韓国に亡命した北朝鮮の太永浩前駐英公使は昨年12月、韓国国会情報委員会において「軍事クーデターは北朝鮮の構造上ほとんど不可能だが、金正恩一人だけ除去されれば、北朝鮮の体制は完全に崩壊する」と、その“有効性”を語った。
一方、米国の国家安全保障を担当するマクマスター大統領補佐官は、あるテレビのインタビューで「金正恩党委員長は夜、よく眠れていないようだ」と、同氏が追い詰められているとの認識を示している。
両論を重ね合わせ“正恩斬首作戦”が水面下で激しく動いていると見るのは早計に過ぎるだろうか――。
「国務長官などが『アメリカは北朝鮮の敵でも脅威でもない』と対話を呼び掛けているのは表面だけのポーズであって、行政府では経済や外交、そして戦争というオプションを含め、あらゆる解決方法を模索しており、中で最も先鋭化しているのはCIAによる諜報活動です。CIAは『テロ国家に自国が攻撃されるかもしれない』という状況を絶対に放置しない組織ですから」(国際ジャーナリスト)
7月下旬、CIAのマイク・ポンペオ長官は外交の不調に備えて、北朝鮮の体制チェンジに向けた「秘密工作」を準備していることを明らかにしている。
CIAはこの発言に先立つ5月、対北朝鮮の専門組織『朝鮮ミッションセンター』を新設し、責任者にCIA韓国支部長などを歴任したアンドルー・キム氏を就任させた。CIAが特定の国を対象にした組織を設けるのは初めてのことだ。
「キム氏は6月30日から7月6日まで韓国に滞在、“極秘活動”を行ったと伝えられています。この間、韓国の国家情報院などと情報を共有するだけでなく、金正恩政権の転覆に向け、軍事オプションを含めあらゆる可能性を協議したようです」(外交関係者)
米国にとって最良のシナリオは、自分たちの手を汚さず、スパイに正恩委員長を始末させることだ。そんな折、5月5日の北朝鮮の国営メディアは「CIAから賄賂を渡されたキムという名字の北朝鮮市民が、平壌で実施された公式行事中に正恩委員長を暗殺しようとした」と伝えた。
弱みを絶対に見せない北朝鮮が「CIAに狙われた」と泣きを入れるのは、よほど精神的に追い詰められている証しだ。すでにヒューミント(人を媒介とした諜報活動)が活発化していると見て間違いない。
「金正恩委員長が、核開発にまい進する理由として挙げるのがリビアのカダフィ大佐です。大佐は米英との交渉で核放棄に応じた8年後、欧米の後押しを受けた反政府勢力に政権を打倒され殺害されていますから、この『リビアの教訓』を絶対視しているのです。
従って、米国は北朝鮮に核開発を断念させるのは至難の業だという見方が定説になっており、トランプ政権が『核による反撃がないうちならリスクも最小限で抑えられる』と考えても不思議ではありません」(同)
トランプ大統領は、対北政策においてレッドライン(超えてはならない一線)について明言していない。核兵器の運搬手段であるミサイルがいくら精緻を極めても、肝心要の核が搭載されなければ抑止力にならない。やるならその前と考えるのが妥当だ。
そこで問題になるのは正恩委員長の居どころをつかむことだが、この点について前出の太永浩氏は「北朝鮮の高位層も正恩がどこで仕事をしているのか、どこで寝泊まりしているのか分からない」と、把握は容易ではないと証言している。
「戦争遂行のため地下バンカーに移動するには各種車両や汽車を利用するはずですから、その際、随行員らの間で交信が行われるのは確実です。それをキャッチした米国の偵察衛星が居場所を確認し、各種攻撃手段が動員されるでしょう。イラク戦('03年)当時、フセインの隠れ場を緊急打撃した作戦では、位置把握から打撃までわずか45分しかかかりませんでした」(軍事アナリスト)
もちろん、CIAは地上でのヒューミント作戦にも着手している。ロシアや旧東欧などに出稼ぎに来ている北朝鮮労働者をスパイに仕立て上げるのだ。北朝鮮は“志操堅固”でなければ外国に出さないことから、出稼ぎ労働者といっても監視役や技術者はかなりのエリートだ。
http://npn.co.jp/article/detail/18375673/
http://npn.co.jp/article/detail/50354524/
