金正恩(キム・ジョンウン)の暴走が止まらない。半島危機の真っただ中、北朝鮮は弾道ミサイルを相次いで発射した。
圧倒的戦力差の米軍事作戦におびえ、もはや核開発しか生きる道のなくなった独裁国家はどこへ向かうのか。現状の戦力から北朝鮮の戦略的意図を読み解く。(iRONNA 鍛冶俊樹氏)
◇
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、今年の新年の辞で「ICBM(大陸間弾道ミサイル)試射の最終段階にある」旨を述べた。
また1月8日には北朝鮮外交部の声明で、ICBMは「最高首脳部が決心する任意の時刻に任意の場所から発射されるだろう」と述べたが、現時点まで発射された形跡がない。
北朝鮮は2012年に人工衛星の打ち上げに成功しており、ICBMの基本的な技術は持っているはずだが、まだ実験すらしていない。つまり米国に届く長距離ミサイルが実戦配備されるには、今後数年を要するとみられる。
米軍基地のあるグアム島を射程に入れた中距離弾道弾ムスダンは実戦配備されているとみられるが、昨年10月に試射され失敗に終わっている。ムスダンは中国製とみられることから、発射に際しては中国の許可が必要となるはずである。
つまり、安全装置を解除するためには暗証番号を入力する必要があり、その番号はその都度、中国に聞かなければならない。正しい番号が入力されずに発射されれば、発射は失敗に終わる仕組みである。
◆核の小型化に数年
もちろん、北朝鮮製の弾道弾もあるにはある。例えば、3月6日に4発発射され、秋田沖に着弾した「スカッドER」は北朝鮮製である。また、日本を射程に入れる「ノドン」も北朝鮮製であり、発射に中国の許可を必要としない。5月14日に発射した中距離弾道弾「火星12号」も同様である。
しかし、これらのミサイルは旧式の液体燃料型であり、発射に際してはその都度、数時間かけて燃料注入をしなければならない。つまり発射の予兆を探知されやすく、米軍による攻撃の格好のターゲットになろう。
また、壊滅しそこなったとしても日米韓の分厚いミサイル防衛システムに阻まれることは必定である。
そして、懸念が広がっている核爆弾の開発状況については、昨年9月に5回目の核実験に成功し、4月以降、6回目の実験を実施するのは確実とみられている。だが、弾道弾に搭載できるように小型化、軽量化するには、まだ数年を要するであろう。
◆懸念は特殊部隊
また、北朝鮮の海軍は排水量1700トンのロメオ級潜水艦を20隻程度保有しているが、これは旧ソ連製であり実力としては第二次世界大戦当時の標準的能力しか有していない。現在3500トン級の戦略潜水艦を建造中であるが、まだ完成にはほど遠い。
日米の対潜水艦能力は世界最高水準にあり、これに対して北朝鮮の潜水艦は全く無力であろう。
戦闘機については、北朝鮮はロシア製のミグ23、29を合わせて数十機保有している。しかし、ミグ23は第3世代型の旧式機であり、第4世代型のFA18やわが国のF15に太刀打ちできる代物ではない。
ミグ29は第4世代型であるが、パイロットの年間飛行時間が20時間程度と日米の150時間以上と比べて極端に少なく、格闘戦は不可能だ。しかも、山口県の岩国の米軍基地には第5世代型のF35が配備されており、ミグ29を一瞬にして壊滅できる実力を誇っている。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n2.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n3.htm
(>>2以降に続く)
平壌の朝鮮労働党庁舎前で新型ミサイル「火星12」の開発者らに手を振る北朝鮮の金正恩党委員長(右)。朝鮮中央通信が20日報じた(朝鮮通信=共同)
鍛冶俊樹氏
圧倒的戦力差の米軍事作戦におびえ、もはや核開発しか生きる道のなくなった独裁国家はどこへ向かうのか。現状の戦力から北朝鮮の戦略的意図を読み解く。(iRONNA 鍛冶俊樹氏)
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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、今年の新年の辞で「ICBM(大陸間弾道ミサイル)試射の最終段階にある」旨を述べた。
