【香港=河崎真澄】中国共産党政権を批判する書籍を出版・販売したなどとして、昨年6月まで中国当局に8カ月近く身柄を拘束された香港「銅鑼湾書店」の元店長、林栄基氏(61)が6日までに産経新聞との単独会見に応じ、閉鎖された同書店を来年、台湾で再開する計画を明らかにした。
今後は活動の拠点を台湾に移し、拘束をめぐる事件の経緯などを、自ら執筆して出版することにしている。
林氏は2015年10月に香港から広東省深●(=土へんに川)に入境したところ拘束され、連行先の浙江省寧波などで、中国が“禁書”とする書籍について公安当局の取り調べを受けた。
その後、昨年6月に香港に戻された背景として林氏は「『銅鑼湾書店』店長に戻り、筆者や読者の情報を継続的に提供するよう中国当局に命じられていた」と明かした。
政権批判書籍のほか、当時は習近平国家主席の女性問題をめぐるスキャンダル本の出版計画もあり、中国側は林氏を情報提供者に仕立て、「銅鑼湾書店」ルートの徹底壊滅を狙ったとみられる。
拘束時には「司馬遼太郎著『街道をゆく〜台湾紀行』中国語版の販売も取り調べられ、厳しく追及された」という。
1994年出版の『台湾紀行』の中で司馬氏が行った李登輝総統(当時)とのインタビューで、中台関係をめぐる李氏の発言に中国が反発した経緯がある。
香港に戻った後、林氏が中国側への協力を拒否したため書店は完全に閉鎖された。再開のメドが立たないため林氏は台湾の人権組織と協力、台北市内で「銅鑼湾書店」の名で来年の開店をめざすことにした。
「台湾は現段階で、香港よりも言論の自由が保障されている。成功すれば改めて香港でも再開する」という。
自ら執筆も行い、「台湾を拠点に中国本土の読者にも中国研究や歴史、哲学など上質の書籍を提供し続けていきたい」と話した。
林氏は、「(高度な自治が保障された)香港の『一国二制度』は明確に侵害されている」と述べ、7月1日に民主派団体が行う抗議デモに参加する意向を示した。同日行われる返還20周年の記念式典には習氏が国家主席として初めて香港を訪れ、出席する見通し。
◇
「銅鑼湾書店」事件
中国で“禁書”とされる共産党政権を批判する書籍を出版・販売した香港の「銅鑼湾書店」関係者5人が2015年秋から、中国本土や香港、タイで相次ぎ拘束された事件。
中国の公安当局が拘束に直接、間接的に関与したとされ、「一国二制度」で香港に保障された言論の自由や司法の独立が侵害された、と反発が広がった。林栄基元店長ら4人は香港に戻ったが、1人は拘束が続いているもよう。
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n3.html
香港市内で産経新聞のインタビューに応じた「銅鑼湾書店」元店長の林栄基氏。街中では目立たぬよう帽子を深めにかぶるなど警戒を続けている(河崎真澄撮影)
今後は活動の拠点を台湾に移し、拘束をめぐる事件の経緯などを、自ら執筆して出版することにしている。
林氏は2015年10月に香港から広東省深●(=土へんに川)に入境したところ拘束され、連行先の浙江省寧波などで、中国が“禁書”とする書籍について公安当局の取り調べを受けた。
その後、昨年6月に香港に戻された背景として林氏は「『銅鑼湾書店』店長に戻り、筆者や読者の情報を継続的に提供するよう中国当局に命じられていた」と明かした。
政権批判書籍のほか、当時は習近平国家主席の女性問題をめぐるスキャンダル本の出版計画もあり、中国側は林氏を情報提供者に仕立て、「銅鑼湾書店」ルートの徹底壊滅を狙ったとみられる。
拘束時には「司馬遼太郎著『街道をゆく〜台湾紀行』中国語版の販売も取り調べられ、厳しく追及された」という。
1994年出版の『台湾紀行』の中で司馬氏が行った李登輝総統(当時)とのインタビューで、中台関係をめぐる李氏の発言に中国が反発した経緯がある。
香港に戻った後、林氏が中国側への協力を拒否したため書店は完全に閉鎖された。再開のメドが立たないため林氏は台湾の人権組織と協力、台北市内で「銅鑼湾書店」の名で来年の開店をめざすことにした。
「台湾は現段階で、香港よりも言論の自由が保障されている。成功すれば改めて香港でも再開する」という。
自ら執筆も行い、「台湾を拠点に中国本土の読者にも中国研究や歴史、哲学など上質の書籍を提供し続けていきたい」と話した。
林氏は、「(高度な自治が保障された)香港の『一国二制度』は明確に侵害されている」と述べ、7月1日に民主派団体が行う抗議デモに参加する意向を示した。同日行われる返還20周年の記念式典には習氏が国家主席として初めて香港を訪れ、出席する見通し。
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「銅鑼湾書店」事件
中国で“禁書”とされる共産党政権を批判する書籍を出版・販売した香港の「銅鑼湾書店」関係者5人が2015年秋から、中国本土や香港、タイで相次ぎ拘束された事件。
中国の公安当局が拘束に直接、間接的に関与したとされ、「一国二制度」で香港に保障された言論の自由や司法の独立が侵害された、と反発が広がった。林栄基元店長ら4人は香港に戻ったが、1人は拘束が続いているもよう。
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/170607/wor1706070008-n3.html
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香港市内で産経新聞のインタビューに応じた「銅鑼湾書店」元店長の林栄基氏。街中では目立たぬよう帽子を深めにかぶるなど警戒を続けている(河崎真澄撮影)