免税品売上高6月69%増、高級時計・宝飾品人気再び 円安、訪日客拡大けん引
大阪の百貨店で高額品の販売が復活してきた。訪日客の間では昨年4月の中国の関税引き上げでいったん落ち込んだ高級ブランドのかばんや宝飾品、時計などを買い求める動きが再び増えている。
株の保有額が多く資産効果が出やすい関西富裕層の消費も株高で好調だ。関西景気復調のけん引役となっている。
大阪のインバウンド需要は全国的にみても特に好調だ。日銀大阪支店がまとめた関西百貨店の6月の免税品売上高は前年同月比69%増の70億円で、8カ月連続で前年実績を上回った。日本百貨店協会(東京・中央)が調べた全国の伸び率(41%増)を大きく上回る。
大阪市内では、大丸梅田店は7月の免税品売上高が前年同月比55%増。あべのハルカス近鉄本店が同6倍となるなど好調が際立つ。
最大の要因は訪日客自体の増加だ。関西国際空港の1〜6月の外国人旅客数は前年同期比12%増の679万人で過去最高となった。格安航空会社(LCC)を使った韓国や香港などアジアの旅客が増えた。
同時に見逃せないのが、売れ筋の変化だ。昨春の中国の関税の課税強化で高額品の販売はいったん落ち込んだが、再び戻ってきている。6月の関西の免税手続き1件当たりの売上高は約6万円と前年実績を約1万円上回った。
あべのハルカス近鉄本店では7月の免税売り上げで高級ブランド品が前年同月比4倍、宝飾や時計も6割増えた。
高島屋は「爆買い時代のような1千万円級の(スイスの高級腕時計)『パテック・フィリップ』は売れなくても、昨年末以降『セイコー』など40万〜50万円の商品がしっかり売れる流れが強まっている」(幹部)。
背景にあるとみられるのが、円安にともなう購買力の増加と、リピーター増に伴う「賢い消費」の普及だ。日本政策投資銀行によると、同じ地域を2回以上訪れるリピート客が占める比率は関西圏は約7割で全国平均の約6割を上回る水準だ。
LCCや民泊を使って旅費を抑え、買い物にお金をかけようとする動きがある。あべのハルカス近鉄本店を訪れた中国人女性(22)は「関西は何回も来たくなる。LCCを使ってお金が浮いた分を買い物に回せる」と語る。
阪急うめだ本店の担当者も「関西に何度も来る中で時間の使い方に余裕が生まれることで、ゆっくりと買い物をする人が増え高額品の購入につながっている」とみる。
一方で、金券ショップで株主優待券を購入して株主割引で購入し、帰国後に商品を正価で転売して利ざやを稼ぐ「ブローカー」に近い動きもでてきており、一部百貨店は優待券のルールを見直した。
百貨店もインバウンド消費の一段の取り込みに動いている。「隣の商品も見て」「日本ではこれが流行なんだ」。大丸梅田店は3日、中国の動画配信サイト「イージーボー」を使ったライブ配信を実施した。
中国から交流サイト(SNS)やブログで影響力のある3人を招き、新社会人向けの服や靴の買い物の様子を流し、中国を中心に18万人が映像を見た。
同店営業推進部の西沢圭祐氏は「9月に新年度を迎える中国の新社会人を呼び込んで、夏の新たな需要を掘り起こす」と語る。
高島屋大阪店も10月の中国の大型連休である国慶節に、免税カウンターを通常の9台体制から12台に拡張。拡大する需要を見込みさらに増設を検討する。あべのハルカス近鉄本店は5月に免税カウンターの人員を2倍に増やした。待ち時間を減らして購入につなげる。
高額品 株高で国内客も復調、恩恵は都心部限定
国内客の高額品消費も伸びている。高島屋大阪店は7月に時計の売り上げが前年同月比64%増、宝飾品が14%増となった。「特に富裕層の購入が増えている」(同社広報)という。阪急うめだ本店も「7月は外商顧客向けで高級宝飾品の売れ筋もいい」と話す。
背景にあるとみられるのが株高だ。総務省の家計調査では2016年の1世帯当たりの有価証券保有額は近畿が420万円と、全国平均の265万円を大きく上回る。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19981910U7A810C1LKA000/