http://npn.co.jp/article/detail/87705158/
(>>2以降に続く)
一方、米国の国家安全保障を担当するマクマスター大統領補佐官は、あるテレビのインタビューで「金正恩党委員長は夜、よく眠れていないようだ」と、同氏が追い詰められているとの認識を示している。
両論を重ね合わせ“正恩斬首作戦”が水面下で激しく動いていると見るのは早計に過ぎるだろうか――。
「国務長官などが『アメリカは北朝鮮の敵でも脅威でもない』と対話を呼び掛けているのは表面だけのポーズであって、行政府では経済や外交、そして戦争というオプションを含め、あらゆる解決方法を模索しており、中で最も先鋭化しているのはCIAによる諜報活動です。CIAは『テロ国家に自国が攻撃されるかもしれない』という状況を絶対に放置しない組織ですから」(国際ジャーナリスト)
7月下旬、CIAのマイク・ポンペオ長官は外交の不調に備えて、北朝鮮の体制チェンジに向けた「秘密工作」を準備していることを明らかにしている。
CIAはこの発言に先立つ5月、対北朝鮮の専門組織『朝鮮ミッションセンター』を新設し、責任者にCIA韓国支部長などを歴任したアンドルー・キム氏を就任させた。CIAが特定の国を対象にした組織を設けるのは初めてのことだ。
「キム氏は6月30日から7月6日まで韓国に滞在、“極秘活動”を行ったと伝えられています。この間、韓国の国家情報院などと情報を共有するだけでなく、金正恩政権の転覆に向け、軍事オプションを含めあらゆる可能性を協議したようです」(外交関係者)
米国にとって最良のシナリオは、自分たちの手を汚さず、スパイに正恩委員長を始末させることだ。そんな折、5月5日の北朝鮮の国営メディアは「CIAから賄賂を渡されたキムという名字の北朝鮮市民が、平壌で実施された公式行事中に正恩委員長を暗殺しようとした」と伝えた。
弱みを絶対に見せない北朝鮮が「CIAに狙われた」と泣きを入れるのは、よほど精神的に追い詰められている証しだ。すでにヒューミント(人を媒介とした諜報活動)が活発化していると見て間違いない。
「金正恩委員長が、核開発にまい進する理由として挙げるのがリビアのカダフィ大佐です。大佐は米英との交渉で核放棄に応じた8年後、欧米の後押しを受けた反政府勢力に政権を打倒され殺害されていますから、この『リビアの教訓』を絶対視しているのです。
従って、米国は北朝鮮に核開発を断念させるのは至難の業だという見方が定説になっており、トランプ政権が『核による反撃がないうちならリスクも最小限で抑えられる』と考えても不思議ではありません」(同)
トランプ大統領は、対北政策においてレッドライン(超えてはならない一線)について明言していない。核兵器の運搬手段であるミサイルがいくら精緻を極めても、肝心要の核が搭載されなければ抑止力にならない。やるならその前と考えるのが妥当だ。
そこで問題になるのは正恩委員長の居どころをつかむことだが、この点について前出の太永浩氏は「北朝鮮の高位層も正恩がどこで仕事をしているのか、どこで寝泊まりしているのか分からない」と、把握は容易ではないと証言している。
「戦争遂行のため地下バンカーに移動するには各種車両や汽車を利用するはずですから、その際、随行員らの間で交信が行われるのは確実です。それをキャッチした米国の偵察衛星が居場所を確認し、各種攻撃手段が動員されるでしょう。イラク戦('03年)当時、フセインの隠れ場を緊急打撃した作戦では、位置把握から打撃までわずか45分しかかかりませんでした」(軍事アナリスト)
もちろん、CIAは地上でのヒューミント作戦にも着手している。ロシアや旧東欧などに出稼ぎに来ている北朝鮮労働者をスパイに仕立て上げるのだ。北朝鮮は“志操堅固”でなければ外国に出さないことから、出稼ぎ労働者といっても監視役や技術者はかなりのエリートだ。
http://npn.co.jp/article/detail/18375673/
http://npn.co.jp/article/detail/50354524/
http://npn.co.jp/article/detail/87705158/
(>>2以降に続く)