中国政府による金融市場引き締めへの対応に苦労している中国企業が、さらなる窮地に追い込まれる可能性が出てきた。社債の早期償還ラッシュだ。
世界のプットオプション(決められた価格で売ることができる権利)付き社債の約65%は中国企業が発行しており、その額は3兆9000億元(約64兆円)に上る。
本土企業が発行したこの種の社債のうち約2兆元に相当する分を保有する債権者は、2年以内にこうしたオプションの行使が可能になる。
その場合、発行体は利息の支払いを増やすか、社債の期限前償還を余儀なくされる。最も影響を受けているのは不動産会社の社債で、2兆元の約4分の1を占める。
中国政府が借り入れによる投機的な取引の抑制に取り組んでいることなどで、米国に次ぐ世界2位の規模を持つ中国社債市場では利回りが上昇(価格は下落)。中国の最上級格付け債の利回りは過去1年で1.44%上昇した。
格付け会社フィッチ・レーティングスの6月28日のリポートによると、利回り上昇を受けて中国のプッタブル債(債券保有者が満期前に償還を要求できる権利が付いた債券)の約82%は現在、オプションを行使すれば利益が出る「イン・ザ・マネー」の状態。
キャッシュフローが引き締まることで債券の元利払いに支障を来す事態が生じるとの格付け会社の懸念は強まっている。
S&Pグローバル・レーティングの企業格付け担当マネジングディレクター、クリストファー・リー氏は
「流動性をめぐる状況は現在、比較的タイトで資金調達コストは高い。調達環境は発行体にとってあまり良好とはいえず、発行体は借り換え圧力に直面する可能性だけでなく、デフォルト(債務不履行)に陥るリスクさえある」と述べた。(ブルームバーグ Jing Zhao)
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