美貌と巧みな話術を武器に韓国のテレビ番組で活躍していた脱北女性が、北朝鮮に戻って宣伝メディアで「一日一日が地獄のようだった」と韓国批判を繰り広げたことが波紋を広げている。発言からは、芸能界デビューを夢見ながら、韓国での生活に幻滅したことが原因とも受けとめられる。
一方で、北朝鮮に再入国した経緯は不明な点が多く、北朝鮮当局に拉致されたとの見方も上がっている。
「銃殺」覚悟で戻った?
「不自由なく食べ、お金もたくさん稼げるという幻想にとらわれて南朝鮮(韓国)に行った。稼ぐために酒場などを転々としたが、お金に左右される南朝鮮では、肉体的・精神的な苦痛ばかりつきまとった」
北朝鮮の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」が7月16日に公開した映像で、チョン・ヘソンと名乗る20代の女性がこう切々と韓国での生活を振り返った。
チョン氏の説明では、2014年1月に韓国入りしたものの、今年6月に北朝鮮に戻り、現在は故郷で両親とともに暮らしているという。
周囲からは「戻れば、銃殺される」と止められたが、「両親と会って死のうという思いで戻った」とも主張した。
韓国当局は、イム・ジヒョンという仮名で脱北者が出演する韓国の番組「牡丹峰(モランボン)クラブ」に出演していた脱北者と同一人物だと認めている。
韓国メディアによると、チョン氏は19歳だった11年に単身脱北。中国では中国人男性と約3年間同居した後、韓国入りし、ホステスとして歓楽街を転々とした。昨年12月の番組出演が転機となる。
持ち前の美貌と巧みな話術で人気を集め、脱北女性と韓国人男性が仮想結婚する番組にも出演し、タレントとのカップルも演じた。韓国国防省が所管するケーブルテレビ局にも出演歴があるという。
チョン氏は北朝鮮サイトで、「お金も稼げるし、演技もしたいと思ってテレビに出演した。小さいころから夢はアーティストだった」と説明し、「言われる通りに悪辣(あくらつ)に共和国(北朝鮮)をけなした」と“懺悔(ざんげ)”してみせた。
発言通りなら、韓国生活に失望し、自らの意思で両親が待つ北朝鮮に戻ったことになる。しかし、不可解な点も指摘されている。
成人向け動画が拡散
チョン氏は今年初め、芸術関連の教育機関に入学。ソウル郊外からソウル中心の江南(カンナム)に住まいも移し、芸能人になる夢に向け、本格的に取り組むはずだった。
だが、4月には番組を降板した。
韓国紙、東亜日報は、中国潜伏中にチョン氏が稼ぐためにインターネットの成人向け放送に出演していたと報じた。20分弱の動画には、チョン氏らしき女性が裸で踊ったり、別の脱北女性と絡み合ったりする場面が映し出されており、公安当局もチョン氏だと分析しているという。
今年に入ると、チョン氏が番組出演で有名になるのに伴って、成人向け放送に出演していたとの噂が韓国国内でも広がり始め、ネット上に動画が拡散した。東亜日報は、心理的圧迫を感じたことが今回の北朝鮮入りの背景の一つにあるとの見方を指摘した。
ただ、番組降板後も生活に困った様子はなく、北朝鮮国内にいる家族に送金もしていた。知人らには「貸したお金を返してもらえない」と相談していた。
韓国を出国前には、中国にいるブローカーを通じて送ったはずの1000万ウォン(約100万円)が両親の元にきちんと届かず、ブローカーに直接、中国に来て確かめるよう告げられていたことを周囲に打ち明けていた。
韓国野党議員らは、チョン氏が北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の「拉致のターゲットになった」可能性を指摘している。
チョン氏が韓国を離れる前、韓国内の財産など、身辺を整理した形跡がないためだ。
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n3.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n4.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n5.html
(>>2以降に続く)
一方で、北朝鮮に再入国した経緯は不明な点が多く、北朝鮮当局に拉致されたとの見方も上がっている。
「銃殺」覚悟で戻った?
「不自由なく食べ、お金もたくさん稼げるという幻想にとらわれて南朝鮮(韓国)に行った。稼ぐために酒場などを転々としたが、お金に左右される南朝鮮では、肉体的・精神的な苦痛ばかりつきまとった」
北朝鮮の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」が7月16日に公開した映像で、チョン・ヘソンと名乗る20代の女性がこう切々と韓国での生活を振り返った。
チョン氏の説明では、2014年1月に韓国入りしたものの、今年6月に北朝鮮に戻り、現在は故郷で両親とともに暮らしているという。
周囲からは「戻れば、銃殺される」と止められたが、「両親と会って死のうという思いで戻った」とも主張した。
韓国当局は、イム・ジヒョンという仮名で脱北者が出演する韓国の番組「牡丹峰(モランボン)クラブ」に出演していた脱北者と同一人物だと認めている。
韓国メディアによると、チョン氏は19歳だった11年に単身脱北。中国では中国人男性と約3年間同居した後、韓国入りし、ホステスとして歓楽街を転々とした。昨年12月の番組出演が転機となる。
持ち前の美貌と巧みな話術で人気を集め、脱北女性と韓国人男性が仮想結婚する番組にも出演し、タレントとのカップルも演じた。韓国国防省が所管するケーブルテレビ局にも出演歴があるという。
チョン氏は北朝鮮サイトで、「お金も稼げるし、演技もしたいと思ってテレビに出演した。小さいころから夢はアーティストだった」と説明し、「言われる通りに悪辣(あくらつ)に共和国(北朝鮮)をけなした」と“懺悔(ざんげ)”してみせた。
発言通りなら、韓国生活に失望し、自らの意思で両親が待つ北朝鮮に戻ったことになる。しかし、不可解な点も指摘されている。
成人向け動画が拡散
チョン氏は今年初め、芸術関連の教育機関に入学。ソウル郊外からソウル中心の江南(カンナム)に住まいも移し、芸能人になる夢に向け、本格的に取り組むはずだった。
だが、4月には番組を降板した。
韓国紙、東亜日報は、中国潜伏中にチョン氏が稼ぐためにインターネットの成人向け放送に出演していたと報じた。20分弱の動画には、チョン氏らしき女性が裸で踊ったり、別の脱北女性と絡み合ったりする場面が映し出されており、公安当局もチョン氏だと分析しているという。
今年に入ると、チョン氏が番組出演で有名になるのに伴って、成人向け放送に出演していたとの噂が韓国国内でも広がり始め、ネット上に動画が拡散した。東亜日報は、心理的圧迫を感じたことが今回の北朝鮮入りの背景の一つにあるとの見方を指摘した。
ただ、番組降板後も生活に困った様子はなく、北朝鮮国内にいる家族に送金もしていた。知人らには「貸したお金を返してもらえない」と相談していた。
韓国を出国前には、中国にいるブローカーを通じて送ったはずの1000万ウォン(約100万円)が両親の元にきちんと届かず、ブローカーに直接、中国に来て確かめるよう告げられていたことを周囲に打ち明けていた。
韓国野党議員らは、チョン氏が北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の「拉致のターゲットになった」可能性を指摘している。
チョン氏が韓国を離れる前、韓国内の財産など、身辺を整理した形跡がないためだ。
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n3.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n4.html
http://www.sankei.com/world/news/170801/wor1708010001-n5.html
(>>2以降に続く)