韓国政府が28日、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備と関連して、1年前後も時間がかかる「一般環境影響評価」をすると発表した。これを外交的に見ると、米国と中国のはざまで「完全に配備することも、撤回することもしない」というあいまいさを保ちながら、時間を稼ぐ意図だということになる。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は当初、韓米でTHAAD配備完了時期だとして約束した今年末までに南北関係改善を通じて北朝鮮の核・ミサイル問題の突破口を用意し、これに基づいてTHAAD問題で米中両国を説得する「てこ」を確保する考えであることが分かった。
■米国には「疑念を捨てよ」、中国には「北朝鮮の核問題が解決したら…」
文大統領は韓米首脳会談前日の6月29日(現地時間)、米下院指導部と会って、自ら「環境影響評価のため手続きが遅くなりすぎるのでは…と心配する必要はない。もしかしたら、と私(文大統領)や新政権がTHAADを覆す意図を持ってこのような手続きをしているのではないか、という疑念は捨ててもいい」と話した。
文大統領のこうした発言は、米国の信頼を回復するのに大きな役割を果たしたし、ドナルド・トランプ米大統領との会談でTHAADは主要議題として出なかった。
ところが、その1週間後、ドイツで習近平中国国家主席に会った時の文大統領の発言は違っていた。
THAAD撤回を要求する習近平主席に文大統領は「THAADは前政権で決定されたもので、(今は)手続き上の正当性を確保するための過程にある。結論的に言えば、THAADは北朝鮮の核とミサイル挑発行動によるものだ。手続き上の正当性を探る過程で時間を確保し、その期間中に核凍結など北朝鮮の核問題の解決策を見いだせば、結果的にTHAAD問題が解決するのではないか」と言った。
これは、撤回要求に同意はしないが、環境影響評価期間中に北朝鮮との対話が実現し、非核化で成果があればTHAADを配備しないこともあり得るという意味だと受け止められている。習近平主席もこの時、文大統領に対して「敏感な問題を適切に処理しようという前向きな希望を表明したことについて高く評価する」と述べた。
一般環境影響評価には普通、時間が1年前後かかる。その間に米中両国を説得する余地を作るというのが大統領府の意図だ。
大統領府関係者はこの日、「まだ配備されていないTHAAD発射台4基を(環境影響評価期間も)配備せずに(米軍基地がある慶尚北道)倭館に置くことも考慮対象だ。中国を説得する唯一の方法だ。その間に北朝鮮の挑発行動が深刻になれば配備すべきだが、対話を通じて前向きな状況になれば追加配備をしないこともあり得ると思う」と語った。
韓国側の南北関係改善努力にもかかわらず、北朝鮮が引き続き挑発行動を続けるなら、THAADを配備することになっても中国を説得する余地があり、万一、核・ミサイル問題で突破口ができれば、米国に配備完了を延期してもらうか、なかったことにしようと提案できるという話だ。
■米中のはざまで「戦略的あいまいさ」という名の賭け
このような解決策は、文大統領が大統領候補時代に取った「戦略的あいまいさ」の延長線上にあるものと見られる。文大統領は当時、THAAD問題に対して賛否を明確にしないまま「次期政権に委ねよ」とだけ言っていた。
だが、米中を相手にこの戦略を執ることは、かなりの冒険になり得るとの懸念も出ている。年末までに具体的な対北朝鮮政策の成果が出なければ、最終的に米中のうちいずれか一方、最悪の場合、両国ともに深刻な対立関係に至る可能性がある。
米中との間で核交渉を担当したことのある元当局者は「戦略的あいまいさは、外に向けて話した瞬間に、もはやあいまいでなくなる。むしろ双方の疑念ばかり膨らませる可能性が高い」と言った。
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