中朝貿易の7割以上を担う同市は、北朝鮮にとってまさに国際社会の包囲網を突破するための拠点。表面上は普段と変わらない光景が広がっていたが、今後の影響に国際社会の関心が集まっている。
丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ「中朝友誼橋」から車で約20分。国境を流れる鴨緑江沿いに丹東銀行本店はあった。約1キロ先の対岸、新義州の緑地を望む高層ビルに入っている。
「米国の制裁については聞いていない。業務は通常通りだ」。女性行員は平然と語った。
丹東銀行はその前身が1993年に設立された地方銀行で、同行によると、昨年末現在の資産総額は約723億元(約1兆2000億円)。支店は大連や瀋陽にもあり総数は102。従業員は約1570人という。
米財務省によると、丹東銀行は、北朝鮮が米国の金融システムにアクセスする窓口で、数百万ドル(数億円)に上る北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したという。制裁が発動されると、米国内の資産が凍結され、米国との取引が原則禁止される。
中国メディアも丹東銀行への金融制裁を報じているものの、ニュースを知らない市民がほとんどで、貯金を引き出すなどの騒ぎにはなっていない。
丹東市の貿易会社「丹東鴻祥実業発展有限公司」も昨年9月、北朝鮮の大量破壊兵器拡散に関与したとして、米国の制裁対象に指定された。女性経営者は中国当局に拘束されたが、鴻祥グループは観光・飲食業界でなお活動を続けている。
丹東市の人口は近郊を含めると約240万人。市中心部には北朝鮮の飲食店が林立し、金日成・金正日バッジを付けた朝鮮労働党関係者らが行き来している。
物流の大動脈、中朝友誼橋を往来するトラックの通行量は「中国当局の検査は厳しくなったようだが、この数カ月で量に変化はない」(消息筋)という。鴨緑江や黄海での密貿易の噂も絶えない。
制裁発表後の先週末も、いつものように中国人観光客が丹東を訪れ、北朝鮮系の商店で人民元をばらまいていた。
地元の経済専門家は制裁について「影響はあるだろう。しかし中国政府も黙っていないはずだ」と指摘、米国への対抗措置や救済措置などの発動もあり得るとの見方を示した。
http://www.sankei.com/world/news/170703/wor1707030047-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170703/wor1707030047-n2.html
![【中国】嵐の前の静けさ?米の対北制裁「聞いていない。業務は通常通り」 発動対象の中国・丹東銀行の行員[7/03] [無断転載禁止]©2ch.net ->画像>3枚](http://www.sankei.com/images/news/170703/wor1707030047-p1.jpg)
鴨緑江を行き来する北朝鮮の貨物船と中国海事局の船艇中国遼寧省丹東市(藤本欣也撮影)
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米当局が制裁の発動を決めた中国の丹東銀行本店中国遼寧省丹東市(藤本欣也撮影)