シャープの株主総会では業績を回復軌道に乗せた戴社長の経営手腕を評価する声が相次いだ。鴻海出身の戴社長は東京証券取引所1部への復帰申請時期を明言し復活への自信をのぞかせた。
株主の期待は膨らむ一方だが、次世代パネル「有機EL」の開発の遅れもあり、「V字回復」を実現できるかは不安も根強い。
「一日でも長く経営を」。業績悪化への批判や経営陣に対する不満が目立った昨年の総会とは打って変わり、株主からは再建を主導する戴社長へのエールや称賛の声が多く寄せられた。
そんな株主の期待に応えるように、戴社長も「来年には配当したい」と述べ、平成24年3月期末以来6年ぶりとなる復配を約束した。
シャープは中期経営計画で、復活に向けた「成長路線への転換」を掲げた。
超高精細な画質「8K」に対応した製品や「モノのインターネット(IoT)」などを柱に、32年3月期の連結売上高を29年3月期の約1・6倍となる3兆2500億円に引き上げる野心的な目標を明示した。
ただ、主力の液晶事業は海外メーカーとの価格競争が激化。8Kや有機ELの収益化も見通せないのが現状だ。
株主からも「8Kは本当に優位性があるのか」「韓国、中国メーカーの台頭で再び液晶パネルが供給過剰となり、液晶事業で苦しんだ過去と同じ失敗をするのではないか」と不安視する声が上がった。
有機ELではライバルの韓国LG電子などが先行し、シェアを拡大している。シャープは30年の稼働を目指してスマートフォンなどに使われる中小型パネル生産設備の準備を進めており、テレビ用大型パネルも並行して開発中だ。
だが、「日本製の有機ELを出したいが、戦略はまだ長い」(戴社長)と実用化の時期は示せないまま。IoTなど先端技術でも、世界の家電大手との激しい開発競争が予想される。
「次の敗北は許されない」(株主)中、戴社長には、目標達成に向けた具体的な道筋を示すことが求められている。(大島直之)
http://www.sankei.com/economy/news/170620/ecn1706200033-n1.html
http://www.sankei.com/economy/news/170620/ecn1706200033-n2.html
経営陣「鴻海色」濃厚に、出身取締役増の5人案提案 シャープ株主総会
経営再建中のシャープは20日、堺市の本社で株主総会を開いた。
親会社の台湾・鴻海精密工業から派遣された戴正呉社長をはじめ、社外取締役も含めて鴻海グループ出身の取締役を3人から5人に増やすことなどを盛り込んだ人事案を提案しており、総会の議決を経て選任される見通し。経営の陣容は一段と鴻海色が濃厚になる。
シャープは液晶テレビなど主力事業の不振で昨年3月末にグループの債務が資産を上回る債務超過に陥り、同6月の株主総会で鴻海傘下入りを決定。戴社長の指揮の下、再建に向けた取り組みを進めてきた。
シャープは再生に向け平成31年度に売上高を28年度の約1.6倍となる3兆2500億円に拡大する目標を掲げており、人事面でも資金力のある鴻海主導を明確にし、米国で計画する大規模な工場建設などを進める考えだ。
http://www.sankei.com/west/news/170620/wst1706200027-n1.html
専用バスを降りてシャープの株主総会会場へと向かう株主ら=20日午前、堺市堺区(彦野公太朗撮影)
起立して株主に報告する戴正呉・シャープ社長=20日午前、堺市堺区(彦野公太朗撮影)
株主の期待は膨らむ一方だが、次世代パネル「有機EL」の開発の遅れもあり、「V字回復」を実現できるかは不安も根強い。
「一日でも長く経営を」。業績悪化への批判や経営陣に対する不満が目立った昨年の総会とは打って変わり、株主からは再建を主導する戴社長へのエールや称賛の声が多く寄せられた。
そんな株主の期待に応えるように、戴社長も「来年には配当したい」と述べ、平成24年3月期末以来6年ぶりとなる復配を約束した。
シャープは中期経営計画で、復活に向けた「成長路線への転換」を掲げた。
超高精細な画質「8K」に対応した製品や「モノのインターネット(IoT)」などを柱に、32年3月期の連結売上高を29年3月期の約1・6倍となる3兆2500億円に引き上げる野心的な目標を明示した。
ただ、主力の液晶事業は海外メーカーとの価格競争が激化。8Kや有機ELの収益化も見通せないのが現状だ。
株主からも「8Kは本当に優位性があるのか」「韓国、中国メーカーの台頭で再び液晶パネルが供給過剰となり、液晶事業で苦しんだ過去と同じ失敗をするのではないか」と不安視する声が上がった。
有機ELではライバルの韓国LG電子などが先行し、シェアを拡大している。シャープは30年の稼働を目指してスマートフォンなどに使われる中小型パネル生産設備の準備を進めており、テレビ用大型パネルも並行して開発中だ。
だが、「日本製の有機ELを出したいが、戦略はまだ長い」(戴社長)と実用化の時期は示せないまま。IoTなど先端技術でも、世界の家電大手との激しい開発競争が予想される。
「次の敗北は許されない」(株主)中、戴社長には、目標達成に向けた具体的な道筋を示すことが求められている。(大島直之)
http://www.sankei.com/economy/news/170620/ecn1706200033-n1.html
http://www.sankei.com/economy/news/170620/ecn1706200033-n2.html
経営陣「鴻海色」濃厚に、出身取締役増の5人案提案 シャープ株主総会
経営再建中のシャープは20日、堺市の本社で株主総会を開いた。
親会社の台湾・鴻海精密工業から派遣された戴正呉社長をはじめ、社外取締役も含めて鴻海グループ出身の取締役を3人から5人に増やすことなどを盛り込んだ人事案を提案しており、総会の議決を経て選任される見通し。経営の陣容は一段と鴻海色が濃厚になる。
シャープは液晶テレビなど主力事業の不振で昨年3月末にグループの債務が資産を上回る債務超過に陥り、同6月の株主総会で鴻海傘下入りを決定。戴社長の指揮の下、再建に向けた取り組みを進めてきた。
シャープは再生に向け平成31年度に売上高を28年度の約1.6倍となる3兆2500億円に拡大する目標を掲げており、人事面でも資金力のある鴻海主導を明確にし、米国で計画する大規模な工場建設などを進める考えだ。
http://www.sankei.com/west/news/170620/wst1706200027-n1.html
専用バスを降りてシャープの株主総会会場へと向かう株主ら=20日午前、堺市堺区(彦野公太朗撮影)
起立して株主に報告する戴正呉・シャープ社長=20日午前、堺市堺区(彦野公太朗撮影)