蓮舫代表(49)の辞任に伴う民進党代表選(21日告示、9月1日投開票)は、枝野幸男前幹事長(53)と前原誠司元外相(55)の一騎打ちとなる公算が大きくなった。真夏の決戦となるわけだが、時を同じくして安倍晋三首相(62)は内閣支持率の低迷にあえいでいる。
政権交代を狙う野党第一党にとっての「攻めどき」に代表辞任を表明し、約1カ月の「代表不在」を生じさせたのは蓮舫氏その人だった。だが、その罪の重さの自覚は当人にはないようだ。
「内閣がリニューアルしたところで、加計学園や森友学園の疑惑はなくならない。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題や防衛省内のガバナンスの問題も消えてなくならない。引き続き疑惑解明と再発防止を野党としてしっかり提案していきたい」
蓮舫氏は8月3日の記者会見で、同日発足した第3次安倍第3次改造内閣をこう批判した。「疑惑」「ガバナンス」…。
蓮舫氏こそ、台湾籍と日本国籍の「二重国籍」の「疑惑」への説明回避を続けて出だしからつまずき、党内の「ガバナンス」を失い、追い込まれた。しかも辞任を表明した野党党首が「しっかり提案していきたい」とほえたところで、その切れ味はどうにも鈍い。
会見後、記者団からは「死に体が何を言ってもなぁ…」の声が漏れた。
自民党は7月2日投開票の東京都議選で惨敗し、安倍内閣の支持率は急落した。中には30%台を割った世論調査もあった。普通なら「野党が攻勢へ」という好機の7月27日、蓮舫氏は辞任を表明した。
日報問題の責任を取った稲田朋美元防衛相(58)も同じ日に辞意を固め、翌28日付新聞各紙は蓮舫、稲田両氏の「ダブル辞任」を大きく報じた。攻勢どころか、まるで「連帯責任」のようなイメージになった。
蓮舫氏の無責任な辞任表明を受け、後任を選ぶ代表選は、国会議員だけでなく党員・サポーターも投票に参加する。そのため、新代表が選出されるまでの1カ月近くの間、事実上、党首不在の空白期間となる。
民進党はこれまで政権追及のため、閉会中審査の開催や臨時国会の早期召集を求めてきた。「代表不在」のまま政府を追及するという締まりのない構図となる。
当然、代表選日程を正式に決めた8月2日の両院議員総会では「司令塔不在の中で代表選一色になれば、国会での追及が尻切れトンボになったと言われる」(渡辺周衆院議員)と、長い空白を懸念する声が挙がった。
首相が早期の衆院解散・総選挙に踏み切ることへの警戒感から、代表選の前倒しを求める声も多かった。
寺田学衆院議員(40)は「お盆前に新執行部の骨格を決めるべきだ」と蓮舫氏ら現執行部に迫ったが、野田佳彦幹事長(60)が「党内民主主義を貫く中で、なるべく(代表選期間を)短縮して新代表を選び、正当性を担保することが基本」となだめた。
ちなみに野田氏も蓮舫氏の辞任表明に先立つ7月25日、幹事長辞任を表明している。
民進党議員が焦るのも無理はない。蓮舫氏は「私たちは『攻め』には力を持っている」と民進党の追及力を誇るが、自ら党を死に体にした。国会論戦や国政選挙で政府・与党をいくら攻めようと説得力は乏しい。
民進党が政権批判の受け皿となるには、一刻も早く新代表を選出して党内の求心力を取り戻し、目指す国家像を有権者に示す必要がある。
東京都議選で躍進した地域政党「都民ファーストの会」は国政進出も視野に入れており、都政だけでなく国政でも安倍政権への批判票を取り込もうとしている。
ところが民進党はますます逆の方向に向かっている。告示を待っている間にも混乱は続いた。
蓮舫代表のもとで今年4月まで代表代行を務めていた細野豪志元環境相(45)が8月4日、「民進党を出て、新たな政権政党をつくる決意で立ち上がりたい」として、離党と新党結成の意向を表明したのだ。
細野氏は将来を有望視されていた民進党を代表する議員の一人だ。自身のグループ「自誓会」まで立ち上げ(今年4月に会長を辞任)、2年前に旧民主党の代表選に立候補までした。