また1月8日には北朝鮮外交部の声明で、ICBMは「最高首脳部が決心する任意の時刻に任意の場所から発射されるだろう」と述べたが、現時点まで発射された形跡がない。
北朝鮮は2012年に人工衛星の打ち上げに成功しており、ICBMの基本的な技術は持っているはずだが、まだ実験すらしていない。つまり米国に届く長距離ミサイルが実戦配備されるには、今後数年を要するとみられる。
米軍基地のあるグアム島を射程に入れた中距離弾道弾ムスダンは実戦配備されているとみられるが、昨年10月に試射され失敗に終わっている。ムスダンは中国製とみられることから、発射に際しては中国の許可が必要となるはずである。
つまり、安全装置を解除するためには暗証番号を入力する必要があり、その番号はその都度、中国に聞かなければならない。正しい番号が入力されずに発射されれば、発射は失敗に終わる仕組みである。
◆核の小型化に数年
もちろん、北朝鮮製の弾道弾もあるにはある。例えば、3月6日に4発発射され、秋田沖に着弾した「スカッドER」は北朝鮮製である。また、日本を射程に入れる「ノドン」も北朝鮮製であり、発射に中国の許可を必要としない。5月14日に発射した中距離弾道弾「火星12号」も同様である。
しかし、これらのミサイルは旧式の液体燃料型であり、発射に際してはその都度、数時間かけて燃料注入をしなければならない。つまり発射の予兆を探知されやすく、米軍による攻撃の格好のターゲットになろう。
また、壊滅しそこなったとしても日米韓の分厚いミサイル防衛システムに阻まれることは必定である。
そして、懸念が広がっている核爆弾の開発状況については、昨年9月に5回目の核実験に成功し、4月以降、6回目の実験を実施するのは確実とみられている。だが、弾道弾に搭載できるように小型化、軽量化するには、まだ数年を要するであろう。
◆懸念は特殊部隊
また、北朝鮮の海軍は排水量1700トンのロメオ級潜水艦を20隻程度保有しているが、これは旧ソ連製であり実力としては第二次世界大戦当時の標準的能力しか有していない。現在3500トン級の戦略潜水艦を建造中であるが、まだ完成にはほど遠い。
日米の対潜水艦能力は世界最高水準にあり、これに対して北朝鮮の潜水艦は全く無力であろう。
戦闘機については、北朝鮮はロシア製のミグ23、29を合わせて数十機保有している。しかし、ミグ23は第3世代型の旧式機であり、第4世代型のFA18やわが国のF15に太刀打ちできる代物ではない。
ミグ29は第4世代型であるが、パイロットの年間飛行時間が20時間程度と日米の150時間以上と比べて極端に少なく、格闘戦は不可能だ。しかも、山口県の岩国の米軍基地には第5世代型のF35が配備されており、ミグ29を一瞬にして壊滅できる実力を誇っている。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n2.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170529/frn1705291700004-n3.htm
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![【北朝鮮】相次ぐミサイル発射、北軍事力の実態 ムスダン試射失敗のウラに中国の許可[5/29] [無断転載禁止]©2ch.net->画像>8枚](http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/images/20170529/frn1705291700004-p1.jpg)
平壌の朝鮮労働党庁舎前で新型ミサイル「火星12」の開発者らに手を振る北朝鮮の金正恩党委員長(右)。朝鮮中央通信が20日報じた(朝鮮通信=共同)
![【北朝鮮】相次ぐミサイル発射、北軍事力の実態 ムスダン試射失敗のウラに中国の許可[5/29] [無断転載禁止]©2ch.net->画像>8枚](http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/images/20170529/frn1705291700004-p2.jpg)
鍛冶俊樹氏