韓国軍の機務司令部(情報部隊)が、国防部(省に相当)の長官候補に指名された宋永武(ソン・ヨンム)元海軍参謀総長関連の疑惑を外部に通報した軍内部の人物を探しているという。
この事実が確認されると、与党の院内スポークスマンは「軍の公職にかかる綱紀の乱れにとどまらず、利敵行為に当たる」として、軍当局の捜査を求めた。
宋氏が法務法人・防衛関連企業の諮問活動を行っていたことを検証するために活用されたレーダー・潜水艦事業関連の資料、26年前に宋氏が飲酒運転で取り締まりを受けた記録などが流出したことを、「敵に利する行為」だというのだ。
宋氏は12億ウォン(現在のレートで約1億1700万円)相当の高額の顧問料や飲酒運転が原因で、野党から辞退を求められている。普通の人なら運転免許が取り消されたはずの1991年の酒酔い運転は、韓米合同軍事演習の期間中に起こった事件だった。
その4カ月後、一緒に酒を飲んでいた軍の同僚の飲酒運転が警察に摘発されると、一面識もない海軍本部の軍楽隊に所属していた元士(最上級の下士官。上級曹長に相当)に頼み、事件をもみ消した疑惑も持ち上がっている。
こうした傷が原因で、長官の資格があるのかという指摘が出てきているのに、野党は逆に資料の出どころを問題にした。野党時代は、そのような公益通報者をおだて上げていたというのに、全く態度が違う。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は、正当な批判も「積弊・既得権勢力の抵抗」だと言い立てたりしている。今回のケースも、持ち上がった疑惑を感知していなかったり、あるいは知っていても問題にできなかった大統領府(青瓦台)のシステムから見直すべきだった。
しかしそうせずに、「軍内部の反改革勢力が国防改革を阻止するため行った」というように決めつけた。
これでは、朴槿恵(パク・クンへ)政権時代にいわゆる「チョン・ユンフェ文書」事件が起こったとき、崔順実(チェ・スンシル)氏の存在を隠そうとした大統領府側が文書流出を「綱紀の乱れ」だとして追及したのと、大して変わらない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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