専用エレベーターは、カモフラージュのために一般用と混じって設置されている。ようするに、平時は通常のエレベーターとして使用されているのだ。
そのため、当該のエレベーターを選んで使用すれば、とりあえず地下3階には降りられるというのである。これはなかなかの驚きだ。
ただし、許可のない者が乗ったままで扉が開くと、ピストルをぶら下げた隊員がすぐ飛び込んできて、「一般の入場はお断りします!」と、ものすごい剣幕で追い返されるのだとか。やはり、機会があっても試してみるのはオススメできない。
さて、北朝鮮もお人よしではないので、日本での核ミサイルの標的リストには、在日米軍施設以外に、防衛省も入っているはずだ。地下指揮所がいくら堅牢であっても、地上部で核ミサイルの直撃を受ければ、その機能が低下することは明白である。
すると、ここで疑問が湧いてくる。こんな風に世間にも広く知られた指揮所に、本当に内閣総理大臣や防衛大臣がこもって、自衛隊の指揮を執るのだろうか?
物置部屋の木戸の中には…
「実は、私自身は、防衛省の地下指揮所はダミーではないかと思っている」と軍事ジャーナリスト氏は話す。それは十数年前、日本が北朝鮮による、初期のテポドン発射事件に直面していた頃に彼が取材を許された、ある「秘密基地」への潜入経験があるからだという。
そのビルは、東京23区外のある場所に建っている。
この施設に入る際には、カメラ、携帯電話、ノート、カバン類を持つことは禁止されていたという。
1階正面のエントランスには、踊り場から先が左右に分かれる上り階段があった。その階段の左手裏に回ると、掃除道具用の物置部屋の木戸があるという。木戸を引くと現れたのは、銀色に輝く1枚の鉄の扉。隠し扉だった。
右端に磁気カードを差し込み、パスワードを入力すると、鉄の扉がスライドする。扉の内側は、薄暗く狭い、四方をコンクリートに囲まれた狭い下り階段だった。
案内してくれた自衛隊幹部によると、地下28mまでコンクリート打ちされているとのこと。28mという数字は、広島型原爆にも対応できるものとして算出されたと説明を受けた。米軍のシェルターの設計基準でも、コンクリート28mになっているという。
地中に埋まったコンクリートの巨大な塊をくり抜いて、階段を通していたのだった。湿気があり、さすがにヒンヤリとしていたそうだ。
「ワシントンに電話する気か!」と怒られた
階段を下り切ると、また1枚の鉄扉があった。上の扉と同じ要領で開錠すると、左右に部屋が広がる。100坪ほどの、シェルターというには豪華な指揮所が現れた。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52604
(>>2以降に続く)