デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/06270610/?all=1
■香山リカ氏の講演も中止に
相次ぐ「講演中止」が波紋を呼んでいる。今月10日に一橋大学で行なわれる予定だった作家・百田尚樹氏の講演が、反対運動の結果、中止に追い込まれたのに続き、今度は27日に江東区内で行なわれる予定だった精神科医・香山リカ氏の講演会の中止が発表された。
百田氏の講演中止については主催者側に脅迫めいた「要請」があったことがすでに明らかにされている。
香山氏の件については、主催者が「当日の健全な進行を妨げる内容」のメール、電話が寄せられていて、来場者に迷惑がかかること、安全が確保できないことが予想されることが理由としている。これを見る限り、やはりかなり強い形で反対の声が寄せられたことは想像に難くない。
講演も言論活動の一つならば、「講演中止運動」もまた言論活動の一つだから許容されてしかるべきだ、といった考え方を示す人もいる。百田氏の講演会中止に関連して、漫画家・小林よしのり氏は自身のブログで「言論弾圧ではない」という主張を述べている。その理由は、以下のようなものだ。
「真の『言論弾圧』とは、権力が民間人の言論を弾圧することを言う。
民間人の批判や圧力で、講演会が中止に追い込まれる場合は、主催した奴らが腰抜けだったということに過ぎない。
信念もなく、客が呼べそうだと、単なるお祭り感覚で呼ぼうとしただけだから、批判に対応できずに、腰砕けになっただけだろう」(6月6日付ブログ)
この論理でいけば、香山氏の講演中止もまた「言論弾圧」にはあたらないことになるのだが、百田氏はどう考えるのか。すでに自身の講演中止については、語っているが、さらに改めて見解を聞いてみた。
■櫻井よしこさんも被害に
先日(20日)、私がレギュラー出演している『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCシアター)という番組にジャーナリストの櫻井よしこさんが、緊急でゲスト出演してくださいました。私の講演中止事件を知って、一言言わねば、とお考えになったようです。
櫻井さんは、この一件について、「これは大学を舞台にした言論弾圧」だと断言し、厳しく批判しました。そして、過去には慶応大学で李登輝元台湾総統の講演がやはり圧力で中止に追い込まれたことの他、ご自身の受けた被害についても語ってくださいました。
櫻井さんの講演会に対して、おそらくは左翼側の組織的な「抗議活動」が主催者側に集中したことがありました。「慰安婦」に関する櫻井さんの過去の発言が問題だ、というのが抗議する側の理屈でした。櫻井さんもまた、講演中止に追い込まれた経験があるのです。それも一度や二度ではありません。
私や櫻井さんが共に抱いた疑問は、もしも「リベラル」「左翼」とされる人たちが同じ目に遭ったときに、朝日新聞等は、私のときとおなじようなスタンスでいるのだろうか、というものでした。おそらく、「言論への弾圧だ」と大騒ぎするのではないか――と。
そんなことを番組で語っていた矢先に、香山さんの講演中止が報じられました。
意外なことに、朝日新聞等の扱いはあまり大きくありませんでした。
しかし、私の件が直前になかったら、もっと大きくなったのではないか、という気がしてなりません。仮に香山さんの件だけを問題視すれば、「なぜ百田の講演中止との扱いが違うのだ」という批判が予想されます。それに答えられないからこそ、香山さんの件も大きな問題とされなかったのではないか、と思えてしまうのです。
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