2017年8月16日、韓国の朴凌厚(パク・ヌンフ)保健福祉部長官が、同部内に自殺や孤独死問題を担当する専門部署を18年中に新設する方針を明らかにした。韓国・中央日報が伝えた。
韓国政府は先月、今後の100の国政課題を発表したが、このうちの細部課題の一つに「自殺予防・生命尊重文化の拡散」がある。その具体的方策として、国民のメンタル面での健康維持に関連したサービスを拡大する計画だ。
保健福祉部の関係者は、「自殺担当専門課の新設は最終協議段階に来ており、確定だけが残った状態。現在の『精神健康政策課』から自殺関連の業務を切り離して組織と人員を拡大すれば、自殺関連政策が一層強化されるものと期待される」と述べている。
新設される自殺担当専門課は、最近韓国で問題となっている孤独死問題も受け持つ。高齢者の1人世帯だけでなく、中年層でも孤独死が増加傾向にあるが、「孤独死」は政策的に規定された用語ではないためその正確な統計値もない。
このため孤独死は「無縁故死者」の統計に置き換えられているのが現状だ。朴長官は「孤独死専門チームを作って体系的に概念を確立し、複数の行政的システムを備えることによって、韓国社会の孤独死を減らす」と述べた。
こうした動きの背景には、時に韓国人が自国を「自殺共和国」と呼ぶほどの自殺者の多さがある。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では、韓国の自殺率は2003〜15年まで常に1位だ。
韓国の自殺者数は11年にピークを迎えた後、徐々に減少してはいるが、いまだに自殺率は世界で最も高い水準なのだ。
今回、政府が打ち出した対策について、韓国のネットユーザーからは
「話をして自殺を思いとどまらせるのは難しいと思う」「その部署は、相当メンタルの強い人じゃないと務まらないよ」「自殺の相談を受けている側の人も自殺してしまう例があると聞いたことがある」「担当者もうつ病にかからないように定期的なカウンセリングが必要」など、自殺対策の難しさを訴える意見が多く寄せられた。
また、「それより原因から解決すべきでしょ」との指摘や、「行政として自殺率を下げるのであれば、保健福祉部より雇用労働部が力を発揮せねばならない」と、雇用・労働環境の改善こそが自殺対策につながるとの意見もあった。(翻訳・編集/三田)
http://www.recordchina.co.jp/b178302-s0-c10.html