こんな人物が文部科学省事務方のトップだったとは、改めて慄然とした。加計学園問題で「行政がゆがめられた」と告発した前川喜平前文科事務次官のことだ。「座右の銘は面従腹背」は、すっかり有名になったが、本音を隠し国家に対して「面従腹背」だったとは。「公務員の矜持」をまるで持ち合わせてはいない。
8月14日付の東京新聞「こちら特報部」で前川氏は、朝鮮学校への高校授業料無償化の適用についてインタビューに答えている。取材は4日に行われたものとある。
記事についた見出しはこうだ。
「朝鮮学校も対象 当然と思っていた」
「他の外国人学校と平等に」
「募る自責 司法で救済を」
「生徒、今も適用訴え…胸痛む」
この記事で前川氏は、朝鮮学校が適用外とされた経緯について語り、平成22年4月の制度導入当初、文科省内で無償化の対象に朝鮮学校を追加する前提で検討が進められていたことを明かした。しかし同省は25年2月、朝鮮学校を無償化の対象外とする省令改正を行い、10校が不指定となった。
前川氏は「政治の世界で決めたこととはいえ、いくら何でも乱暴だと思った」と振り返っている。この時は第二次安倍政権だった。
無償化をめぐっては広島地裁が7月19日、国が適用対象外としたことを適法と認め、学校側が控訴。7月28日の大阪地裁では適用対象外を違法とする判決が出ており、国が控訴中だ。
東京新聞の記事で、前川氏は大阪地裁判決について「私から見たら妥当だ」と評した。最後に「高校無償化はいい制度だったと思うし、朝鮮学校を入れるということに光を見ていた。国が朝鮮学校を対象外としたのは理不尽で不条理。これを認めるなら法治国家ではない」と結んだが、北朝鮮が傍若無人の振る舞いで世界的に批判の対象となる中、どこの国の役人だったのかと耳を疑った。
15日付の産経新聞(東京本社版)によると、前川氏の批判に対し、現職の文科省の職員からは「係争中の案件について、踏み込んだ発言をするのはやり過ぎだ。古巣のことを何も考えていないのだろう」との声が聞かれたという。
さらに驚くべき事実がある。
前川氏は自身の講演で、平成27年9月に安保法制に反対した学生団体「SEALDs(シールズ)」などが国会前で行った集会に参加していたことを明かした。当時、前川氏は文科審議官で翌年の6月、事務次官に就任した。
前川氏は今月2日、福島市で開催された「前川さん大いにかたる」で講演した。
前川氏は「ここだけ内緒の話ですけど、2年前の9月18日、国会前にいたんです」と切り出し、「集団的自衛権を認めるという解釈は成り立たない。立憲主義に反する」と主張した。デモに参加した動機については「私は個人的には、安保法制は、集団的自衛権に基づく条文はすべて憲法違反だと思います」と話した上で、
「あの法律は作るべき法律ではなかったと思っていますので、そのためには一個人として、一国民として正門前に私は声を出す場がなければいけないと思ってですね。声を出すといったって、みんなに混じって言ってたんですけど。みんなに混じって言ってただけで、しかも行ったのは9月18日の1回きりですからね。あの日はですね。今日行かなきゃもうないと思ったんですね。その日は安保法制が参議院で成立した日ですから」と語った。
そして、「ただそれはですね、バレてませんでしたから。これ、バレてたら事務次官になってなかったんです、おそらく」と軽口をきいた。
あまりの軽率さに、7月に行われた閉会中審査での加戸守行前愛媛県知事の発言を思い出す。
「そこまで想像をたくましくしてモノを言う人なのか。安倍首相をたたくために…」「自分の後輩ながら精神構造を疑った」と。
前川氏は東京・歌舞伎町の「出会い系バー」に出入りしていたことについて、「女性の貧困について実地の視察調査」と真顔で強弁していたのを思い出す。
http://www.sankei.com/politics/news/170819/plt1708190013-n1.html
(>>2以降に続く)