安倍晋三首相と、麻生太郎副総理兼財務相が、新たな「密約」を結んだという情報が飛び込んできた。東京都議選の歴史的惨敗を受け、安倍首相は8月初旬にも、稲田朋美防衛相の事実上の更迭など、「反省の姿勢」を国民に示し、局面転換を狙った内閣改造・党役員人事を断行する。
党内外で「安倍降ろし」ともいえる政局情報が流れるなか、安倍首相と麻生氏が「ポスト安倍」や「人事」で手を握った可能性も考えられるが、どうやら違うようだ。関係者は「北朝鮮情勢の緊迫化が背景にある」と語った。
安倍首相と麻生氏の「密約」といえば、第1次安倍政権時代に、「次(の首相)は麻生氏だ」という“暗黙の了解”があったとされる。
ところが、安倍首相の辞任表明後、出身派閥である町村派(現・細田派)を中心に、「麻生氏は、首相の体調悪化を知りながら見殺しにした」という猛烈な反発が浮上し、麻生氏は首相の座を逃した。
都議選の投開票当日(2日)、安倍首相と麻生氏、菅義偉官房長官、甘利明前経済再生担当相は、東京・四谷の超高級フランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で会食した。4人は大敗を受け、「経済最優先で行こう」「一致結束して頑張ろう」と語り合ったと伝えられる。
安倍政権への大逆風が続くなか、今回も「安倍首相の次は麻生氏だ」という“暗黙の了解”があったのか?
だが、官邸関係者は「それは違う。北朝鮮が4日に発射したミサイルが大きい」といい、続けた。
「レックス・ティラーソン米国務長官が『ICBM(大陸間弾道ミサイル)だ』と断定した北朝鮮のミサイル『火星14』は、日米両国の予想をはるかに超える性能だった。ドナルド・トランプ政権が設定したとされる『レッドライン』を一気に越えた可能性が高い。米国は衝撃が大き過ぎて、過小評価しようとしているフシもある」
北朝鮮は4日午前、北西部の平安北道(ピョンアンプクト)亀城(クソン)付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。高く打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道で、高度は2802キロに達し、933キロの距離を飛行した。日本海の排他的経済水域(EEZ)内に着水した。
北朝鮮ミサイルと「密約」がどう関係するのか。官邸関係者は続けた。
「米国の射程分析が今回、『米アラスカ州に届く6700キロ』から、『ハワイ州やワシントン州シアトルに届く8000キロ以上』まで複数ある。極めて不可解だ。北朝鮮は今回、トレーラーの現場到着から10分以内に発射した。これらを総合すると、『米軍でも迎撃困難』という事実をしばらく隠したいようだ。相当深刻な事態といえ、トランプ政権が軍事オプションを選ぶ可能性が高まってきた。官邸も衝撃を受けている」
確かに、トランプ氏は現在、G20(20カ国・地域)首脳会議出席のために訪欧中だが、北朝鮮の核・ミサイル開発について、「悪行には報いがある」と断言。ニッキー・ヘイリー米国連大使も5日、国連安保理緊急会合で「外交的解決の可能性は急速に狭まっている」といい、軍事行動も選択肢から排除しないと警告した。
官邸関係者は「日米関係は現在、安倍首相とトランプ氏、麻生氏とマイク・ペンス副大統領という2本柱で構築しており、2人は同様の極秘情報を得ている。米国からは水面下で、安全保障関係の注文・要求が届いている。『北朝鮮有事』が勃発しかねない国難のときに、国内政局をやっている場合ではない。安倍首相はもともと、『麻生氏は、相手が逆境にあるときは裏切らない人だ』という絶大な信頼を寄せていたが、2人は改めて『日本のために結束しよう』と“盟約”を交わしたようだ。彼らが見ているのは永田町だけではない」と語る。
安倍首相は8月初旬に内閣改造・党役員人事を断行する。
都議選の大惨敗を受けて、「政権の緩み・おごり」を払拭する、清新で大胆な人事が求められる。同時に「国難に対処できる人物」という基準も加わるようだ。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170703/soc1707030037-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170703/soc1707030037-n2.html
安倍首相(右)と、麻生氏は「国難克服」のため、盟約を結んだ