http://www.sankei.com/premium/news/170807/prm1708070004-n1.html
(>>2以降に続く)
政権交代を狙う野党第一党にとっての「攻めどき」に代表辞任を表明し、約1カ月の「代表不在」を生じさせたのは蓮舫氏その人だった。だが、その罪の重さの自覚は当人にはないようだ。
「内閣がリニューアルしたところで、加計学園や森友学園の疑惑はなくならない。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題や防衛省内のガバナンスの問題も消えてなくならない。引き続き疑惑解明と再発防止を野党としてしっかり提案していきたい」
蓮舫氏は8月3日の記者会見で、同日発足した第3次安倍第3次改造内閣をこう批判した。「疑惑」「ガバナンス」…。
蓮舫氏こそ、台湾籍と日本国籍の「二重国籍」の「疑惑」への説明回避を続けて出だしからつまずき、党内の「ガバナンス」を失い、追い込まれた。しかも辞任を表明した野党党首が「しっかり提案していきたい」とほえたところで、その切れ味はどうにも鈍い。
会見後、記者団からは「死に体が何を言ってもなぁ…」の声が漏れた。
自民党は7月2日投開票の東京都議選で惨敗し、安倍内閣の支持率は急落した。中には30%台を割った世論調査もあった。普通なら「野党が攻勢へ」という好機の7月27日、蓮舫氏は辞任を表明した。
日報問題の責任を取った稲田朋美元防衛相(58)も同じ日に辞意を固め、翌28日付新聞各紙は蓮舫、稲田両氏の「ダブル辞任」を大きく報じた。攻勢どころか、まるで「連帯責任」のようなイメージになった。
蓮舫氏の無責任な辞任表明を受け、後任を選ぶ代表選は、国会議員だけでなく党員・サポーターも投票に参加する。そのため、新代表が選出されるまでの1カ月近くの間、事実上、党首不在の空白期間となる。
民進党はこれまで政権追及のため、閉会中審査の開催や臨時国会の早期召集を求めてきた。「代表不在」のまま政府を追及するという締まりのない構図となる。
当然、代表選日程を正式に決めた8月2日の両院議員総会では「司令塔不在の中で代表選一色になれば、国会での追及が尻切れトンボになったと言われる」(渡辺周衆院議員)と、長い空白を懸念する声が挙がった。
首相が早期の衆院解散・総選挙に踏み切ることへの警戒感から、代表選の前倒しを求める声も多かった。
寺田学衆院議員(40)は「お盆前に新執行部の骨格を決めるべきだ」と蓮舫氏ら現執行部に迫ったが、野田佳彦幹事長(60)が「党内民主主義を貫く中で、なるべく(代表選期間を)短縮して新代表を選び、正当性を担保することが基本」となだめた。
ちなみに野田氏も蓮舫氏の辞任表明に先立つ7月25日、幹事長辞任を表明している。
民進党議員が焦るのも無理はない。蓮舫氏は「私たちは『攻め』には力を持っている」と民進党の追及力を誇るが、自ら党を死に体にした。国会論戦や国政選挙で政府・与党をいくら攻めようと説得力は乏しい。
民進党が政権批判の受け皿となるには、一刻も早く新代表を選出して党内の求心力を取り戻し、目指す国家像を有権者に示す必要がある。
東京都議選で躍進した地域政党「都民ファーストの会」は国政進出も視野に入れており、都政だけでなく国政でも安倍政権への批判票を取り込もうとしている。
ところが民進党はますます逆の方向に向かっている。告示を待っている間にも混乱は続いた。
蓮舫代表のもとで今年4月まで代表代行を務めていた細野豪志元環境相(45)が8月4日、「民進党を出て、新たな政権政党をつくる決意で立ち上がりたい」として、離党と新党結成の意向を表明したのだ。
細野氏は将来を有望視されていた民進党を代表する議員の一人だ。自身のグループ「自誓会」まで立ち上げ(今年4月に会長を辞任)、2年前に旧民主党の代表選に立候補までした。
http://www.sankei.com/premium/news/170807/prm1708070004-n1.html
(>>2以降に続く)