中国の習近平指導部は14日、13日に死去した民主活動家、劉暁波氏を巡る対応を批判した米国などに抗議を申し入れて反発、各地の支援者らを一斉に軟禁し統制をさらに強化した。
ノーベル平和賞受賞者という世界が認める功績を無視し「犯罪者」として扱う方針を明確に示した。
習国家主席が自身へのさらなる権力集中を狙う共産党大会を秋に控え、一党独裁への批判が高まることを警戒し、一切譲歩しない強硬姿勢をあらわにした。
中国の著名な市民活動家、胡佳氏によると、公安当局は14日、抗議行動を警戒して各地で警備態勢を強化。既に厳しい当局の監視下にあった胡氏らに加え、多数の支援者らを軟禁下に置いた。(共同)
http://www.sankei.com/photo/story/news/170714/sty1707140022-n1.html
【劉暁波氏死去】中国、SNSの追悼の書き込み次々削除 各国の批判に「内政干渉だ」
【北京=西見由章】中国外務省の耿爽報道官は14日の記者会見で、劉暁波氏の死去を受けて各国高官らから中国政府の対応を批判するコメントが相次いだことに関して「中国の司法主権と内政への干渉だ。関係国に厳正な申し入れを行った」と述べ、「強烈な不満と断固とした反対」を一部の国に伝え抗議したことを明らかにした。
また耿氏は、劉氏が受賞したノーベル平和賞について「民族の調和や各国の友好、軍縮」などを推進した人々に授けられるべきものだと主張。劉氏は「犯罪人」であり、「その行為は平和賞の理念に反し授与は冒涜(ぼうとく)だ」と主張した。
この日の会見で記者の質問は通常の倍近い約30回におよび、うち約20回が劉氏に関するものだった。
劉氏に関する報道は以前から厳しく規制されている。その死去についても大半の中国メディアが沈黙する中、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は14日付の社説で、劉氏は「西側が中国を動かすテコとして利用され、その犠牲になった」と主張した。
中国のSNSでは劉氏の名前を検索しても「関係する法律法規と政策」を理由に結果が表示されず、追悼の書き込みも次々削除されている。
一方、海外のSNSでは、13日の晩に北京が雷雨に見舞われたことから「天が怒り悲しんでいる」との書き込みも多くみられた。
中国国内で劉氏は多くの知識人から支持される一方、言論統制によって存在自体を知らない人も多く、情報格差が広がっている。
http://www.sankei.com/world/news/170714/wor1707140060-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170714/wor1707140060-n2.html
14日、オーストラリア・シドニーの中国領事館前で、中国の民主活動家、劉暁波氏を追悼する人たち(ロイター)
14日、中国の民主活動家、劉暁波氏を追悼するため、香港にある中国政府の出先機関「香港連絡弁公室」前の記帳台を訪れた人たち(共同)
中国外務省で記者会見する耿爽副報道局長=14日、北京(共同)