「本当に気になるから質問したい」。7日の米韓首脳による電話会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領の話をじっと聞いていたトランプ大統領がおもむろに尋ねた。
「実際に北朝鮮との対話を試みたのか」
文氏は、提案した対話は核・ミサイルに関するものではないと釈明。「今は制裁と圧力を加えるべきときで、対話する局面ではない」とも答え、対北対話の持論を抑えた。トランプ氏は「非常によい」「感謝する」と繰り返した。
しかし軍事行動も辞さないトランプ氏と対話に固執する文氏の不協和音は糊塗(こと)しても隠しようがない。
「朝鮮半島で再び戦争があってはならない。誰も韓国の同意なく、軍事行動を決定できない」。文氏は日本統治からの解放記念日の15日、演説でこう力を込めた。安全保障を同盟国だけに頼れないとし「朝鮮半島問題は私たちが主導的に解決すべきだ」と主張した。
米紙は、文氏が米国に「異例の警告をした」と報じた。17日の文氏の記者会見では、米国人記者が「米韓が異なる声を上げているのではないか」と問うた。
対話を諦めたわけではない。北朝鮮が米領グアム沖へのミサイル発射計画を表明する中、14日の会議では「北朝鮮が正しい選択をすれば、南北交流と協力を画期的に発展させ、われわれ民族の明るい未来をともに切り開く」と強調した。
なぜ文氏はそれほど「対話」と「韓国主導」にこだわるのか。韓国で広く共有される「民族の運命が大国に翻弄された」という歴史観がある。日本統治時代に限らず、南北分断も米国や旧ソ連に一方的に決められたからだ。両親が北朝鮮からの避難民という文氏はとりわけその思いが強い。
思いを結実させたのが7月6日、ベルリンで語った平和構想だ。
北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射直後だけに大幅に修正するだろうとの大方の予想に反し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に条件が整えば「いつどこでも会う用意がある」と呼びかけた。文氏を支持する識者も「対話を焦りすぎ、外交の幅を自ら狭めた」と指摘する。
何より、北朝鮮が「核問題は朝米間で解決すべき問題で、南朝鮮(韓国)は入り込む資格もない」と取り合おうともしない。
7月28日の北朝鮮の2度目のICBM発射後、頻繁に電話会談を重ねる日米首脳に比べ、トランプ氏と電話会談もせずに文氏が夏休みに入ったことで、対北対話への傾斜が米国などの「コリア・パッシング(韓国素通り)」を生んでいるとの批判が相次いだ。
野党幹部は、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が当時のブッシュ米大統領から「今後は韓国に(北朝鮮関連)情報を与える」と告げられたとの逸話を挙げ、懸念を表明した。米政府はそれほど対北融和と自主国防に傾いた、かつての盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に不信感を抱いていたというのだ。
盧政権の流れをくむ文政権も独自のミサイル防衛や原子力潜水艦の必要性を強調するなど、自主国防力強化に動き始めた。目指すのは、戦時作戦統制権(指揮権)の米軍からの移管だ。米国との連携に距離が生じることは避けられない。
これに対し、最大野党「自由韓国党」は、在韓米軍への戦術核の再配備を進める方針を決めた。北朝鮮のICBM完成が現実味を帯びる中、保守系紙は、核武装の必要性を公然と唱え始めた。米国が求める朝鮮半島の非核化に逆行する。
「韓国無視」を恐れ、韓国主導を打ち出そうともがくほど、コリア・パッシングの疑心暗鬼が膨らむという悪循環の中、韓国の安保環境は不安定さを増している。(ソウル 桜井紀雄)
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n3.html
北朝鮮問題をめぐる文在寅氏の主な発言
「実際に北朝鮮との対話を試みたのか」
文氏は、提案した対話は核・ミサイルに関するものではないと釈明。「今は制裁と圧力を加えるべきときで、対話する局面ではない」とも答え、対北対話の持論を抑えた。トランプ氏は「非常によい」「感謝する」と繰り返した。
しかし軍事行動も辞さないトランプ氏と対話に固執する文氏の不協和音は糊塗(こと)しても隠しようがない。
「朝鮮半島で再び戦争があってはならない。誰も韓国の同意なく、軍事行動を決定できない」。文氏は日本統治からの解放記念日の15日、演説でこう力を込めた。安全保障を同盟国だけに頼れないとし「朝鮮半島問題は私たちが主導的に解決すべきだ」と主張した。
米紙は、文氏が米国に「異例の警告をした」と報じた。17日の文氏の記者会見では、米国人記者が「米韓が異なる声を上げているのではないか」と問うた。
対話を諦めたわけではない。北朝鮮が米領グアム沖へのミサイル発射計画を表明する中、14日の会議では「北朝鮮が正しい選択をすれば、南北交流と協力を画期的に発展させ、われわれ民族の明るい未来をともに切り開く」と強調した。
なぜ文氏はそれほど「対話」と「韓国主導」にこだわるのか。韓国で広く共有される「民族の運命が大国に翻弄された」という歴史観がある。日本統治時代に限らず、南北分断も米国や旧ソ連に一方的に決められたからだ。両親が北朝鮮からの避難民という文氏はとりわけその思いが強い。
思いを結実させたのが7月6日、ベルリンで語った平和構想だ。
北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射直後だけに大幅に修正するだろうとの大方の予想に反し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に条件が整えば「いつどこでも会う用意がある」と呼びかけた。文氏を支持する識者も「対話を焦りすぎ、外交の幅を自ら狭めた」と指摘する。
何より、北朝鮮が「核問題は朝米間で解決すべき問題で、南朝鮮(韓国)は入り込む資格もない」と取り合おうともしない。
7月28日の北朝鮮の2度目のICBM発射後、頻繁に電話会談を重ねる日米首脳に比べ、トランプ氏と電話会談もせずに文氏が夏休みに入ったことで、対北対話への傾斜が米国などの「コリア・パッシング(韓国素通り)」を生んでいるとの批判が相次いだ。
野党幹部は、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が当時のブッシュ米大統領から「今後は韓国に(北朝鮮関連)情報を与える」と告げられたとの逸話を挙げ、懸念を表明した。米政府はそれほど対北融和と自主国防に傾いた、かつての盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に不信感を抱いていたというのだ。
盧政権の流れをくむ文政権も独自のミサイル防衛や原子力潜水艦の必要性を強調するなど、自主国防力強化に動き始めた。目指すのは、戦時作戦統制権(指揮権)の米軍からの移管だ。米国との連携に距離が生じることは避けられない。
これに対し、最大野党「自由韓国党」は、在韓米軍への戦術核の再配備を進める方針を決めた。北朝鮮のICBM完成が現実味を帯びる中、保守系紙は、核武装の必要性を公然と唱え始めた。米国が求める朝鮮半島の非核化に逆行する。
「韓国無視」を恐れ、韓国主導を打ち出そうともがくほど、コリア・パッシングの疑心暗鬼が膨らむという悪循環の中、韓国の安保環境は不安定さを増している。(ソウル 桜井紀雄)
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170820/wor1708200012-n3.html
![【韓国】隠せぬ米国との不協和音 「対北主導」に潜むコリア・パッシングの恐怖[8/20] [無断転載禁止]©2ch.net->画像>6枚](http://www.sankei.com/images/news/170820/wor1708200012-p1.jpg)
北朝鮮問題をめぐる文在寅氏の主な発言