(>>2以降に続く)
大阪の百貨店で高額品の販売が復活してきた。訪日客の間では昨年4月の中国の関税引き上げでいったん落ち込んだ高級ブランドのかばんや宝飾品、時計などを買い求める動きが再び増えている。
株の保有額が多く資産効果が出やすい関西富裕層の消費も株高で好調だ。関西景気復調のけん引役となっている。
大阪のインバウンド需要は全国的にみても特に好調だ。日銀大阪支店がまとめた関西百貨店の6月の免税品売上高は前年同月比69%増の70億円で、8カ月連続で前年実績を上回った。日本百貨店協会(東京・中央)が調べた全国の伸び率(41%増)を大きく上回る。
大阪市内では、大丸梅田店は7月の免税品売上高が前年同月比55%増。あべのハルカス近鉄本店が同6倍となるなど好調が際立つ。
最大の要因は訪日客自体の増加だ。関西国際空港の1〜6月の外国人旅客数は前年同期比12%増の679万人で過去最高となった。格安航空会社(LCC)を使った韓国や香港などアジアの旅客が増えた。
同時に見逃せないのが、売れ筋の変化だ。昨春の中国の関税の課税強化で高額品の販売はいったん落ち込んだが、再び戻ってきている。6月の関西の免税手続き1件当たりの売上高は約6万円と前年実績を約1万円上回った。
あべのハルカス近鉄本店では7月の免税売り上げで高級ブランド品が前年同月比4倍、宝飾や時計も6割増えた。
高島屋は「爆買い時代のような1千万円級の(スイスの高級腕時計)『パテック・フィリップ』は売れなくても、昨年末以降『セイコー』など40万〜50万円の商品がしっかり売れる流れが強まっている」(幹部)。
背景にあるとみられるのが、円安にともなう購買力の増加と、リピーター増に伴う「賢い消費」の普及だ。日本政策投資銀行によると、同じ地域を2回以上訪れるリピート客が占める比率は関西圏は約7割で全国平均の約6割を上回る水準だ。
LCCや民泊を使って旅費を抑え、買い物にお金をかけようとする動きがある。あべのハルカス近鉄本店を訪れた中国人女性(22)は「関西は何回も来たくなる。LCCを使ってお金が浮いた分を買い物に回せる」と語る。
阪急うめだ本店の担当者も「関西に何度も来る中で時間の使い方に余裕が生まれることで、ゆっくりと買い物をする人が増え高額品の購入につながっている」とみる。
一方で、金券ショップで株主優待券を購入して株主割引で購入し、帰国後に商品を正価で転売して利ざやを稼ぐ「ブローカー」に近い動きもでてきており、一部百貨店は優待券のルールを見直した。
百貨店もインバウンド消費の一段の取り込みに動いている。「隣の商品も見て」「日本ではこれが流行なんだ」。大丸梅田店は3日、中国の動画配信サイト「イージーボー」を使ったライブ配信を実施した。
中国から交流サイト(SNS)やブログで影響力のある3人を招き、新社会人向けの服や靴の買い物の様子を流し、中国を中心に18万人が映像を見た。
同店営業推進部の西沢圭祐氏は「9月に新年度を迎える中国の新社会人を呼び込んで、夏の新たな需要を掘り起こす」と語る。
高島屋大阪店も10月の中国の大型連休である国慶節に、免税カウンターを通常の9台体制から12台に拡張。拡大する需要を見込みさらに増設を検討する。あべのハルカス近鉄本店は5月に免税カウンターの人員を2倍に増やした。待ち時間を減らして購入につなげる。
高額品 株高で国内客も復調、恩恵は都心部限定
国内客の高額品消費も伸びている。高島屋大阪店は7月に時計の売り上げが前年同月比64%増、宝飾品が14%増となった。「特に富裕層の購入が増えている」(同社広報)という。阪急うめだ本店も「7月は外商顧客向けで高級宝飾品の売れ筋もいい」と話す。
背景にあるとみられるのが株高だ。総務省の家計調査では2016年の1世帯当たりの有価証券保有額は近畿が420万円と、全国平均の265万円を大きく上回る。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19981910U7A810C1LKA000/
(>>2以降に続く)